映画『急に具合が悪くなる』公開後、高校時代の恩師から届いた1通の連絡。認知症の母を持つ恩師は、作品を自身の経験と重ねながら鑑賞したという。その感想を聞いた岡本多緒は「私も胸熱になりました」と振り返り、作品が持つ力を改めて実感した。

  • 岡本多緒 =オフィシャル提供

    岡本多緒 =オフィシャル提供

高校の恩師から岡本多緒に「観てきました」と連絡

映画『急に具合が悪くなる』の公開記念舞台挨拶が20日、都内で開催され、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代、濱口竜介監督が登壇した。

森崎真理役を演じた岡本は「早い時間からお越しいただき本当にありがとうございます」と感謝を述べ、「観たあとの余韻があるとおっしゃる方がいらっしゃるので、なるべくそれを邪魔しないかたちで少しお話しさせていただければ」と挨拶。

公開初日を迎え、身の回りでどのような反響が届いているかという話題で、岡本は、高校の恩師から「観てきました」と連絡があったことを紹介し、「お母様が認知症を患っていらっしゃるということで、『もう少し歩かせたほうが良かったかなぁ』など、ご自身のすごく身近な話とリンクさせて観ていただいたみたいで、私も胸熱になりました」と語った。

映画『急に具合が悪くなる』は岡本多緒にとって「人生を変える1本に」

多言語が飛び交う本作ならではの苦労や、フランスでの撮影を振り返るトークでは、時間をかけた役作りや共演者との絆が浮き彫りに。

岡本は、濱口監督から撮影終盤に体重を絞るようリクエストがあったことを告白。「『人間って少し食べないだけでエネルギーが湧かないんだな』と体感できてありがたかったんですけど、『絞って』と言った監督が横でおいしそうなものを食べてたりして(笑)」と裏話を披露した。

さらに、ヴィルジニー・エフィラとともに言語の壁を乗り越えた日々を振り返り、「NGを出してしまったりすると、私の腕に噛みついてきたりするヴィルジニーがメイキング映像に映っていて。彼女だから一緒に乗り越えられたなと思いますし、今日いないのがすごく不思議で、寂しいです」と、共に苦労を分け合った戦友に思いを馳せた。

舞台挨拶の最後には、岡本は「私にとって本当に人生を変える1本になっていて、自分が出ていることを一旦置いておいて『こんなに素晴らしい映画があるのか』と思っております」と作品への並々ならぬ愛情を語り、デザイン性が高く内容も充実したパンフレットや、原作もぜひ手に取ってほしいとPRした。

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【編集部MEMO】
映画『急に具合が悪くなる』ストーリー
パリ郊外の介護施設「⾃由の庭」の施設長であるマリー=ルー・フォンテーヌは⼊居者を⼈間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんななか、マリー=ルーは森崎真理という日本人の演出家に出会う。がん闘病中の真理が演出するのは、自閉スペクトラム症の孫・智樹と行動を共にする俳優・清宮吾朗の一人芝居。真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる⋯⋯。