10cc、ヤードバーズ、ホリーズ…UK黄金時代の重要人物、グレアム・グールドマンの来日公演が見逃せない理由

グレアム・グールドマン(Graham Gouldman)がまもなく来日。7月21日(火)・22日(水)に東京、7月23日(木)横浜のビルボードライブへ出演する。10ccの創設メンバーにして、英国ポップ&ロック史にその名を刻むソングライターの歩み、そして来日公演の見どころを音楽ライター・山﨑智之に解説してもらった。

ヤードバーズ、ホリーズ、10cc…時代を超えて愛される名曲たち

英国ポップのリスナーだったら、そのクレジットのある作品が必ずCD/レコード棚に何枚か並んでいるに違いない。ブリティッシュ・ポップ&ロックの黄金時代を彩ってきたアーティスト、グレアム・グールドマンが2026年7月に来日公演を行う。

グレアムで最もよく知られているのは、10ccでの活動だろう。1972年に結成されたこのバンドは心に残るメロディとアート感覚あふれるサウンド・プロダクションが支持を得て、イギリスを代表するトップ・グループとなった。彼らの「Im Not In Love」「The Things We Do For Love」「Dreadlock Holiday」などは1970年代を代表するポップ・クラシックスとして、時代を超えて聴き継がれている。

さらにグレアムはソングライターとしてさまざまなアーティストに曲を提供。ヤードバーズ「For Your Love」「Heart Full Of Soul」、ホリーズ「Bus Stop」「Look Through Any Window」、ハーマンズ・ハーミッツ「No Milk Today」、ジェフ・ベック「Tallyman」などは彼の書いたものだ。それらの曲が1960年代の”ブリティッシュ・インヴェイジョン”ブームによってアメリカ、そして世界へと波及。続く世代のアーティストにもカバーされたことで、その曲は現代でも聴かれている。

10ccは1977年に初来日、2019年には8度目の日本公演が行われている。既にグレアムが唯一のオリジナル・メンバーだが、いずれもバンド名義ということで、ステージで披露される楽曲は10ccの枠内のものだった。だが今回披露されるのはグレアムのオールタイム・ベストだ。”Heart Full Of Songs”と銘打たれたショーは既に海外で行われているが、永遠の名曲からあっと驚くサプライズまで、多彩な選曲でファンを魅せている。

Photo by Martin Porter

グレアム・グールドマンの歩み、ソングライター時代から10cc結成まで

グレアムの現在に至る軌跡を追ってみよう。1946年、マンチェスター近郊のブロートンに生まれた彼は17歳の頃からバンドを始め、モッキンバーズで活動するのに並行して、外部ソングライターとして他のアーティストに楽曲を提供するようになった。

彼が書いた当時の曲で最もよく知られているもののひとつが1965年の「For Your Love」だろう。ヤードバーズがレコーディングすることになり、ギタリストのエリック・クラプトンが「俺がやりたいのはブルース/R&Bだ。こんなポップな曲をやっていられるか!」と、バンドを脱退するきっかけとなったイワク付きのこの曲だが、本国イギリスやアメリカで大ヒット。ヤードバーズは一躍人気バンドとなった。そのため、後任ギタリストとしてジェフ・ベックが加入してからも彼は「Heart Full Of Soul」と「Evil Hearted You」を提供。バンドをさらなる成功へと導いている。

1960年代を通じてホリーズに「Bus Stop」、ハーマンズ・ハーミッツに「No Milk Today」、ウェイン・フォンタナに「Pamela, Pamela」を提供するなど、外部ソングライターとして活躍していたグレアムだが、彼が真の意味で求めていたのは自らがアーティストとして表現することだった。彼は『The Graham Gouldman Thing』(1968年)でそれらの楽曲をセルフ・リメイク。オリジナルにかなりのアレンジが加えられたこのアルバムは当時北米市場のみでリリースされたが、21世紀に入って日本やヨーロッパでCD化。現在では各ストリーミング・プラットフォームで配信されており、日本公演に向けての予習としても便利だったりする。

