俳優の川栄李奈が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、31日(通常と異なり13:40~ ※関東ローカル)に放送される「生きた証を抱きしめて~愛するあなたとデスマスク~」。亡くなった人の顔を型取る「デスマスク」を作る、日本でたった一人の職人に密着した作品だ。

「デスマスク」という言葉に、最初は「びっくりしました」と率直な反応を示した川栄。しかし、作品を通して見えてきたのは、残された人の心を支える“形ある記憶”としての意味だった。自身も「常に自分が死んだらってよく考える」と明かす川栄が、この作品から受け取ったものとは――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した川栄李奈

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した川栄李奈

新たに現れた弟子が一つのミスをきっかけに…

亡くなった人の顔を型取りし、その面影を形として残す「デスマスク」。その製作に日本でたった一人、向き合い続けている“職人”が権藤俊男さん(72)だ。

製作の依頼は、幼い子どもを失った両親や、尊敬する父を亡くした息子など、深い喪失感を抱いた家族から寄せられる。愛するあなたにそばにいてほしい…そんな、かなわぬ思いに応えるため、権藤さんは静かに顔の型取りを進めていく。

完成したデスマスクを前に、涙を流しながら笑顔を見せる家族たち。そこに存在するのは、ただの“死者の顔”ではない。手に触れ、抱きしめることができる故人の面影であり、確かに生きていた証なのだ。

その一方で、デスマスクの依頼は年間わずか10件ほど。技を受け継ごうにも、この仕事だけで生活していくことは難しく、これまで何人もの弟子が去っていった。そんな中、権藤さんのもとに新たに現れたのが、27歳の元さん。「人に寄り添う仕事がしたい」と願い弟子入りした元さんは、この仕事に引かれていく。しかし、現場での一つのミスをきっかけに気持ちが揺れ始める…。

  • 幼くして亡くなった娘のデスマスクに触れる父親 (C)フジテレビ

    幼くして亡くなった娘のデスマスクに触れる父親 (C)フジテレビ

日本で唯一の“職人”に感じる覚悟

ナレーション収録を終え、「ペットの犬が亡くなった時に、その毛でぬいぐるみを作ってくれるというのは見たことがあるのですが、人の顔の型を取るというのは知らなかったです」と驚きを語る川栄。

名前だけを聞くと、どこか怖さや重さを感じる「デスマスク」。しかしそこには、別れの悲しみだけではなく、愛する人と過ごした時間を抱きしめるための役割がある。

「物としてあると、“こういうことあったよね”と思い出せるのは、亡くなった方にとってもうれしいことじゃないですか。だから、もっといろんな方に知ってほしいと思いました」と受け止めた。

この重みについて、「亡くなった方の最期の形をとるというすごく重要なお仕事なので、簡単な気持ちではできないと思います」と想像。だからこそ、弟子の元さんが悩み、立ち止まる姿にも理解を示す。

「中途半端な気持ちではできないという弟子の方の気持ちも分かります。扱っているものの大きさを自分でちゃんと感じて、ちゃんと悩むというのは、生きる上で大切なことですよね」と、悩み続ける時間そのものに意味を見いだすと同時に、「権藤さんがデスマスクを作る覚悟をすごく感じました」と再確認した。

  • デスマスク職人の権藤さん(右)と弟子の元さん (C)フジテレビ

    デスマスク職人の権藤さん(右)と弟子の元さん (C)フジテレビ