「女の子に振られたら落ち込むし、お酒も飲みましたし。振られてブロック塀を殴ったりとか(笑)」――。吹越満が、嫉妬に身を焦がす主人公への共感を語った。若い頃の自身を振り返りながら、「そういう感情はもともと人にはあるものなんでしょう」と思いを明かした。

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主人公・剣持に共感は? 吹越満「あります」

映画『鍵』の初日舞台挨拶が12日に都内で行われ、吹越満、菅野恵、新藤まなみ、丸純子、いまおかしんじ監督が登壇した。

吹越は、「谷崎潤一郎さんの原作ですので、(撮影前は)陰鬱な感じだったり、ちょっと変態っぽい感じ、ということを思い浮かべたし、『鍵』を改めて読み直してみたけどやっぱりそういう世界だなって……」と撮影前の印象を振り返りつつ、「ただ、これ(本作)に関しては、時代設定とかを現代に置き換えていて。要所要所は原作を踏襲しているんですけど、谷崎潤一郎作品にしてはポップという印象があります」と原作とは異なる魅力を説明。さらに「あっち(原作)は苦手だなという方がご覧になると、『ああ、そういう描き方もあるんだな』という印象になると思う」と語った。

吹越が演じる主人公・剣持は、余命宣告を受け、死を前に愛する女性を他人の手に委ねまいと嫉妬に身を焦がす人物。共感する思いを聞かれると、吹越は「あります」と即答し、「嫉妬深いとか、『好き』という気持ちのひとつの表れだと思いますし」と回答。続けて「若い頃からありましたよ、女の子に振られたら落ち込むし、お酒も飲みましたし。振られてブロック塀を殴ったりとか(笑)」と過去を振り返り、「そういう感情はもともと人にはあるものなんでしょう。ただ、それをどう表すかが人それぞれ違うだろうし、人の数だけ表し方のパターンがあるんじゃないかと。そう考えると、そのぶんだけ映画というのがあるんじゃないかと思います」と考えを明かした。

また、離婚経験のある吹越は、MCから「映画の中でも離婚したり(する設定が)あるけど……」と振られると「俳優をやっていますとね、自分のプライベートの経験が生かされていくことがあるわけですから」と苦笑い。さらに「そのために離婚したわけじゃないですよ」と笑いを誘いつつ、「でも、(そういう過去を)否定はしなくていいんじゃないですかね」と語った。

年の差のある妻を演じた菅野恵に吹越満が抱いた印象

トークでは、いまおか監督が、取材で女性ライターから言われた言葉を紹介する場面も。「谷崎潤一郎だし、『鍵』だから、見るのがためらいがあったんです、しかも吹越さんってちょっと変態チックな方じゃないですか、と。でも見たら(想像と)全然違っていて、良かったです、と言われて……」と明かすと、吹越は苦笑しつつ、「でも、変態っぽいなと思われているのは、なんかうれしいですね」と喜びを明かしていた。

本作で剣持の年の離れた妻・郁子を演じる菅野とは、実際に29歳差だという吹越。年の差のある妻を演じた菅野の印象を聞かれると、「でも、そんなに離れていると思っていませんでした。設定として、死にかけのこういう役も来る年になったんだなと思っていましたけど……設定上はそうなんだけど、菅野さんは逆にものすごく頼りにさせてもらったので。そこまで離れている印象はなかったですね」と語っていた。

本作は、余命わずかな夫の妻への執着と純愛を赤裸々に描いたアンチプラトニック・ラブストーリー。夫婦の日記を交互に示す手法で性の深奥を描きだした谷崎潤一郎の『鍵』(新潮文庫)を原作に、嫉妬と執着に焦点を当て大胆なアレンジを加えたオリジナルストーリーとなる。

映画『鍵』ストーリー

⼯務店を営む剣持耕三は医者に余命半年の宣告を受ける。歳の離れた妻・郁⼦を案じた剣持は、部下の⽊村と郁⼦を浮気させようと画策。「浮気だのなんだの揉めてるうちは、俺が死ぬってことを忘れるだろう」。そのことを知ってか知らずか、徐々に距離を近づけていく⽊村と郁⼦。思惑通りに事が運ぶも、どうしても郁⼦への想いを捨てきれない剣持は、⾝体の衰えとは裏腹に次第に嫉妬を募らせていく。

さらに郁⼦の⽇記を盗み⾒ると、そこには⽊村の⾁体に強く惹かれる郁⼦の気持ちが⾚裸々につづられていた。「⼀⽇でも⻑く⽣きて郁⼦を抱きたい。もっともっと抱きたい」。死を前に燃え上がる男の執着と偏愛の⾏き着く先は……。