贅沢しているわけではないのに、気づいたらお金が減っている。その結果、思うように貯蓄ができない……。このような悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。「お金が貯められないのは収入が少ないせい」と思いがちですが、実は、収入よりも”お金の扱い方”に問題がある場合も多いものです。

本稿では、お金が貯められない人の共通点や、支出を抑えて上手に貯蓄する方法を解説します。ぜひ参考にして、今日から日々の生活に取り入れてみてください。

お金が貯められない人の共通点5つ

そもそも、世の中の人はどのくらい貯蓄をしているのでしょうか。金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産の保有額の平均は1,940万円、より実態に近い中央値は720万円でした。

一方で、気づいたらお金がなく、貯蓄もできないという悩みを抱えている人も少なくありません。お金が貯められない人には、どのような共通点があるのでしょうか。特に、以下のような傾向がある場合は、注意が必要です。

1.毎月のお金の流れを把握していない

貯められない人の多くは、毎月のお金の流れを把握できていません。食費、光熱費、通信費、交際費など、支出の内訳を正確に把握していないと、生活費の総額すらわからない状態になってしまいます。その結果、毎月いくら貯蓄にまわせるのかも見えてきません。

まずは、家計簿アプリなどを活用し、1ヶ月分の収支を記録してみましょう。お金の「見える化」こそが、貯蓄への第一歩です。

2.予算を立てていない

毎月の支出を把握できたとしても、予算を設定していなければ、計画的なお金の使い方は難しくなります。予算とは、食費、日用品費、娯楽費などの費目(支出の種類)ごとに、「1ヶ月にいくら使ってよい」と上限を決めることです。予算がなければ、なんとなくお金を使い続けてしまい、月末になって使いすぎに気づく、という繰り返しになりがちです。

一方、費目ごとに予算を決めておけば、日々の買い物や外食の際に「今月はあといくら使える」と意識するようになり、自然と支出にブレーキがかかります。予算作りは最初から完璧を目指さず、まずは大まかな枠組みから始めることが続けるコツです。

3.衝動買いが多い

「セールで安かったから」「なんとなく欲しくなって」と、その場の勢いで購入を決めてしまう衝動買いは、貯蓄の大きな妨げになります。衝動買いの怖いところは、1回の金額が小さくても、積み重なると大きな出費につながる点です。

また、衝動買いした商品は結局あまり使わなかったり、あとから後悔したりすることも少なくありません。対策としては、「欲しいと思ったら24時間待つ」「購入リストにメモして後日改めて判断する」などのルールを設けることが有効です。

計画的に購入を決めた買い物と、その場限りの衝動買いとでは、同じ金額を使っても満足度にも差が出ることを意識しましょう。

4.夫婦で財布が別になっている

共働き夫婦の中には、「住居費や光熱費は夫、食費や日用品費は妻」というように、それぞれが担当の費目だけを支払い、家族として一緒にお金を貯めていないケースがみられます。このような場合、貯蓄を相手任せにしてしまい、実際はお互いにほとんど貯められていなかった、という事態が起こりやすくなります。

また、収入や支出をオープンにしていない夫婦では、家計の全体像を誰も把握できていないこともあります。

夫婦で貯蓄を成功させるためには、お金の話をする機会を設け、家族共通の貯蓄目標と専用口座を持つことが欠かせません。「我が家は何のためにいくら貯めるか」を2人で共有することが、貯蓄を着実に増やす土台になります。

5.先取り貯蓄の仕組みがない

「生活費を使ったあとで、余ったお金を貯蓄にまわす」という方法では、なかなかお金は貯まりません。一方、給与が入ったタイミングで自動的に一定額を別口座へ移す「先取り貯蓄」の仕組みがあれば、意志の力に頼らず強制的に貯められます。

具体的には、勤務先の「財形貯蓄制度」(ない企業もある)や、銀行の「自動積立定期預金」などを活用するのが効果的です。「貯蓄は収入から先に確保するもの」という意識に切りかえ、仕組み化することが、資産を積み上げる最大のポイントといえるでしょう。

上手に貯蓄するにはどうすればいい?

貯蓄を成功させるために大切なのは、正しい方法を知り、それを継続できる仕組みを整えることです。ここからは、今日から実践できる具体的な方法を紹介します。

<家計簿をつける>

収支の実態をつかむため、まずは家計簿をつけましょう。最近では、レシートを読み取って自動で集計してくれる家計簿アプリもあり、日々記録する負担を大幅に減らせます。そのほかにも、ExcelやGoogleスプレッドシートで自分好みのフォーマットを作るのもひとつの方法です。

重要なのは、「続けられること」。自分に合ったツールを選ぶことが成功のカギです。1〜2ヶ月記録を積み重ねると、無駄な出費のパターンが浮かび上がり、削れる費目が具体的に見えてきます。

