ローソンは、「全国に広がるローソンデリバリー事業の現状と利用実績 説明会」と題し、同社が展開するデリバリー事業の動向を、同社 インキュベーションカンパニー 事業開発部 部長の塩野貴啓氏が解説した。
まず、日本のデリバリー市場について、「世界的に見ると、まだまだ小さい」という現状にありながらも、2020年頃のコロナ禍における「巣ごもり需要」を契機に拡大。行動制限の解除後も、その利便性の高さから消費者の生活に定着しており、「全体の市場としては、まだ成長の途上にある」との認識を明かした。
ローソンでは、2019年にコンビニで初めて「Uber Eats」を導入して以来、デリバリー対応店舗を拡大。さまざまなプラットフォームと提携しながら、2023年8月には47都道府県への導入が完了し、現在は約8,000店舗において事業が展開されている。
同社のサービスは、2022年に店内の厨房設備を活用したゴーストレストラン事業を開始したほか、2024年には「ローソンデリバリーシステム」をリリースし、店頭在庫のリアルタイム管理が可能に。さらに、2026年3月には自社アプリとして「ローソンデリバリー」と呼ばれるサービスをスタート。各種サービスの拡充により、2025年度のデリバリー売上は、2024年度の約4割増に達しているという。
現在ローソンのデリバリー事業は、「Uber Eats」のほか、「menu」「出前館」(ゴーストレストラン商品のみ対応)、そして自社の「ローソンデリバリー」といった4つのプラットフォームで展開。
同社の強みは、店舗数の多さに加えて、デリバリーも24時間営業となっているため、注文してから比較的早い時間で商品が届く点だ。さらに、約3,000種類の品揃えがデリバリー展開されることで、食事だけでなく、日用品・医薬品までが一緒に届く「コンビニならではの網羅性」も大きな強みであると強調する。
ゴーストレストラン事業は、全国のローソン約9,900店舗で導入されている店内厨房設備を活用。2026年7月時点で、1都1道2府41県の約1,600店舗で事業展開されており、高知県、沖縄県での展開も予定されている。
また、「Uber Eats」、「menu」、「出前館」のアプリ経由で注文を受け、受注後に店内調理して届ける仕組みとなっている。店内厨房で調理するメニューは、ローソンとは異なるブランド名(屋号)で表示される。飲食店の少ない地域では昼・深夜の注文が多く、揚げ物やドリンクとの併買いや大盛り・トッピング商品が人気で、ゴーストレストラン導入店舗の店内調理品の売上は、導入前と比較して1~2割増になっているという。
デリバリーによる注文件数については、夕夜間に強いニーズがあり、深夜もかなり高くなっているのが特徴。一方、曜日別に見ると、週末にかけて大きく伸長しているという状況となっている。夕夜間から深夜にかけてのニーズの高さは、ほかのレストラン事業者の場合、深夜には店が閉まっていたり、デリバリーに対応していないケースが多いことから、ここでもローソンの24時間営業が大きな強みになっていると分析。ゴーストレストランも含めて、深夜でもできたての商品を届けられるという特徴をしっかりと活かしていきたいとの考えを明かした。
一方、エリア別の利用実績において、関東、近畿が上位となっていることについて、デリバリーのカバー率の高さと、クイックコマース需要の高さが大きな要因になっていると考えられるが、都心と郊外では使われ方にも違いがあるという。
特に都心は、「クイックコマース需要」に加えて、「夜間・深夜帯のニーズ」や「医薬品デリバリーの需要増」といった特徴があるのに対し、郊外では「買い物負担の軽減」や「日用品・食料品の『まとめ買い』」、さらにはエリア内におけるレストラン業者の少なさからくる「店内厨房を活用したゴーストレストラン需要」などが特色となっている。
また、デリバリーの売れ筋商品において「フライドフーズ」が1位となっていることについて、通常のデリバリーの中でも、ゴーストレストランの中でも、揚げ物需要が非常に強い傾向を示しているという。
また、店頭でも人気が高い「デザート」が3位になっていることについては、夜間や休日に「外出せずに甘いものが食べたい」という心理にデリバリーがマッチ。ほかの食品や飲料と一緒に「あともう1品」としてカートに追加されやすい傾向にあるという。そのほか、7位に「冷凍食品」がランクインしていることについては、今すぐ食べるという「即食」とは別に、自宅にストックしておくための「買い置き」ニーズとしても購入されているとの見解を示した。
一方、売れ筋商品を夏場に限定すると、デリバリー導入店舗の拡大や販促施策に加えて、記録的な猛暑による外出控えが大きな要因となり、2025年7・8月のデリバリー販売実績は前年比で約4割増を記録。特に約5割増の「アイス」や、約7割増の「冷たい麺」などが大きく伸長しているが、これは夏場に限らず、季節ごとの商品を常に入れ替えつつ、訴求の仕方にもしっかりと強弱をつけている結果であるとした。
今後は、デリバリー配送エリアおよび取り扱い商品数のさらなる拡大を目指す一方で、クーポンなどの販促施策をさらに強化していくことに加えて、8月からは新たなプラットフォームとして「ロケットナウ」をゴーストレストラン限定で導入。神奈川県内の1店舗にて検証をスタートする予定となっている。


