東京都生活文化局消費生活部が、梅雨時期に増える傘や防水スプレーによる事故を防ぐため、「正しい使い方」の再確認を呼びかけている。

傘による危害やヒヤリ・ハット経験の実態

東京都生活文化スポーツ局が2024年11月5日~6日、東京都内に在住する計2,000人を対象に実施したインターネット調査によると、傘での危害やヒヤリ・ハットの経験は、「経験がある(他人からの被害)」が35.0%、「経験がある(自分からの加害)」が6.6%、「経験がある(不注意等による自傷)」が9.8%だった。

  • 傘での危害やヒヤリ・ハットの経験

    傘での危害やヒヤリ・ハットの経験

性別でみると、「経験がある(他人からの被害)」は女性が41.6%で男性の28.4%より高く、「経験がある(自分からの加害)」は男女差がみられなかった。「経験がある(不注意等による自傷)」は女性が12.1%で男性の7.5%より高かった。年代別では、「経験がある(他人からの被害)」は20代が25.8%で、他の年代に比べて低かった。

  • 傘での危害やヒヤリ・ハットの経験(性別/年代別)

    傘での危害やヒヤリ・ハットの経験(性別/年代別)

他人の傘で自分が受けた危害やヒヤリ・ハットの発生場所は、「駅構内(階段・エスカレーター)」が71.1%で最も高く、次いで「道路(歩道橋含む)」が53.9%だった。自分の傘で他人に与えた危害やヒヤリ・ハットの発生場所は、「駅構内(階段・エスカレーター)」が44.3%で最も高く、次いで「道路(歩道橋含む)」が35.1%、「駅構内(階段・エスカレーター以外)」が34.4%となった。その他の自由記述には「イベント会場」「駐車場」があった。

  • 他人の傘で受けた危害やヒヤリ・ハットの発生場所

    他人の傘で受けた危害やヒヤリ・ハットの発生場所

  • 自分の傘で与えた危害やヒヤリ・ハットの発生場所

    自分の傘で与えた危害やヒヤリ・ハットの発生場所

危害やヒヤリ・ハットを受けた体の部位は、「脚(太もも・すね等)」が40.9%で最も高く、次いで「手・腕」が30.1%だった。自分の傘で他人に与えた危害やヒヤリ・ハットの部位は、「脚(太もも・すね等)」が43.5%で最も高く、次いで「足(足の甲・つま先等)」が25.2%、「手・腕」が16.8%であった。

  • 他人の傘で受けた危害やヒヤリ・ハットの体の部位

    他人の傘で受けた危害やヒヤリ・ハットの体の部位

  • 自分の傘で与えた危害やヒヤリ・ハットの体の部位

    自分の傘で与えた危害やヒヤリ・ハットの体の部位

具体的な事例として、「エスカレーターで前の人の傘の先が目に入りそうになった」「階段を上っている時に、自分の傘が後ろの人に当たってしまった」「階段を上っている時に、横持ちしている人の傘の先がみぞおちに刺さった」などが挙げられている。

また、他人の傘で危害やヒヤリ・ハットを受けた際の相談・連絡先は、「どこにも相談・連絡はしていない」が87.3%で最も多かった。相談・連絡先として最も多かったのは「家族/友人などの身近な人」で、その他の自由記述には「警備員」などがあった。自分の傘で危害やヒヤリ・ハットを与えた際も、「どこにも相談・連絡はしていない」が69.5%で最も多く、相談・連絡先として最も多かったのは「家族/友人などの身近な人」だった。

  • 他人の傘で危害やヒヤリ・ハットを受けたときの相談・連絡先

    他人の傘で危害やヒヤリ・ハットを受けたときの相談・連絡先

  • 自分の傘で危害やヒヤリ・ハットを与えたときの相談・連絡先

    自分の傘で危害やヒヤリ・ハットを与えたときの相談・連絡先

傘の横持ちは危険性が高まる

傘を横向き又は斜めにして持ったことがある人は34.0%だった。傘を横向きにして持つ人は、持ち手を持つ人と比較して、他者へ危害を与える可能性が3倍以上高まると考えられる。

  • 傘の持ち方

    傘の持ち方

横持ちした傘の衝撃力を検証

横持ちした傘がぶつかったときの衝撃力を測定するため、振り子装置に傘を横向きに固定し、歩行時の腕振りのように45°の角度から傘を振り下ろす実験を実施した。

その結果、衝撃力は最大240kgf(ピアノ約1台分)に達し、それが傘の先端に集中するため、身体に当たると失明や骨折などの重篤なけがを負う可能性があることが発覚した。また、厚さ約1.6mmのガラスに衝突させたところ、ガラスが破砕したという。

  • 横持ちした傘の衝撃力を検証

    横持ちした傘の衝撃力を検証

事故を防ぐポイントは

一般的に表示されている「傘の長さ」は親骨の長さを指し、持ち手や傘の先端(石突き)の長さは含まれていないため、表示以上に長いものを持っていることを意識するよう呼びかけている。

  • 表示以上の長さであることを意識

    表示以上の長さであることを意識

また、傘は持ちやすいからといって横向きに持つと危険なため、携行する際は必ず持ち手を持ち、石突きが真下(地面・床面方向)に向くように持つことが安全。持ち手の先の方を持つことで、手への負担が少ないうえ、傘から落ちる水滴が周囲に広がりにくく、石突きが階段などの段差に当たりにくくなる。

  • 石突きが真下を向くように持つ

    石突きが真下を向くように持つ

防水スプレー事故の多くが玄関で発生

防水スプレーは、繊維や皮革商品にスプレーすることで撥水加工ができる商品。適切に使用しないと呼吸困難や肺炎などの事故を起こすこともある。

実際の事例として、「親がベランダで靴に20秒程度防水スプレーをかけていたところ、網戸越しに立っており吸い込んでしまい、頻回の嘔吐があった」(0~9歳代1人)、「自宅内で換気をせず防水スプレーを服にかけた後、数時間後からめまいとふらつきがあった。家族は咳症状とふらつきが出て意識を失いそうになり、子供に咳症状が出た」(20代2人、0~9歳代2人)といったケースが報告されている。

  • 防水スプレーを吸い込む事故の多くが玄関で発生

    防水スプレーを吸い込む事故の多くが玄関で発生

防水スプレー使用時の注意点

防水スプレーは必ず屋外で使用し、屋外では風上から風下に向かって使用するよう呼びかけている。また、一度に大量に使用せず、火気の近くで使用しないこと、使用前に商品の表示、特に「使用上・安全上の注意」をよく読んでから使用することが推奨される。

そのほか、屋外でもマスクを着用して使用すること、顔の近くで使用しないこと、子供やペットのそばでは使用しないことを呼びかけている。

  • 防水スプレーの正しい使用法と誤った使用法

    防水スプレーの正しい使用法と誤った使用法