- 看護師が「将来に不安を感じること」のランキング
- 「収入への不安」が最も多い背景と調査データ
- 現在の給与や生活のゆとりが将来の不安につながる理由
- 勤務先の将来性・キャリア・ワークライフバランスへの不安の実態
- 将来への不安を整理するために考えたい3つのポイント
- 「転職すべき?」「給与は改善する?」など、よくある疑問への回答
「このまま今の職場で働き続けても大丈夫だろうか」「数年後も今と同じように働けるだろうか」―。そうした将来への不安を抱えている看護師は、決して少なくありません。
医療機関などの経営者・管理部門担当者向けの採用支援サイト「メディカルサポネット」が看護師の勤務実態や経済状況、離職・転職意向などをまとめた「看護師白書2026」によると、多くの看護師が収入やキャリア、勤務先の将来性に対して不安を感じていることが明らかになりました。特に「十分な収入を得られるか」という不安は全項目の中で最も多く、経済面への心配が将来不安の中心になっています。
本記事では、多くの看護師がどのような不安を抱えているのかをデータから紐解いていきます。
看護師の将来的な不安項目ランキング
看護師人材紹介サービス「マイナビ看護師」に登録している会員に「職場に対する将来的な不安項目」を聞いたところ、ランキングは以下のようになりました(※複数回答可)。
1位:十分な収入を得られるか(64.6%)
2位:病院・施設の業績が伸びるか(53.1%)
3位:自分が成長できるか(50.1%)
4位:安定したキャリアを築けるか(49.3%)
5位:仕事と私生活を両立できるか(45.3%)
6位:自分の雇用が守られるか(44.2%)
7位:仕事のやりがいを感じられるか(43.2%)
8位:病院・施設の事業に社会的価値があるか(32.7%)
9位:自分の仕事に社会的価値があるか(28.2%)
職場に対する将来的な不安では、「十分な収入を得られるか不安に感じる」が64.6%で最も多くなっています。次いで「病院・施設の業績が伸びるかどうか不安に感じる」が53.1%、「自分が成長できるか不安に感じる」が50.1%となっており、収入面に加えて、組織業績や自身の成長機会への不安が大きいことがうかがえます。
年代別では、20代・30代において「仕事と私生活を両立できるか不安に感じる」が全体より高く、若年層ではワークライフバランスへの不安が目立ちます。40代では「十分な収入を得られるか」「安定したキャリアを築けるか」などが高く、収入・キャリア面への不安が強い傾向です。
在籍期間別では、3年~10年未満で「自分が成長できるか」の不安が大きく、職場に一定程度慣れてきた段階で、今後のキャリア形成や成長機会に対する課題意識が高まりやすいと考えられます。職場の総合満足度別では、不満層で多くの項目が全体を大きく上回っており、不安を強く感じている様子がうかがえます。
「収入への不安」が最も多いのはなぜ?
将来への不安の中でも、「十分な収入を得られるか」が64.6%と最も高い割合になった背景には、現在の待遇に対する納得感の低さがあります。看護師は専門性や責任の大きな仕事ですが、「今の給与が仕事の貢献に見合っていない」と感じる人が少なくありません。その結果、「このまま働き続けても生活は改善するのだろうか」という将来への不安につながっていると考えられます。
収入への不安は単なる「もっと稼ぎたい」という希望ではなく、生活設計や将来設計そのものへの不安として現れていることが、今回の調査から読み取れます。
物価上昇やライフイベントへの備え、老後資金などを考えると、「今の給与で将来も安心して暮らせるのか」と感じるのは自然なことです。特に若い世代ほど将来のライフプランが長いため、給与水準への不安はより強くなりやすいと考えられます。
「経済的なゆとりがない」と感じる人は7割弱
将来への不安をさらに強めているのが、現在の生活に余裕を感じられていない現状です。「看護師白書2026」の調査によると、「経済的なゆとりがない」と回答した看護師は67.0%でした。さらに、精神・心理面のゆとりがない人は57.6%、体力・健康面では53.6%、時間的なゆとりでは52.0%となっています
