今までのパチンコにはない規模感の表現に
菊池氏は、2026年8月に導入予定の『eソードアート・オンライン アリシゼーション 夜空』でもプロジェクトリーダーを務めている。
「『アリシゼーション』は、全47話とかなり長期的なアニメなんですよね。それでも、今回はゲームフロー自体がストーリーを進行させるという作りになっていて、47話分フルで入れています。恐らく今までのパチンコにはない規模感の表現になっているのではないかと」
2026年5月11日にYouTubeで公開された『eソードアート・オンライン アリシゼーション 夜空』のPVは、再生数が150万を超える(2026年7月上旬時点)。コメントでも『SAO(ソードアート・オンライン)が好きな人がつくったんだ』「ここまで原作愛があるPVを作れるメーカーが他にあるだろうか」と絶賛されている。
「PVの構成や台本、プロットは自分で作ります。どの機種でもそうですが、数年向き合って作ってきたプロジェクトでもあるので、世の中に届けるまで自分で携わりたいという思いが強くあります。機械の魅力を自分の言葉で伝えたい。加えて、今回ももちろんそこは意識しましたが、メッセージとしては“パチンコ業界全体がよくなってほしい”という思いも込めたPVになっていて。世界観がおかしくならない範囲で伝えたいことを盛り込みました。結果的に原作ファンの方からも好評の声をいただけて、ありがたい限りです」
パチンコを誰もが公平に楽しめるレベル感まで持っていければ
今回の機種は、「フェアぱちんこプロジェクト」第1弾としても注目を集めている。すべてのプレイヤーに公平なチャンスを与える新機能「FAIR START(フェアスタート)」を搭載しており、スタートの安定性を実現しつつ、パチンコ本来の楽しさである玉の動きも徹底的に追求しているという。“パチンコ業界全体が良くなってほしい”というメッセージをPVに込めたのも、この「フェアぱちんこプロジェクト」の理念に則ってのことだ。
「いまパチンコ業界はあまり元気がありません。正直、回らなかったり、打ったら負けるというイメージが付いてしまっているところもあるかなと。誰もが公平にエンタメとして楽しめるレベル感まで持っていければという思いから、このプロジェクトが始動しました」
「フェアぱちんこプロジェクト」は、これからも様々な施策を行っていくという。
「この第1弾を皮切りに、お客さんがちょっとでも楽しく遊べる時間を増やしていきたいと思っています。勝率なども含めて。お客さんに優しい作りにしていきたいですね」
“コンテンツを大事にしたい”という思いの先に
さらなる画期的な動きとして、大都技研と京楽産業.がメーカーの枠を超えて初タッグを組んだ「スマパチ&スマスロ 2026 SAO YEAR」プロジェクトも始動。本プロジェクトは、『ソードアート・オンライン』『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』の新機種導入を機に、パチンコ・スロット両機種を盛り上げる共同プロモーション企画だ。
「この夏、一気に『ソードアート・オンライン』関係で4機種が出るということもあり、業界を盛り上げるタイミングとしてはいいのでは、ということでプロジェクトが進みました。実施まで至ったのは、やはり『ソードアート・オンライン』のコンテンツを大事にしたいという思いがお互いのメーカーにあったからかなと。ライバル社と言えるかもしれませんが、お互いが成功することが結果的にプラスになると思うんですよ。だから、大都技研さんの台もヒットして欲しいと思っています」
プロジェクトでは、2社共通で使用できるホール装飾(4機種分)、SNSでのコラボ、スペシャルキャンペーン、その他にもさまざまなイベントやプロモーションでのコラボを予定している。
“好き”という気持ちはあったほうがいい
パチンコ業界に熱い思いを馳せる菊池氏。そんな彼が、ともに働く同志として、どんな人材を求めているのか。
「やはり“好き”という気持ちはあったほうがいいかなと思っています。能力や学歴どうこうよりも、モノづくりや、パチンコ・パチスロが好きで開発に夢中になれる人は活躍しやすいと思います。個人的にはいい職種だと感じていますね」
そういう熱意や好きという気持ちが仕事につながる土壌が、京楽産業.にはある。
「パチンコにしたいIPは、ライツ側から提案をもらいながら開発チームで検討していくこともありますし、開発側から逆提案して許諾の可能性があるのか模索していくこともあります。つまりは、好きという気持ちや熱意が形になるかもしれないんですよ。実際に、いま若手社員が企画書を作って、版元さんへ提案に行くこともあります。やりたいことを体現できる環境で、やりがいを実感しやすいと感じています」
ヒットメーカー・菊池氏は、「自分は特別なことは何もしていない」と何度も口にしていた。しかし、その言葉とは裏腹に、プロデューサーという立場になっても現場に立ち続け、大きなプロジェクトでは自ら責任を背負い、作品や業界全体の未来まで見据えて開発に向き合う姿勢からは、揺るぎない信念が浮かび上がる。
菊池氏の足跡を振り返ると、一貫していたことがひとつある。それは、「好き」という気持ちが、ものづくりの原動力になっていることだ。そして、その「好き」は、自分のためだけでなく、同志や作品、そしてユーザーのために徹底して向き合い、最前線に立ち続ける責任感へと昇華していく。
エンターテインメント業界では、提供する側が夢中になり、心から楽しめていることが、何よりも大切なのかもしれない。菊池氏が語る「好き」という言葉には、自然とそう思わせる重みと説得力があった。菊池氏は、これからも一台一台の遊技機に情熱を注ぎ込み、多くのプレイヤーに「好き」を届けていく――。