<口座を使い分ける>

すべてのお金をひとつの口座で管理していると、残高を見ただけでは「どこまで使えるのか」が判断しにくくなります。そこで、お金は用途別に口座を分けて管理しましょう。

たとえば、毎月の生活費を入金する「生活費口座」、教育資金やマイホーム購入資金など将来に必要な資金を積み立てていく「貯蓄口座」。そして、突然の病気や失業など、万が一に備えるお金を貯める「生活防衛費口座」などに分けると、それぞれの残高が明確になります。

口座を分けることで「貯蓄用のお金には手をつけない」という意識も自然に生まれ、無意識のうちに使い込んでしまうリスクを防げます。

<貯蓄の目的を明確にする>

「なんとなく貯めなければ」という意識だけでは、貯蓄はなかなか長続きしません。「5年後にマイホームの頭金として500万円用意する」「子どもが18歳になるまでに教育費を400万円準備する」など、目的と金額、期限をセットで決めることが大切です。

目標が具体的であるほど毎月の積立額も計算しやすく、貯蓄へのモチベーションも維持しやすくなります。

なお、共働き家庭の場合、それぞれが貯蓄用の口座を持ち、目的別に貯めていくと、必要な資金が計画的に貯められます。

<先取り貯蓄する>

貯蓄を確実に増やしたいなら、「余ったら貯める」という発想を手放し、給与が振り込まれたらすぐに貯蓄分を別口座へ移すことを習慣にしましょう。「なかなか貯まらない」と感じている人ほど、この自動化の効果を実感しやすいはずです。積立額は無理のない範囲からスタートし、慣れてきたら少しずつ引き上げていくのがおすすめです。

<収入を増やす>

収入そのものを増やすことも、貯蓄スピードを上げることにつながります。近年は副業への注目度が高まり、SNS運用や動画制作、ライティング業務、フリマアプリを使った物販など、取り組みやすい選択肢が広がっています。

お金を貯めたいという目的がある場合、収入が増えた分をそのまま生活費に充ててしまわないよう、副業収入は全額貯蓄にまわすなど、使い道をあらかじめ決めておくことがポイントです。

また、勤め先に資格手当や昇給の仕組みがある場合は、スキルアップを通じて本業収入を高めることも長期的な貯蓄力の向上につながります。

支出を減らす工夫も大切

支出を減らすことも、貯蓄を増やすための大切な手段です。収入アップはすぐに実現できるとは限りませんが、支出の見直しは今日からでも始められます。ここでは、無理なく支出を抑えるための具体的なコツをご紹介します。

<支出に予算を設ける>

先述したように、費目ごとに予算を決めることで、使いすぎを予防できます。まだ取り組んでいない方は、ぜひ家計簿とあわせて実践してみてください。

<固定費を見直す>

支出を減らすうえで、はじめに手をつけたいのが固定費です。固定費とは、住居費や通信費、サブスクリプションの料金、保険料など毎月ほぼ決まった金額が出ていく費用のことです。

固定費のよいところは、一度見直して削減できれば、その効果がずっと続く点です。食費などの変動費は毎月こまめに節約する努力が必要ですが、固定費は手続きひとつで毎月の支出を自動的に減らすことができます。

見直しの効果が大きい項目のひとつが、スマートフォンの通信費です。大手キャリアから格安SIMに乗り換えるだけで、月々の料金が数千円単位で安くなるケースも珍しくありません。

また、動画配信や音楽サービスなどのサブスクリプションは、契約したまま使っていないものがないか定期的に確認することをおすすめします。「なんとなく契約したままになっている」サービスが見つかれば、解約するだけで固定費をすぐに減らせます。

生命保険は保障内容と保険料のバランスを見直し、必要以上の保障に加入していないか確認しましょう。保険の見直しは複雑に感じることもあるため、専門家に相談するのもひとつの方法です。

<ローンの利息を減らす>

住宅ローンやマイカーローンを組んでいる場合、借り換えによって利息の負担を減らすことも支出削減につながります。

ローン金利が下がれば毎月の返済額が減るだけでなく、長期的に支払う利息の総額を抑えられる場合があります。ただし、借り換えには手数料などのコストがかかるため、削減できる利息の総額と比較してから判断することが大切です。

また、余裕資金がある場合は「繰上返済」も有効です。繰上返済によって元金が減ると、その後にかかる利息も少なくなるため、トータルの支払い額を減らせます。

車のローンについては、ディーラーローンより銀行ローンのほうが金利が低い傾向にあります。ローン負担を減らしたい場合は、借り換えを検討してみましょう。

できることから始めてみよう

お金の流れを把握し、先取り貯蓄の仕組みを整え、固定費を見直すといった取り組みは、どれもすぐに始められるものばかりです。大切なのは完璧を目指すのではなく、できることからひとつずつ実践し、継続すること。小さな積み重ねが、将来の大きな安心につながります。