経済面だけでなく、心身や時間にも余裕を感じられていない看護師が半数を超えていることから、将来への不安は一つの要因ではなく、日々積み重なる負担の延長線上にあることがわかります。
生活に余裕が持てない状態が続けば、「この働き方を何年も続けられるだろうか」という疑問を抱くのは決して珍しいことではありません。
給与への不満ともつながっている
将来への不安は、現在の給与に対する評価とも密接に関係しています。「看護師白書2026」では、66.8%の看護師が「現在の給与は仕事の貢献に見合っていない」と回答しています。また、給与が見合っていないと感じる看護師の87.6%は、「適正だと思う給与は今より10%以上高い」と回答しており、多くの人が現在の給与と理想との間に大きなギャップを感じています。
現在の待遇に納得できていない状態では、「この先も収入は増えないのではないか」「将来の生活設計が立てられない」と考えてしまうのも無理はありません。
将来への不安は漠然とした感情ではなく、「現在の給与」「生活のゆとり」「将来への見通し」が積み重なって生まれている、根拠のある不安だと言えるでしょう。
看護師が抱く将来への不安要素
将来への不安で最も多かったのは収入面ですが、「看護師白書2026」を見ると、勤務先の経営状況や自分自身のキャリア形成、ワークライフバランスなど、将来に関わるさまざまな項目で約半数の看護師が不安を抱えていることがわかります。
つまり、「収入さえ上がれば解決する」という単純な問題ではなく、今後も安心して働き続けられる環境を描きにくいことが、不安の背景にあると考えられます。
病院・施設の経営は大丈夫か
将来への不安として2番目に多かったのが、「病院・施設の業績が伸びるか」という項目です。近年は物価や光熱費の高騰、人材不足などの影響で、多くの医療機関が経営課題を抱えています。そのため、「勤務先が今後も安定して運営されるのか」「人員不足がさらに深刻化するのではないか」と不安を感じる看護師は少なくありません。
病院の経営状況は、給与や賞与だけでなく、人員配置や教育体制、福利厚生にも影響します。そのため、自分ではコントロールできない要素だからこそ、将来への不安につながりやすいと考えられます。
この職場で成長し続けられるのか
「自分が成長できるか」という不安を挙げた人も半数を超えました。看護師として長く働くためには、日々の経験だけでなく、新しい知識や技術を学び続ける環境も重要です。しかし、
- 研修に参加する時間がない
- 人手不足で教育に十分な時間を割けない
- キャリアアップの道筋が見えにくい
といった状況では、「このままで成長できるのだろうか」という不安を抱きやすくなります。将来への不安を減らすためにも、「学び続けられる環境」があるかどうかは大切な視点と言えるでしょう。
安定したキャリアを築けるか
キャリアへの不安も、約半数の看護師が感じていました。看護師は専門職ですが、結婚や出産、育児、介護など、ライフステージの変化によって働き方を見直す人も少なくありません。そのため、
- 将来も今と同じ働き方を続けられるのか
- 管理職を目指すべきなのか
- 専門資格を取得した方がよいのか
など、自分のキャリアの方向性について悩む人も多くいます。キャリアに正解はありませんが、自分が「どのような働き方を続けたいか」を考えることが、将来への漠然とした不安を整理する第一歩になります。
仕事と私生活を両立できるか
「仕事と私生活を両立できるか」という不安も、上位に挙がりました。看護師は夜勤やシフト勤務が多く、生活リズムが不規則になりやすい職種です。さらに、子育てや家族の介護、自分自身の健康管理など、仕事以外のライフイベントが重なることで、「今後も今の働き方を続けられるだろうか」と感じる人もいます。
特に、体力面や精神面のゆとりが失われると、将来への不安はより大きくなりやすい傾向があります。
改善の見通しが持ちにくいから将来の不安が増大?
