サントリーでは、チューハイ、ハイボール、レモンサワー、ジンソーダなどのRTDに注力している。今年は10月の酒税改正を念頭に、基幹ブランドの強化、ビールユーザーの買い回り促進、若年層の需要創造にも本腰を入れていく構えだ。

RTDの進捗状況は?

サントリーでは、RTD(=Ready To Drinkの略。栓を開けてすぐ飲める手軽な酒)について「自由度が高く、クリエイティブで、バラエティ豊かな味わい」が魅力と捉えている。サントリー マーケティング本部の中野景介氏は「RTD市場はこの10年で約2倍に伸長し、2億ケースを突破しました。リーディングカンパニーである当社が、市場を牽引していきます」と力を込める。

  • サントリー マーケティング本部 ビール・RTD部 部長の中野景介氏

    サントリー マーケティング本部 ビール・RTD部 部長の中野景介氏

調査によれば、若年層ほどRTDを購入しており、年齢が進むにつれてビール類の購入率が高くなっている。これを踏まえて「RTD=未来の酒類人口を支える存在と言えるでしょう」と中野氏。このあと各担当者が、ブランドの進捗状況について説明していった。

-196[イチキューロク]について、担当者は「無糖シリーズの売上げ拡大、”果物がおいしいチューハイ”-196の新発売により、ブランド全体の売上げは好調に推移しています」と説明する。-196無糖では7月に、”果物がおいしいチューハイ”-196では6月に、季節に合わせた限定品を発売予定。今後も多彩なフレーバー展開によりRTD市場の活性化を図っていく。

  • 196[イチキューロク]。厳選した果物を-196℃でまるごと瞬間凍結し、果物そのもののおいしさを閉じ込めるサントリーの独自技術-196℃製法によって作られている

    196[イチキューロク]。厳選した果物を-196℃でまるごと瞬間凍結し、果物そのもののおいしさを閉じ込めるサントリーの独自技術-196℃製法によって作られている

  • 「-196<ルビーグレープフルーツ>」(7月28日に全国発売)。同商品は2026年2月に限定発売して支持を得た。このたび通年商品として、新たな中味・パッケージで発売する

    「-196<ルビーグレープフルーツ>」(7月28日に全国発売)。同商品は2026年2月に限定発売して支持を得た。このたび通年商品として、新たな中味・パッケージで発売する

こだわり酒場シリーズは、26年のリニューアルで中味・デザイン・コミュニケーションを刷新。その成果として、担当者は「”酒場のサワー”としての時流感・品質イメージがアップしました」と説明する。ユーザーからは「普通のサワーよりお酒にこだわっていることが伝わる」といった好意的な声が寄せられているという。

  • こだわり酒場シリーズ。夏に選びたくなるきっかけを提供し、酒税改正前の夏最盛期のトライアルを最大化する

    こだわり酒場シリーズ。夏に選びたくなるきっかけを提供し、酒税改正前の夏最盛期のトライアルを最大化する

THE PEEL(ザ・ピール)は、果実の香りとうまみが凝縮されているレモンの果皮(ピール)からつくった4種の蒸溜酒や浸漬酒を使用したレモンピールサワー。25年から引き続きビールユーザーから高い支持を得ており、RTD市場の活性化を促進している。

  • 果皮の苦みが”大人の酒”と好評のTHE PEEL。無駄なものが入っておらず、洗練されている、果皮の香りと苦さが料理を引き立てる、とユーザーにも好評

    果皮の苦みが”大人の酒”と好評のTHE PEEL。無駄なものが入っておらず、洗練されている、果皮の香りと苦さが料理を引き立てる、とユーザーにも好評

若年層から圧倒的に支持されているのが、ほろよい。アルコール3%と、やさしく軽やかな飲み心地で若者から「気分が上向くお酒」と認知されている。26年下期も、定番商品で継続的なコミュニケーションを実施。6月、7月には季節にあわせたフレーバーの限定発売も予定している。

  • 若年層の需要創造に大きく貢献している、ほろよい。「ほろよい〈マンゴー&ココナッツ〉」は6月9日に、「ほろよい〈和梨スカッシュサワー〉」は7月7日に全国で期間限定発売

