10日からTOHOシネマズ日比谷ほかで全国ロードショーされる、特別先行版『鬼平犯科帳 本所の銕/密告』の前夜祭舞台挨拶が9日、東京・TOHOシネマズ 日比谷で行われ、松本幸四郎、市川染五郎、駒木根葵汰が登壇した。
同作は、松本幸四郎主演の『鬼平犯科帳』シリーズ最新作。『本所の銕』では、市川染五郎が若き日の長谷川平蔵こと長谷川銕三郎を演じ、『密告』では幸四郎演じる平蔵が過去と向き合う、2作連なった物語となっている。
“主演”を張り合う親子
冒頭のあいさつで、染五郎は「鬼平犯科帳の主演、市川染五郎です」と自己紹介。続いて幸四郎も「僕も主演です」とすかさず反応して張り合い、会場を沸かせた。
2つの物語の鍵を握る御家人・横山小平次と盗賊・伏屋の紋蔵を一人二役で演じた駒木根は、時代劇には「厳しい現場」という先入観があったというが、「本当に幸四郎さんがすごく明るい方で、ずっとちょっかいをかけてくださったんです」と紹介。
さらに、「周りのキャストの方にもちょっといじられたりしていて、すごく柔らかい方なんだなと思って、安心できました」と振り返ると、染五郎が「申し訳ございません」と父に代わるように謝罪した。
そんな幸四郎は、完成作を見て「正直泣きました」と告白。「それぐらい素晴らしい作品だと思いましたし、またその素晴らしい作品に参加できたことへのうれしさで泣けました」と感慨を語る。
幸四郎は『本所の銕』で銕三郎を演じた染五郎をはじめ、おまさ役の中島瑠菜、左馬之助役の阿佐辰美ら若い世代の成長にも言及。「若い銕三郎をはじめ、左馬助、おまさと、役者さん自身もすごく成長したということも重なって、感動でしたね」と話した。
染五郎、父・幸四郎の“鬼平”を研究
染五郎は、前回出演した『本所・桜屋敷』『血闘』から約2年を経て同じ役に向き合ったことで、「前回の時の写真と今回の時と比べると、顔つきや体つきが変わっていることを客観的に見ることができました」という。歌舞伎と違い、映像作品で同じ役を数年越しに演じる機会は「とても新しい体験でした」と語った。
さらに染五郎は今回の役作りで、父・幸四郎を強く意識していたことを明かした。前回は「とにかく銕三郎という役を演じることに徹してやろうと思っていました」というが、今回は物語の時系列としても銕三郎が平蔵に近づいていること、自身も年齢を重ねたことから、「平蔵になるまでのグラデーションみたいなものを前回よりも見せたいなと思いました」と思案。
そのため、「今回はあえて父の真似をしよう」と、父が演じた過去の『鬼平』を改めて見返し、「しゃべり方とか、セリフ回しとか、歩いている時、立っている時の体つきとか、そういうのも徹底的に真似をしました」と臨んだ。
駒木根は、幸四郎、染五郎からぞれぞれ見おろされるシーンがあり、「同じオーラというか圧力を感じました」と、重なって見えたことを語っていた。
父・幸四郎が完成作に涙し、息子・染五郎は父の“鬼平”を研究して若き銕三郎を演じる。親子で同じ人物の過去と現在を担う本作ならではの縁が、舞台挨拶でもにじんでいた。