将来への不安が大きくなる理由の一つが、「今後よくなるイメージを持ちにくい」という現状です。「看護師白書2026」では、給与改善への期待についても調査しています。その結果、「所属施設の給与改善を期待できない」(85.8%)、「看護業界全体の給与改善を期待できない」(86.1%)と、所属施設だけでなく、看護業界全体についても約9割が「改善を期待できない」と回答しました。
現在の待遇に不満を感じているだけでなく、「この先も変わらないだろう」という見通しを持っている人が多いことが、将来への不安をさらに強めていると考えられます。
「今だけ」の悩みではないからこそ不安になる
給与や働き方に多少の不満があっても、「将来的には改善されそう」と思えれば、不安は和らぐかもしれません。しかし、「昇給があまり期待できない」「人手不足が続いている」「業務負担が年々増えている」という状況では、「数年後も同じ悩みを抱えているのではないか」と考えてしまうのは自然なことです。今回の調査結果は、多くの看護師が現在だけでなく、将来に対しても改善のイメージを持ちにくい状況にあることを示しています。
将来への不安を感じたときに整理したい3つのポイント
将来への不安を感じたときは、「このままでいいのだろうか」と漠然と考え続けるよりも、自分の状況を一つずつ整理してみることが大切です。
今の不安は「職場」の問題なのか
まず考えたいのは、不安の原因が現在の勤務先にあるのか、それとも看護師という仕事そのものにあるのかという点です。
例えば、人間関係や評価制度、シフト体制などが原因であれば、職場を変えることで改善する可能性があります。一方で、「どんな職場でも夜勤は避けられない」「専門職として責任が重い」といった悩みは、職種全体に共通する課題かもしれません。
不安の原因を切り分けることで、「環境を変えるべきか」「働き方を見直すべきか」が見えやすくなります。
将来どんな働き方をしたいのか
「今の職場を辞めたい」という気持ちだけでは、転職後も同じ悩みを抱えてしまうことがあります。「夜勤を減らしたい」「家庭との両立を重視したい」「専門性を高めたい」「管理職を目指したい」など、自分が将来どのような働き方を望んでいるのかを整理してみましょう。
目指す方向が明確になることで、「今の職場に残る」「転職する」という判断もしやすくなります。
「変えられること」と「変えられないこと」を分ける
将来への不安をすべて一人で抱え込む必要はありません。勤務先の経営状況や医療業界全体の変化など、自分ではコントロールできないこともあります。一方で、情報収集を始めたり、キャリアについて相談したり、自分に合う職場を探したりすることは、自分自身で行動できます。
「変えられること」に目を向けることで、不安は少しずつ具体的な行動へと変わっていきます。
看護師の将来に関するFAQ
ここでは、看護師の将来への不安に関する悩みを一問一答形式でまとめました。
Q. 看護師が将来に不安を感じる一番の理由は何ですか?
「看護師白書2026」では、「十分な収入を得られるか」が64.6%で最も多く、将来への最大の不安となっています。
Q. 将来への不安を感じるのは自分だけですか?
いいえ。収入だけでなく、病院の経営状況やキャリア形成、仕事と私生活の両立など、多くの看護師が同様の悩みを抱えています。
Q. 将来への不安があるときは転職したほうがいいですか?
必ずしも転職が正解とは限りません。まずは不安の原因が職場にあるのか、働き方そのものにあるのかを整理することが大切です。
Q. 将来の給与は改善すると期待できますか?
調査では、所属施設の給与改善を期待できない人は85.8%、看護業界全体では86.1%でした。だからこそ、現在の職場だけでなく、自分に合った働き方やキャリアを主体的に考えることが重要になります。
Q. 将来への不安を軽くするために今できることはありますか?
自分がどのような働き方を望んでいるのかを整理し、情報収集を始めることが第一歩です。転職を前提としなくても、他の職場やキャリアの選択肢を知ることで、不安が具体的な行動へ変わることがあります。
まとめ
「将来が不安」という気持ちは、決してあなただけが抱えているものではありません。「看護師白書2026」では、64.6%が「十分な収入を得られるか」に不安を感じているほか、勤務先の経営状況やキャリア形成、仕事と私生活の両立など、多くの看護師が将来へのさまざまな不安を抱えていることが明らかになりました。また、所属施設の給与改善を期待できない人は85.8%、看護業界全体でも86.1%にのぼり、「今後よくなるイメージを持ちにくい」という現実も、不安を大きくする要因になっています。
しかし、将来への不安を感じること自体は決して悪いことではありません。むしろ、「このままの働き方でよいのだろうか」と立ち止まって考えるきっかけにもなります。不安の原因が現在の職場にあるのか、それとも働き方やキャリア全体にあるのかを整理することで、次に取るべき行動は見えてきます。
将来の収入や職場環境、キャリアは、自分一人で変えられない部分もあります。しかし、自分に合った職場を探したり、働き方を見直したり、情報収集を始めたりすることは今日からでもできます。
将来への不安を「漠然とした心配」のままにせず、「これからの働き方を考えるきっかけ」に変えていくことが、納得できるキャリアにつながる第一歩になるでしょう。
出典:「看護師白書2026」(マイナビ メディカルサポネット)
調査時期:2026年2月19日~2026年3月16日
調査対象:「マイナビ看護師」会員
調査数:406名
調査方法:インターネットログイン式アンケート