    若年層の需要創造に大きく貢献している、ほろよい。「ほろよい〈マンゴー&ココナッツ〉」は6月9日に、「ほろよい〈和梨スカッシュサワー〉」は7月7日に全国で期間限定発売

食事との相性の良さ、家庭でも楽しめる手軽さが好評の角ハイボール缶シリーズは、5月下旬にリニューアルを果たした。担当者は「飲食店で提供される角ハイボールのおいしさを追求しました」とアピールする。また、少し早い時間帯から食事とともに楽しむ人に向けて「角ハイボール缶〈夕どき〉」を8月4日に発売。一方、トリスハイボール缶は26年春にリニューアルしており、まろやかな余韻で飲みやすくなった。「くだものトリス缶〈れもんハイボール〉」は4月21日から販売中。ジムビームソーダ缶も26年春にリニューアルした。

  • 市場の成長を牽引する、ハイボール缶シリーズ。角ハイボール缶〈夕どき〉は「夕方の時間帯から楽しみたい」というニーズに応えた新商品となる

    市場の成長を牽引する、ハイボール缶シリーズ。角ハイボール缶〈夕どき〉は「夕方の時間帯から楽しみたい」というニーズに応えた新商品となる

ジンカテゴリを活性化するのは、翠ジンソーダ缶シリーズ。26年はビールとRTDを併飲するエントリー層の獲得に注力していく。担当者は「お酒をちゃんと愉しみたい層には「翠ジンソーダ〈本格濃いめ〉」、お酒は食事のお供という層には「翠ジンソーダ〈すっきり爽やか〉」、甘さ控えめのジンソーダを味わいたい層には翠ジンソーダ限定品で対応していきます」と説明する。

  • ジン市場の活性化に寄与する、翠ジンソーダ缶シリーズ。飲食店においても販売を強化し、イベントでは翠ジンソニック、ジンジャーで割るといった新しい飲み方も訴求していく

    ジン市場の活性化に寄与する、翠ジンソーダ缶シリーズ。飲食店においても販売を強化し、イベントでは翠ジンソニック、ジンジャーで割るといった新しい飲み方も訴求していく

ジャスミン焼酎〈茉莉花〉をジャスミン茶で割った「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉」は、すでに若年層の圧倒的な支持を獲得している。無炭酸、無糖、アルコール分は低め、という飲み心地の良さがポイントで、担当者は「某大学で推し酒アンケートを実施したところ、このJJ缶が1位という結果でした」と報告する。なおサントリーでは5月19日より東北エリア限定で「お茶のこさいさい〈緑茶割〉」「同〈紅茶割〉」も期間限定販売している。

  • 「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉」など、無炭酸・無糖のRTDを展開

    「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉」など、無炭酸・無糖のRTDを展開

2026年のRTD戦略

2020年より段階的に実施されてきた酒税改正。その最終回となる2026年10月の酒税改正でRTDは増税となるが、ビール類と比較したときの価格優位性は保たれる。そこでサントリーでは、ビール類とRTDの買い回りに期待する。中野氏は「カテゴリの境界がぼやけた結果、ビール類とRTDを併飲する人が増えています。直近の調査では、実に73%のお客さんがビール類とRTDを併飲されていました」と報告。特にエコノミービールユーザーがRTDの成長ドライバーになっているという。

  • 2026年10月の酒税改正について

    2026年10月の酒税改正について

  • ビール類とRTDの併飲状況

    ビール類とRTDの併飲状況

以上のことから、中野氏は2026年のRTD戦略について「まずは基幹ブランドとなる、-196、こだわり酒場に対する投資を強化します。これにより「信頼できる」「親しみのある」強いブランドを買い求めるRTDの新規層を獲得します。次に、RTDにも本格的な味わいや満足感を求める狭義ビールユーザーの買い回りを促進するため、ハイボール / ジンソーダ、THE PEEL、26年10月の新商品を訴求します。さらに未来に向けた若年層の需要創造として、ほろよい、無炭酸お茶系を充実させます。RTDを通じて未来の酒類人口をつくっていくのはサントリーの役目であると自負し、本年も取り組みを強化してまいります」と説明した。

  • サントリーの2026年RTD戦略

    サントリーの2026年RTD戦略