
燈明堂(とうみょうどう)海岸は、浦賀港西岸の小さな岬に位置する静かな海岸です。東京湾にあるとは思えないほど透明度の高い海と、白砂の砂浜がすばらしく、横須賀市内でも比較的静かに過ごせる、隠れ家的な存在となっています。
貴重な自然環境が残った背景として、交通アクセスが良好とはいえない事情のほか、このエリアが今まで人を寄せ付けなかった歴史的な諸事情もあって開発が進まなかった要因もあります。
今回、海岸の名前の由来となっている歴史的建造物の「燈明堂」を含め、この隠れ家的なビーチの魅力を余すことなく紹介しましょう。
横須賀の秘境ビーチ・燈明堂海岸
燈明堂海岸は、「燈明堂」とよばれる江戸時代に設置された和式灯台跡を中心に広がる海岸。開発が進む横須賀周辺から取り残されたような、自然そのままの状態を保っている貴重な場所です。規模は決して広いとはいえませんが、透明度の高い海と白砂の砂浜に恵まれた、知られざる絶景ビーチとなっています。
この海岸では、磯遊びや波打ち際での水遊び、快適な砂浜散策やビーチコーミングなどを楽しむことができます。今では再建された燈明堂とともに、陸地部分は緑地公園として整備され、静かな環境で歴史も海も満喫できるスポットとして、地元の人を中心に憩いの場として親しまれています。
燈明堂海岸周辺に残る歴史
黒船来航の地としても知られる浦賀ですが、東京湾の入口にあたる浦賀港は当時の江戸幕府にとっても重要な拠点でした。船舶の安全な航行を図るため、1648年に当地に灯台(燈明堂)が設置され、やがて治安の維持等も兼ねて、江戸中期の1720年には浦賀奉行所も設置されるなど、浦賀港の重要性はますます高まっていったのです。
軍港として発展した明治以降の横須賀では、東京湾要塞化の一環として多くの砲台が築かれましたが、こちらの燈明堂周辺も例外ではなく、近隣の千代ケ崎砲台跡に代表されるような要塞の一部を担うことになりました。
また燈明堂周辺にはかつて浦賀奉行所の処刑場があったという言い伝えがあります。地元の人の間では「首切り場」という物々しい呼び名もあります。園内には犠牲者の供養塔と伝えられる石碑(海難事故で亡くなった方々への慰霊という説もあり)も設置されており、悲しい歴史を垣間見ることができます。
海岸滞在にあたってのアドバイス
きれいな海を満喫しながらの滞在を楽しめる燈明堂海岸ですが、海水浴場としては開放されておりません。夏季シーズンも水道やシャワー、海の家などは設置されないので注意してください。水に入る場合は潮位や波、足元の岩に十分注意し、子どもから目を離さないようにしましょう。
また、近くにコンビニエンスストアや売店もないので、必要なものはあらかじめ購入しておくといいですね。
海岸にはトイレもなく、最寄りの公衆トイレまでは2~3分ほど歩きます。駐車場内に簡易トイレは設置してありますが、数が少ないため混雑時には使用人数が限られてしまうのが難点です。
また、現地にはゴミ箱が設置されておりません。滞在中に発生したゴミについては各自持ち帰るようお願いします。
海岸までのアクセス
岬の先端に位置する燈明堂海岸までのアクセスは、残念ながら良好とはいえません。
公共交通機関を利用する場合、京急線の浦賀駅または久里浜駅からバスに乗り換え、最寄りのバス停「燈明堂入口」より徒歩約10分、ひたすら狭い一本道を歩くことになります。
車を利用する場合は、海岸の目の前に有料駐車場が設置してありますが、海岸に近づくにつれ道幅が狭くなるので、対向車とのすれ違いにはくれぐれも注意しましょう。特に見通しが極度に悪くなる夜間の訪問はなるべく避けたほうが無難です(深夜帯は駐車場も閉鎖しています)。
「燈明堂緑地駐車場」の利用可能時間は5:00~21:30までとなっております。収容台数は30台分しかないため、夏季シーズン等には早い時間で満車になることがあります。近くには他に駐車場がないので、車での訪問を予定している人は早めの行動を心がけるようにしましょう。
歴史が息づく和風灯台「燈明堂」の見どころ
燈明堂海岸のシンボルである「燈明堂」は、江戸時代初期の1648年に建造されました。以降1872年に廃止されるまで、約220年にわたって東京湾を航行する船舶の安全を守る灯台の役目を担ってきた歴史的遺構です。菜種油などを用いて灯された光は、なんと約7km以上先まで照らしていたともいわれています。
現在の燈明堂は、1988年に再建されたものです。残った石垣の上に、瓦葺2階建てという当時の姿を参考に復元され、横須賀市の指定史跡となっています。小ぶりな印象を受けますが歴史を感じさせる風格です。
公園緑地の入口から燈明堂を囲むように遊歩道が整備されており、燈明堂海岸を一望しながらの散策が楽しめます。燈明堂の左右から趣の異なる景観を楽しめますよ。
海岸でプチリゾート気分を味わおう
燈明堂の遊歩道から眺めた砂浜です。白い砂浜と海の青さのコントラストが素敵ですね。夏季シーズンの週末にも関わらず、訪れている人はまばらです。
砂浜は決して広いとはいえませんが、白砂の上を裸足で歩いてみたくなります。サクサクとした砂の触感がたまりません。
潮騒に耳を傾けながら、波打ち際をひとりじめとは贅沢ですね。南国の海を彷彿させる海水のコントラストにも癒されます。
特に人が少ない午前中の早い時間がおすすめです。夏季のトップシーズンでもこのような貸切空間に出会えるかもしれません。
磯遊びも最高
燈明堂海岸は砂浜のほかにも岩礁地帯があります。波を近くに感じながらの磯遊びも楽しめますが、子ども連れの際には、大人が付き添い足元や潮の満ち引きに十分注意してください。筆者は岩伝いに移動中、海藻に足を滑らせてしまいました。岩場からの眺望はすばらしく、天気の良い日には岩越しに房総半島の山肌も一望できますよ。
潮だまりの水はとってもきれい!カニや小さな魚たちが泳いでいるのを確認できます。人も少ないので、のんびりと水中観察が楽しめるのも嬉しいですね。
まとめ
燈明堂海岸は、江戸時代の航路を支えた燈明堂と、透明度の高い海や白い砂浜を一度に楽しめる、横須賀の隠れ家的なスポットです。
夏季シーズンだけでなく、より静かで海も美しくなるオフシーズンの訪問もおすすめです。交通アクセスが良くない点もありますが、それでも訪れる価値は十分な素敵な場所ですよ。
燈明堂海岸
利用時間
緑地は終日利用可能 ※駐車場の利用時間とは異なります
アクセス
京急線「浦賀駅」または「京急久里浜駅」から19系統のバスに乗車、「燈明堂入口」下車、徒歩約10分。
住所:神奈川県横須賀市西浦賀6丁目
駐車場:あり














