長年、日本の雇用慣行において老後の生活設計を支える大きな柱となってきた「退職金制度」。しかし、物価高騰が続き将来への不透明感が増す現代において、制度の枠組みの中にいるからといって誰もが安心できているわけではないようです。会社の制度としては存在するものの、実際に自分がいくら手にできるのかを具体的に把握し、老後のライフプランを描けている人はどれほどいるのでしょうか。
そこで今回は、40代以上の会社員をしているマイナビニュース会員302名に「退職金に関するアンケート」を実施し、将来的に退職金を受け取る予定がある会社員のリアルな支給見込み額や、その胸の内にある率直な本音を探りました。
退職金の見込み額は「わからない」が最多! 次いで「2,000万円以上」が続く結果に
これから退職金を受け取る予定がある現役世代に対して、まずは退職時に支給されるおおよその見込み額について尋ねました。
最も多かった回答は「わからない」で34.0%にのぼり、全体の3割以上を占めています。就業規則などで「制度があること」自体は把握していても、算出方法の複雑さや将来のキャリアの変化なども考慮すると、実際の着地点を具体的にイメージできていない会社員が非常に多いのが現状のようです。
一方で、ある程度金額の目処が立っている層の回答を見てみると、具体的な金額がわかる中でのトップには「2,000万円以上~3,000万円未満」が14.2%でランクインしていました。かつて社会現象となった「老後2,000万円問題」をクリアできる大台として、このラインが一つの目安、あるいは期待値となっている様子が伺えます。
次いで「1,000万円以上~1,500万円未満」が11.1%、「500万円以上~1,000万円未満」が8.6%と続いており、受給予定者の間でも見込み額にはそれなりの開きがあることがわかります。
退職金の受給予定があっても、約7割が老後の生活設計に不安を抱く
しかし、将来もらえる予定の退職金に対して、当事者たちの受け止め方は決して楽観的なものではありません。将来受け取る予定の退職金についてどのように感じているかを尋ねると、厳しい本音が浮き彫りになりました。
最多となったのは「老後資金としては不安がある」(45.7%)でした。さらに、これに続く形で「金額がわからず不安がある」と答えた人も23.5%を占めており、受給予定がある層の実に7割近くが、退職金を受け取れる環境にありながらも、何らかの不安や焦りを抱えているという実態が明らかになりました。一方で、「十分だと思う」と答えた人はわずか2.5%、「ある程度は安心できる」という人も18.5%にとどまっています。
また、退職金を貰ったら何に使いたいか尋ねたところ、老後の生活設計を見据えた切実な防衛意識が色濃く滲む本音が浮き彫りとなりました。
「今後の年金制度があやしいので、老後の生活費として節約しながら使っていきたい」(男性/57歳/大阪府/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連)
「老後の生活費に充てたいが、足りないと思います」(男性/58歳/愛知県/その他)
「老後2000万問題があるので、貯金に回したい」(男性/50歳/奈良県/インターネット関連)
「老後の資金が全然足りてないので、それに当てる予定」(男性/55歳/神奈川県/海運・鉄道・空輸・陸運)
「金額もそれほど大きくないし、今この物価高で世の中がどうなるかわからないような時代なのでまずは貯金しておきます。昔のように旅行に行ったり服を買ったりしたいけど、本当にお金はいくらあっても不安は消えません。入ってくるお金はとりあえず貯蓄です」(女性/44歳/宮崎県/サービス その他)
このように、長引くインフレへの危機感や年金制度への不信から、手放しで余暇を楽しむより先に「そのまま生活費に充てる」「将来のために貯蓄する」といった、堅実な資産防衛の選択肢として捉えている人が多いようです。
支給額の不透明さから、退職金を「あてにしない」スタンスも
さらに、今回の調査で特徴的なのは、「いくらもらえるかわからない」という不透明さそのものが、現役世代の心理的な負担になっている点です。
「金額がわからず不安がある」(23.5%)と答えた層の声を紐解くと、具体的な人生設計が立てられないことへの困惑が、手探りの自衛策へと繋がっている様子が見て取れます。
「いくらもらえるものかどうか現時点ではわからないので、あまりあてにせずもらったときは貯金します」(男性/55歳/熊本県/専門店 電気機器関連)
「金額が不明なのと一括でもらうのか分割でもらうのか……わからないことだらけなのでとりあえず貯蓄」(男性/53歳/大阪府/教育)
「どの程度の金額かわからない状態なので、老後に備えての少額からでもできる資産運用などを考えている」(男性/58歳/群馬県/精密機器)
このように不確定要素が多いからこそ、最初から「過度に期待しない」「手堅く貯蓄や少額運用に回す」といった、守りの姿勢を選択する傾向もあるようです。
「もらえる環境」にあっても求められる将来への備え
退職金制度は長年、会社員にとって強固なセーフティーネットとして機能してきました。しかし、物価高による目減りの懸念や、支給額自体の不透明さ、そして企業を取り巻く環境の変化を前に、受給予定者の間でも「制度があるからといって、必ずしも老後の安心に直結するわけではない」という捉え方が広がっているようです。
今回の結果が示すように、たとえ退職金をもらえる環境にあったとしても、その見込み額の把握や不確定要素への備えを含め、自発的に将来のプランを見つめ直すことが求められる局面に差し掛かっているのかもしれません。
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退職金に関するアンケート
調査時期: 2026年6月18日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 302名
調査方法: インターネットログイン式アンケート
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