アイ工務店では、夏場に建築する約3,000棟の現場にエアコンを導入する。これにより作業環境を改善し、労働者の安全と健康を確保する考えだ。7月中旬には東京・小金井市の戸建建築現場にて、メディア向けの現場見学会が行われた。
■エアコンの導入に、職人の反応は?
47都道府県において、年間で8,500棟を超える戸建て住宅を受注しているアイ工務店。そのうち6~9月に建築する約3,000棟の全ての建築現場を冷房化する。具体的には、上棟して屋根に断熱を入れた段階で、窓枠に取り付けられるエアコンを設置。現場の職人に、快適な環境で働いてもらうという。
どのような経緯で、エアコンの導入を決めたのだろう?
アイ工務店の斎藤隆輔氏は、そのきっかけに厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)があった、と話す。同ガイドラインでは(現時点では努力義務の規定ながら)60歳以上の高齢労働者の働く環境を改善し、その健康状態にも留意するよう求めている。
「労働者の安全に対する配慮は、今後、ますます大事になってきます。現場に入る大工さん、電気工事士さんなど、いわゆる職方さんの労働環境を改善すべく、こうした取り組みを行うことになりました」と斎藤氏。ちなみに全棟規模で冷房環境を整備する試みは、業界初とのこと(当社調べ。2026年5月、工事着工現場全棟への冷房環境整備として)。
現場の職人にも話を聞いた。施工を請け負う工務店の代表者は、エアコンの効果について「実際、とても快適です。夏の作業現場は、ときに命の危険を感じることもあります。冷房が入ることで身体も動きやすくなりますし、暑さで意識が朦朧として起こる事故のリスクもなくなります。1日の疲れ具合も、まったく違ってきます」と話す。
従来の建築現場の過酷さについて、50代の現場職人は「上棟して窓サッシを付けると、現場に風が通らなくなります。周辺が住宅街であれば、防音のために玄関も窓も締め切って作業を行うので、夏場にはまるでサウナのような状態になります。もはやファン付きの作業服では対応できないレベルです」と説明。エアコンの導入に対して、あらためて感謝の言葉を並べる。
今回、アイ工務店が採用したのはコロナ社の「ウインドエアコン」。大工の作業が大詰めを迎え、ほぼ仕上げの工程に差し掛かった頃に取り外す予定だという。
アイ工務店の斎藤氏は「当社では今年、8,900棟の引き渡しを目指しています。職人さんの仕事環境を整えながら、この目標を達成できるよう取り組みを進めてまいります」と話している。