1969年、オハイオ州出身のオハイオ・エクスプレスに「Sausalito (is The Place To Go)」を提供するなど、ソングライターとしても順調だったグレアムだったが、運命の輪が回り始める。マンチェスター近郊のストックポートにある”ストロベリー・スタジオ”でセッション・プレイヤーをしていたエリック・スチュワート、ケヴィン・ゴドリー、ロル・クリームからの誘いで、彼らのバンド、ホットレッグスに参加することになったのだ。3人はいずれもマルチ・インストゥルメンタリストだったが、ライブでのベーシストがいなかったため、彼に声がかかったのだった。

ツアーを終えて、4人はセッションなどの裏方作業を中心に活動を続ける。1972年、ニール・セダカの『Solitaire』でバックを務めたとき、「君たちはバンドを組むべきだ」とアドバイスされて、彼らは10ccとして正式に始動している。

10ccとしての活躍、ビルボードライブで蘇る名曲の数々

ザ・ビートルズの〈Apple Records〉から門前払いを食らった彼らだったが、人気DJのジョナサン・キングからプッシュを受けて発表したデビューシングル「Donna」はいきなり全英チャート2位というヒット。「Rubber Bullets」は1位を奪取している。後者はグレアムも作曲に関わり、ポップの職人が才能を集結させたことで大きな成功を収めた。

彼らがデビューした1972年といえば、デヴィッド・ボウイが国民的TV番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』で「Starman」を歌い、イギリス全土で”グラム・ロック革命”が勃発。数々のアーティストが競うようにド派手な衣装やメイクで単純明快なロックをプレイしていた時期に普段着のデニムを着込み、「Silly Love」「Life Is A Minestrone」など、ヒネリとユーモアを効かせた歌詞は半ばグラムに対するアンチテーゼだった。それゆえにアメリカや非・英語圏の国では”わかり辛さ”がネックとなることもあった。

そんな壁をぶち破ったのが1975年の「Im Not In Love」だった。”恋なんかしていない”と虚勢を張りながら切なさと哀しみをたたえたこのラブソングは、メロディとサウンドの美しさも相まって世界各国で大ベストセラーとなっている。

さらに1978年には「Dreadlock Holiday」が世界的にヒット。レゲエのリズムに乗せて、ジャマイカでカツアゲされる白人をユーモラスに描いたこの曲は、さらに広い層にアピールした(日本では邦題「トロピカル・ラブ」で人気曲となった)。

ケヴィンとロルが1976年に脱退、エリックとグレアムで10ccとしての活動を続けてきたが、エリックも1995年に脱退。グレアムがサポート・メンバーを起用して10ccの名前を受け継ぐ一方で、ソロ名義で”Heart Full Of Songs”ライブも開始している。

来日メンバーはグレアム(Ba、Vo)に加えてキース・ヘイマン(Key)、ベン・ストーン(Dr)、そしてイアン・ホーナル(Gt、Vo)という実力派プレイヤー達で、いずれも現10ccというラインアップ。キースとイアンは2019年の10cc来日公演にも同行するなど、グレアムの音楽とブリティッシュ・ポップを心得た、気心知れた仲間たちだ。

今回の来日ライブでは10ccの名曲の数々はもちろん、グレアムが他アーティストに提供してきた名曲の数々、また海外公演ではザ・ビートルズのリンゴ・スターやクイーンのブライアン・メイがゲスト参加した彼のソロ最新作『I Have Notes』(2024年)からのナンバーもプレイされている。「すべてのヒット曲 & More!」と彼が自ら語るショー、日本でどんな曲が飛び出すか。期待が高まる。

”Heart Full Of Songs”のライブ写真(Photo by Warren Woodcraft)

リンゴ・スターとの共演

Graham Gouldman

Heart Full of Songs

2026年7月21日(火)・22日(水)ビルボードライブ東京

1st Stage:開場16:30 開演17:30

2nd Stage:開場19:30 開演20:30

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2026年77月23日(木)ビルボードライブ横浜

1st Stage:開場16:30 開演17:30

2nd Stage:開場19:30 開演20:30

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2ndステージ 開場19:30 開演20:30

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1stステージ 開場16:30 開演17:30

2ndステージ 開場19:30 開演20:30

ビルボードライブ公式HP:http://www.billboard-live.com/