「出世したくない社員」の増加は、現在の日本の労働環境で顕著になっている傾向です。その背景として、長時間労働の敬遠やワークライフバランス重視の考え方があります。今回は、ガツガツした出世よりも、「着実な給与アップ」や「個人としての裁量・成長」を求める現代の会社員の価値観を探ります。
「出世を望まない社員」は増加している?
出世をしたくない会社員は実際に増加しているのか、いくつかのアンケート結果を紹介します。
DODAの調査
DODAは2025年8月、15,000人のビジネスパーソンを対象に、出世の希望や理由を調査。「今の会社で出世したくない」と思う人は58.5%という結果になりました。
出世したくない理由としてもっとも多いのは、20代は「上司としての責任を負いたくない」、30代は「リーダーシップやマネジメントが苦手」、40代は「プレッシャーやストレスに耐えられない」となりました。
年代ごとに出世したくない理由は異なりますが、全体として出世を望まない人は多いようです。
株式会社セルバの調査
株式会社セルバは2025年1月、300名の正社員を対象にアンケート調査を実施。その結果「今より出世したくない」は42%、「今より出世したい」は29%、「どちらでもよい」が29%となりました。
「どちらでもよい」を含めると、全体の71%が出世に積極的ではない結果となりました
さらに、年代別で見ると以下のようになります。
- 20代:出世したくない:38%、出世したい:40%
- 30代:出世したくない:42%、出世したい:30%
- 40代:出世したくない:43%、出世したい:24%
若手だけが出世したくないと思うわけではなく、むしろ年代が上がるにつれて出世を望まない人の割合が増える結果となっています。
出世したくない理由
日本の会社員で出世したくない人がなぜ多いのか、主な理由は次のとおりです。
マネジメントが苦手あるいはやりたくないから
管理職になると、多くの場合は役割が明確に変わります。自分で手を動かすよりも、具体的な作業は部下に任せ、自身は計画の策定や進捗管理が中心となります。
このようなマネジメントが苦手であったり、興味がないと感じたりする場合、管理職になるモチベーションがほとんどないでしょう。
プレッシャーやストレスが高くなるから
出世すると給料や権限が増えますが、その分責任がシビアに問われるようになります。さらに上の管理職から成果について厳しい指摘を受け、プレッシャーやストレスが増えるケースも。
現在の管理職の働く姿を見て、「出世するだけの価値があるのか?」を疑問に思う若手も多いです。
割に合わないから
会社によっては、管理職になっても給与が少し上がる程度で、責任や仕事量ばかりが増えるケースも。残業代が付かなくなることも合わせると、実質的に、待遇が低下すると考えてもおかしくありません。
出世を望まないのは悪いことではない
出世を目指さない生き方は、決して悪いことではありません。個人の価値観やライフスタイルが多様化する現代では、責任やプレッシャーを避けてワークライフバランスを重視する生き方が広く認められています。
出世という形以外でも、専門職(スペシャリスト)としてスキルを極めたり、現在のポジションでチームを支えることで評価されるキャリアパスもたくさんあります。
一方、出世しないことによる収入面の頭打ち、裁量権の制限などのデメリットもあります。職場やキャリアの変化によって、今後考え方が変わるかもしれません。
「100%これにする」と決めつけず、状況に応じて柔軟に考え方を変えるスタンスがよいのではないでしょうか。
