
自然や文化、歴史など貴重な観光資源に恵まれているにも関わらず、あまり観光地化されていない街・真鶴。そんな真鶴の街並みには、懐かしい昭和の時代を感じさせるノスタルジックな景観や素朴な生活感が今も息づいています。
「背戸道」は観光客がほとんど利用することのない狭い路地道ですが、地元の人にとっては重要な生活路であり、真鶴本来の暮らしや風景に触れられる場所です。
今回真鶴駅から岩海岸までの往復約1時間の道程を、そんな背戸道を利用してのんびりお散歩してみました。
真鶴の背戸道とは?その守られている理由
真鶴にある背戸道とは、いったいどんなもので、どのような特徴を持ったものなのでしょうか。また背戸道が今もなお、真鶴の町で守られ尊重されている理由について確認しておきましょう。
真鶴の背戸道とその特徴
「背戸道」という言葉を初めて聞いたという人も多いかもしれません。背戸道の「背戸(せど)」とは家の裏口や裏庭を指す言葉であり、真鶴ではそれらを結ぶ生活路を「背戸道」と呼んでいます。
具体的には車や自転車が通行できないばかりでなく、人がすれ違うのも苦労するような箇所もある狭い路地裏の道といったイメージです。
真鶴の町にどうして狭い路地道が発展したのかといえば、真鶴は起伏の激しい土地であり、必然坂道が多くなったため、民家と民家の間の道が狭くなったと考えられています。特定の場所ばかりでなく真鶴町全域に存在しており、地元の人の重要な生活通路として重宝されています。
背戸道を守る、真鶴町の「美の基準」
背戸道をはじめ、地元で長年受け継がれてきた文化や、素朴で懐かしい景観が守られているのは、真鶴町が1993年に制定した「真鶴町まちづくり条例」によるものです。この条例によって町は大規模なリゾート開発化から免れ、昔ながらの景観や生活が維持されることになりました。
条例内で明記している「美の基準」は、真鶴らしさや真鶴のよいところを「美」として定め、未来に向けて残しておきたい基準としてまとめたものです。対象となるものは背戸道や街角の道祖神、記念碑など多岐に渡っています。
真鶴の素顔に出会える背戸道の魅力
地元の人の生活に密着している空間でもあり、観光スポットとしては華やかさに欠ける印象のある背戸道ですが、ここでしか味わえない貴重な体験を豊富に楽しめる場所です。
背戸道を利用して移動してみると、歩いてみないと気がつかない真鶴の素顔に出会えることを実感します。道端に素朴に佇む道祖神や記念碑、緑豊かな街路樹や地元の人の生活感、そして思わぬ絶景にも出会えるかもしれません。通常とはひと味違う真鶴観光を満喫することができますよ。
背戸道を歩く際の注意事項
背戸道は観光用に整備された道ではありません。住宅地のなかにある生活通路なので、利用する際には注意しなければならない点があります。夜間の利用はなるべく慎むことはもちろん、日中であっても静かに移動するようにしましょう。
また、住宅敷地に入ってしまわないよう、写真撮影をする際にも個人の住宅を避けるなどのプライバシーに注意しなければなりません。地元の人とすれ違った際には挨拶を忘れないようにすることがベストです。
実際に背戸道を歩く際のアドバイスをまとめておきます。
真鶴半島を周遊する道路も整備され、車や自転車を利用すれば主要観光地間を快適に移動することができますが、徒歩での移動となると、かなりの労力を要するかもしれません。
特に住宅の路地裏である背戸道を経由しての移動は、土地勘がないと迷路のように感じてしまうでしょう。筆者も駅前の観光協会から入手したマップを片手に散策を開始しましたが、途中で道に迷ってしまい、何度も同じ場所に戻ってきてしまう事態に遭遇しました。
そんなわけで、今回は真鶴駅から岩海岸までのショートコースのお散歩となりましたが、真鶴の背戸道散策について十分楽しめたと思います。
実際に歩いてみた!真鶴の背戸道
真鶴の玄関口であるJR東海道線の真鶴駅。今回の真鶴路地裏さんぽは、こちらの駅前からスタートします。駅前にある観光案内所であらかじめマップを入手しておくのがおすすめです。
駅前の道路をまっすぐ進めば、真鶴港や三ツ石海岸方面につながっていますが、今回は地下道を通って岩海岸方面に進みます。
真鶴駅前通りを通り、こちらの分かれ道を左に進めば、お待ちかねの背戸道につながります。
緑豊かな路地裏の背戸道です。どこか懐かしくなる景観ですね。
真鶴は、昔から特産の小松石で知られた石材の街。平安時代末期から続く石切場の歴史は日本最古のものだそうです。
また、真鶴の小松石は江戸城造営にも使われたと碑に銘記されています。徒歩移動でないと見落としそうな歴史散策も楽しいですね。
「石工先祖の碑」からの長い石階段も背戸道につながっています。
地域安全や厄除け、大漁祈願などの御利益がある道祖神は、特産の小松石で作られたものです。町内には11ヶ所鎮座しているとのことなので、特色のある道祖神に出会えるかもしれません。こちらは岩海岸近くです。
目的地の岩海岸は、真鶴を代表する景勝地であり、海水浴場としても親しまれています。石橋山合戦に敗れた源頼朝が、再起を図って房総に出発した歴史の舞台としても知られています。
真鶴漁港と比べると素朴な雰囲気のある岩漁港です。真鶴らしい潮の香りを満喫したいですね。
岩漁港から続く石の階段も、漁港の生活感がたっぷりです。
階段を上り切った場所にある「謡坂の碑」。石橋山合戦で平家方に敗れた源頼朝の再起を祝い、湯河原の御家人・土肥実平が歌をうたい、踊りを披露した場所だと伝わっています。
この謡坂の碑から真鶴駅までは徒歩10分程度、合わせて1時間程度の路地裏さんぽコースです。
まとめ
町の条例により大規模なリゾート地化を免れ、独自の「美の基準」が息づく真鶴には、昔ながらの素朴でノスタルジックな雰囲気がところどころに残っています。岩海岸までのコースをご紹介してきましたが、時間と体力があれば真鶴港周辺まで足を延ばして散策を続けてみるのもおすすめです。
地元の人の生活感あふれる路地裏の背戸道を散策しながら、今までとは違った真鶴滞在を体験してみましょう。
真鶴の背戸道
通行時間
24時間(地元の人の妨げにならないこと)
アクセス
JR真鶴駅より徒歩5分(最短の背戸道まで)
住所:神奈川県足柄下郡真鶴町全域
駐車場:なし(真鶴駅周辺の有料駐車場を利用)















