日本コカ・コーラおよびコカ・コーラ ボトラーズジャパンは7月28日、埼玉県飯能市と「多摩工場周辺流域の水資源保全を目的とした白岩及び山中エリア市有林の森林保全等に関する協定書」を締結した。関係者は「水資源を守る取り組みをさらに強化していければ」と意気込む。

  • 日本コカ・コーラ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、埼玉県飯能市が水資源保全に向けて協定を締結した

    日本コカ・コーラ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、埼玉県飯能市が水資源保全に向けて協定を締結した

豊かな水と森林のために

コカ・コーラシステムでは、全国の22工場すべての周辺流域における水資源の保全を推進している。多摩工場の周辺流域では2023年に東京都八王子市、山梨県丹波山村と水資源保全に関する協定を締結し、流域全体の健全化に取り組んできた。

  • 多摩工場の周辺流域での取り組み

    多摩工場の周辺流域での取り組み

このたび新たに飯能市と協定を締結することで、多摩工場の周辺流域 約300ヘクタールの広大なエリアにおいて、大規模な森林保全を含む水資源保全活動を行っていく。ちなみに林野庁の試算モデルに基づく計算では、今回の対象となる森林は年間で約173万立方メートルの水を蓄えられる(=埼玉県民約732万人の1日の生活用水を上回る)という。

  • 飯能市との協定

    飯能市との協定

日本コカ・コーラの田中美代子氏は「当社にとって水は商品の原材料であるだけでなく、事業そのものを支える貴重な資源です。飯能市さんとの協定により、多摩工場で商品を製造するために使用した水量の100%以上の水を同工場周辺流域内で自然に還元する水源涵養(かんよう)を実現してまいります」と説明する。

  • 日本コカ・コーラ 広報・渉外&サステナビリティ推進本部 副社長の田中美代子氏

    日本コカ・コーラ 広報・渉外&サステナビリティ推進本部 副社長の田中美代子氏

  • 多摩工場で製造されている商品

    多摩工場で製造されている商品

全世界200以上の国や地域に展開しているコカ・コーラ社では、そのほとんどのケースにおいて現地で水を調達している。そこで気になるのがグローバルにおける水源涵養率だが、田中氏によれば(2024年時点で)157%以上を達成しているとのこと。これはつまり、商品製造のために使用した水の量の約1.57倍超の水を自然に還元していることを意味する。なお日本国内の22工場における水源涵養率は非開示ながら「グローバルの平均は大きく上回る」(田中氏)としている。

  • グローバルの水源涵養率は157%以上

    グローバルの水源涵養率は157%以上

では、どうやって水資源を守っていくか。これについては「地域の自然、そこに暮らす人々の生活に寄り添ったアプローチが大事になります」と田中氏。そして「地域全体の水循環の健全性を考え、次世代にどのようにつないでいくか、これからも真剣に考えてまいります」と続ける。

またコカ・コーラ ボトラーズジャパンの小林克徳氏は「水を地域に戻していくことは、私たちの経営上の重要なミッションです」と話す。

  • コカ・コーラ ボトラーズジャパン SCM本部 QSE&サプライチェーンエクセレンス統括部長の小林克徳氏

    コカ・コーラ ボトラーズジャパン SCM本部 QSE&サプライチェーンエクセレンス統括部長の小林克徳氏

同社では工場に使う水を河川から取水し、工場内で効率的に使い、ときに循環・再利用しながら、適切な形で排水している。これについて小林氏は「地域の水を利用している以上、河川に流れている水より良い品質にしてから河川に放流すること。これは私たちの責任です」と説明する。

  • 工場内における水資源の取り組み

    工場内における水資源の取り組み

飯能市との協定では、東京ドーム64個分にあたる広大な森林において、人工林の間伐、獣害対策を兼ねた針広混交林化、危険木の伐採、下草管理などを行う。「これからも限りある水資源をしっかり大切にしながら事業を継続してまいります」と小林氏。

  • コカ・コーラ システムの水資源保全

    コカ・コーラ システムの水資源保全

最後に、飯能市の新井市長が登壇した。市域の約75%を森林が占める飯能市では2005年に「森林文化都市」を宣言した。自然と都市機能が調和するまちの創造を目指したもので、地域のブランド材である"西川材"をはじめとする森林資源を活かした取り組みを進めている。

  • 飯能市長の新井重治氏

    飯能市長の新井重治氏

  • 飯能市について

    飯能市について

「地域の75%に広がる森林の内訳ですが、スギ・ヒノキの人工林が82%を占めています。戦後に大量に植えられ、国の復興と高度経済成長を支えましたが、現在は林地の荒廃、生態系への悪影響、花粉症の増加など、様々な課題を抱えています」と新井市長。

  • 飯能市の森林の特徴

    飯能市の森林の特徴

協定の対象となる白岩・山中エリアは天然林が75%、人工林が25%という状況。清流、苔むした岩などの美しい景観が広がるが、一方でスギ・ヒノキの人工林は手入れ不足で環境が悪化しており、ニホンジカの増加による食害もみられる。水資源の循環という観点でも課題が多い、と新井市長。

  • 白岩・山中エリアの課題

    白岩・山中エリアの課題

そこで飯能市でも本協定の効果に期待を寄せる。「間伐により森林を適度に間引きし、地面に下草が生えるよう促します。将来的には、針葉樹と広葉樹が混ざり合うモザイク状の豊かな森林に導きます。また動植物をモニタリングし、防護策なども設置します」と展望を語る。

  • 主な活動内容

    主な活動内容

飯能市では今回の協定により、地域の水資源保全、地域の自然環境や暮らしの安全・安心の確保を目指す。新井市長は「次世代に、豊かな水と森林を継承してまいります」と強調した。

  • 期待する効果

    期待する効果