• (C)フジテレビ

    (C)フジテレビ

千鳥はスタッフが気づかなかったポイントまで拾い、芸人への愛情表現にも見える形で笑いに変えていく。こうしてネタ番組でありながら、ネタ中に千鳥がワイプでコメントし、それをテロップにする異例のスタイルが採られた。

この象徴として挙げるのが、狩野英孝の“クセスゴシンガー”EIKOの歌ネタ。単体で見ると、友達がカラオケでふざけて歌っているような感覚だが、ここに千鳥のコメントが加わることで、視聴者の受け取り方が変わる。

番組における千鳥のコメントを、名城氏は「解釈」と表現。前述の通り、独特のフレーズや言葉でネタの“見方”を提示することで、「アクセルを踏むように圧倒的にスピードが出て、一気にパーンと面白くなるんです」と、その構造を解説した。

  • EIKO(狩野英孝) (C)フジテレビ

    EIKO(狩野英孝) (C)フジテレビ

「フジテレビだけじゃなくて、全局で取り組むべき」

改めて、ネタ番組をレギュラーで続けることについて「結構大変なこと」と率直に語る名城氏。出演者の数や制作体制を考えても、ネタ番組には予算も必要になる。今回、『クセスゴ!』は特番として復活を果たすが、今後の展開はすぐにレギュラーとして戻すというより、定期特番やイベントなど外の活動を含めた展開を見据えている。

その一方で、「なくしちゃいけないもの」と、ネタ番組そのものの意義を強調。『M-1グランプリ』など賞レースが長い時間をかけてメガヒットコンテンツになっていったように、ネタ番組にも歴史を積み重ねることで生まれる価値がある。

「映像が持つ力、お笑いが持つ力みたいなものを伝えていくのが僕らの仕事なので、定期的にやっていくことは、フジテレビだけじゃなくて、全局で取り組むべきだと思います」

コロナ禍に、観客もいない中で始まった『クセスゴ!』は、千鳥のコメントと芸人の“クセ”を掛け合わせることで独自のネタ番組へと成長した。レギュラーとして続ける難しさを知った上で、名城氏はこの番組を次の時代につなげることを「宿題」だと捉えている。

「今、テレビが元気ないとか予算がないとか言われますが、その中でどういうふうに工夫してネタ番組を作っていくのかは、僕らの使命だと思っています」

●名城ラリータ
1976年生まれ、沖縄県出身。日本大学芸術学部卒業後、00年にフジクリエイティブコーポレーション入社。フジテレビのバラエティ制作センターに配属され、『笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』『ココリコミラクルタイプ』『もしもツアーズ』『全国一斉!日本人テスト』『オモクリ監督』『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ)、『有田P おもてなす』(NHK)、『冗談騎士』(BSフジ)などを担当。現在は『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ)、『ナオキマンの都市伝説ワイドショー』(ABEMA)などを手がける。