約1年半ぶりに特番として復活するフジテレビ系バラエティ番組『千鳥のクセスゴ!』(7月4日21:00~)。2020年のコロナ禍真っ只中に誕生し、人気芸人たちが披露する“クセがスゴいネタ”を、スタジオの千鳥が独自のコメントで味付けしていくフォーマットで支持を集めてきた。
しかし、25年3月にレギュラー放送が終了。テレビのお笑い賞レースや単発特番は増えているものの、レギュラーのお笑いネタ番組は減少の一途をたどっている。そこで、『クセスゴ!』総合演出の名城ラリータ氏(フジクリエイティブコーポレーション)に、レギュラーでネタ番組を続けることの難しさ、そしてそれでもネタ番組を守り続ける理由を聞いた――。
コロナ禍でスタートすると瞬く間にレギュラー化
『クセスゴ!』が生まれたのは、コロナ禍で通常のネタ番組の収録が難しかった時期。観客を入れて芸人のネタを見せることができない中、スタジオで撮影したネタをVTR化し、それを千鳥が見るという形が作られた。
観客がいない分、熱量が下がるリスクもあったが、名城氏は「千鳥さんはお二人とも独特のフレーズや言葉を持っているので、何気ないネタ、表情、コメントを全て拾い上げて、笑いに昇華してもらえる」と考えたという。
2020年5月に第1弾が放送され、3カ月をまたずして8月には第2弾を放送。その2カ月後には早くもレギュラー化となった。
『クセスゴ!』が産声を上げたこの時期は、各局でもお笑い番組・ネタ番組が次々に生まれた。背景にあったのは、20年3月末にあったビデオリサーチの視聴率調査の大幅リニューアル。調査世帯を大幅に拡充することに伴い、コア層(13~49歳など)を重点指標に設定し、若い層に好まれる番組としてお笑い・ネタ番組に白羽の矢が立ったのだ。
20年4月にスタートした『有吉の壁』(日本テレビ)の成功もあり、『賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~』『ザ・ベストワン』(TBS)、『お笑い実力刃』(テレビ朝日)など、次々に芸人がネタを披露するレギュラー番組が編成されていった。
しかし、タイムテーブルから徐々に姿を消していき、名城氏が携わった『有田P おもてなす』(NHK)は22年3月、『クセスゴ!』は25年3月で終了し、今年3月には『ネタパレ』(フジテレビ)が深夜の月1レギュラーに移行した。
スマホでいつでもネタが見られる時代
ネタ番組をレギュラーで長く続けるということは、難しいのか。そんな問いを名城氏にぶつけると、「レギュラーでも特番でも、ネタ番組で長く続いた例はあまりないと思うんです。あれだけヒットした『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)でも2年くらいでしたから」と、その傾向を語る。
理由として挙げるのは、週をまたいで視聴者の興味を引っ張り続ける構造の難しさ。ドラマのように「第1週から第2週、第2週から第3週」とストーリーを積み重ねるのとは違い、ネタ番組では芸人が作るネタそのものが主軸になる。
「クリフハンガー的なワクワクするストーリーを、週またぎで作っていくことがまず難しかったりします。キャラクターが生まれて、爆発していくという例もありますが、それはやっぱりコント番組のほうが強いですから」
もう一つの理由として挙げるのは、視聴環境の変化。今や多くの芸人たちが自分たちのYouTubeやTikTokでネタを発信する時代になり、視聴者が「あの人のネタを見たい」と思った時、テレビ放送を待つよりスマートフォンを開くほうが当然早い。
だからこそテレビのネタ番組は、そこでしか成立しないオリジナリティが必要になる。『クセスゴ!』でその鍵を握るのが、MCの千鳥だ。

