濱口竜介監督の最新作『急に具合が悪くなる』(6月19日公開)のジャパンプレミアが27日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代、濱口竜介監督が登壇した。
第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された本作は、W主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒が最優秀女優賞を共同受賞するという歴史的快挙を達成。さらに高市早苗首相も自身のX(Twitter)で受賞を祝福し、「日本人初の受賞を誇りに思う」とコメントするなど、大きな話題を呼んでいる。
カンヌでの快挙を経ての“凱旋プレミア”に、会場は熱気に包まれた。 ヴィルジニーは日本語で「日本にくることができてうれしいです」と笑顔を見せた後、「この映画は大きな冒険でした。ここに立てて夢の到達点に達したようです」と感慨を語る。岡本も「思いを込めて撮影した作品を日本で披露できてうれしい」と喜びを伝えた。
撮影について、ヴィルジニーは初の日本語演技を「最初はもちろん戸惑いました」と語り、「濱口監督の特別なメソッドのおかげで、単なる言葉の暗記ではなく、音として身体に響かせる体験だった」と振り返る。
岡本はステージⅣのがん患者という難役について「真理という女性の生命力や、演劇に対する情熱をどう表現するかに一番時間をかけました」と話し、フランス語の演技について聞かれると、「ヴィルジニーが本当に忍耐強く付き合ってくれて、彼女とのコミュニケーションの中で自然とフランス語が自分の言葉になっていく感覚がありました」と明かした。
カンヌでの受賞発表の裏側を明かす
また、サプライズでカンヌ女優賞のトロフィーが披露される場面も。岡本は「実感としては本当にまだまだ湧いておらず、ずっと湧かないままなんだろう」「ペアとして受賞できたことに意味がある」と喜びを嚙み締めた。ヴィルジニーも「二人で受賞できたことが本当に嬉しい」と喜びを分かち合った。
現地でカンヌでの受賞の瞬間を見守っていた濱口監督は、「多緒さんもヴィルジニーさんも『え、どういうこと?』みたいな顔をしていて。『呼ばれましたよ』と声掛けして2人を立たせて。2人が壇上で、とてもエモーショナルなスピーチをしてくれていて、『素敵だな』と思いながら見ていました」と振り返る。
さらに「本当に、あの2人が賞を受けたことは、この作品全体が評価されたと思っています。これからご覧いただくと分かりますが、この2人の演技が良くなければ決して成立しない映画であるし、そもそも始まりとして原作が2人の女性の魂の分け合いの話なので、それを2人が体現してくれた。深く感謝をしております」と、W主演の2人へ最大の賛辞を贈った。
最後にこれから作品を観る方たちへのメッセージを求められ、主演2人が回答。
ヴェルジニーは「この映画への参加は、私に『映画を作るとはどういうことか』『人と深く向き合うとはどういうことか』を改めて教えてくれる、人生を変えるような旅でした。日本という素晴らしい国で、この素晴らしいチームと一緒に作れた作品を、今日皆さんと共有できることが私の最大の誇りです。どうぞ、私たちのこの旅を一緒に楽しんでください」と語った。
岡本は「病や老い、そして死という少し重いテーマを扱ってはいますが、決して悲しいだけの物語ではありません。ヴィルジニーと一緒に生きた真理という女性の命の輝きや、人が誰かを想うことの美しさを感じていただけると思います」「ぜひ、エンドロールの最後まで楽しんでご覧ください」と呼びかけた。
カンヌの熱狂をそのまま持ち帰った『急に具合が悪くなる』のジャパンプレミアは、国境や言語を超えた創作の力と、俳優・スタッフ・原作者が築いた深い信頼関係を強く印象づける場となった。
病や死と向き合いながらも、人が誰かを想うことの尊さを描き出す本作。ヴィルジニー・エフィラと岡本多緒による“魂の共鳴”は、観る者の心に長く残るはずだ。濱口竜介監督が提示する新たな映画体験に期待が高まる中、公開後のさらなる反響にも注目が集まる。
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【編集部MEMO】
『急に具合が悪くなる』
<ストーリー>
物語の舞台は、パリ郊外にある介護施設。施設長のマリー=ルーは、入居者に寄り添った理想のケアを追求しながらも、人手不足や現場の課題に直面していた。そんな彼女の前に現れたのが、ステージⅣのがんと闘う日本人演出家・森崎真理。真理は、俳優・清宮吾朗と自閉スペクトラム症の孫・智樹による一人芝居を手がけており、その表現にマリー=ルーは強く心を動かされる。
同じ名前の響きに導かれるように惹かれ合う二人は、次第に深い絆で結ばれていく。しかし、病の進行とともに真理の体調は悪化し、関係は大きく揺れ動く。やがて二人は、友情を超えた“魂の交歓”とも言うべき関係へと至っていく――。
6月19日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー









