WOWOWの連続ドラマW-30『ドラフトキング-BORDER LINE-』(毎週金曜23:00~)。プロ野球球団の凄腕スカウト・郷原眼力(ムロツヨシ)と、元プロ選手の若手スカウト・神木良輔(宮沢氷魚)が全国に埋もれた原石たちを探し求める、熱きスポーツドラマの続編だ。
「自分はずっと覚悟のあるピエロだった」と語るムロと、『MEN'S NON-NO』でつかんだ初仕事から「呼ばれる回数が減っていった」時期を乗り越えた宮沢。ドラマのサブタイトル「-BORDER LINE-」が2人自身の俳優人生とも深く重なる、読み応えたっぷりの対談をお届けする。
3年ぶり続編も「時間経過を感じなかった」
――3年ぶりの再タッグはいかがでした?
ムロ:3年ぶりという感じはしなかったですね。お互い忙しくてそんなに会えてなかったし、食事する時間も取れてなかったんですけど。続編は「ずっとやりたい」と前作の時から話していたので。「やっと始められた」という感覚が強かったです。
宮沢:本当に時間経過を感じなかったですね。ムロさんに対してもそうでしたし、監督はじめスタッフや共演者の方たちに対しても。前作のチームワークがすごくよくて、楽しく撮影できていたので、そのままのテンションで初日を迎えられました。
――今作の見どころを教えてください。
ムロ:今作では、ドラフトのウェーバー制度の面白さと複雑さをちゃんと描いています。「なぜその説明を氷魚くん演じる神木ではなく、(スカウト部部長・下辺陸夫役の)でんでんさんがやるんだ?」ってきっと観た人全員が思うと思うんですが(笑)、それも見どころの1つで。ドラフトの光と闇、球団の駆け引き、社会の駆け引き、そこに選手の夢と人生がかかっている重みが凝縮されています。
宮沢:前作は神木の成長がメインでしたが、今回はより郷原の周りで起きることが鮮明に描かれていますね。スカウト部のみんながそれぞれのやり方で「横浜ベイゴールズ」を強くしようとしている姿が、より浮き彫りになっています。神木も担当選手の初指名を目指して、少しずつ成長しているので、そこも見どころのひとつになっているのではないかと思います。
「夢がかなうから素晴らしい」だけを描いていない
――サブタイトルは「-BORDER LINE-」。このタイトルからお二人はどんな印象を受けましたか?
ムロ:野球選手というのは「選ばれしもの」だけがなれる世界ですよね。ドラフトで選ばれなければいけない。そのボーダーラインの上なのか、右側なのか、はたまた左側なのかに行かなければいけない。だからこそ、そっち側ではない人たちにもそれぞれの人生があるわけで、そっちにも別のボーダーラインがある。「夢がかなうから素晴らしい」ということだけを描いていないのが、この作品の素晴らしさです。演劇をやってきた自分としては、そのボーダーラインを越えないという選択をして別の人生を歩んだ友人のことも思い出しましたね。ボーダーラインを超えた側、越えないと決めた側、いつか越えるのを待つ側、越えるまで続ける側……。そういったさまざまなボーダーラインが今回のドラマでは描かれているのかなと思います。
宮沢:ムロさんが全部言ってくれました(笑)。僕自身も18年間野球をやってきて、プロになった先輩も、プロになったけど戦力外になった先輩も何人も見てきました。自分の夢を追いかけるって、家族や練習に付き合ってくれる人たち、たくさんの人の人生を巻き込んでいくことでもあって。その一方で、夢の通りの結末を迎えられない人の方が圧倒的に多いのも現実です。でも一つ言えるのは、みんな野球が大好きなんですよね。限界ギリギリのところまで続けるって、並大抵のことじゃない。自分自身のボーダーラインを突破できたか。そこがこの物語の大きな見どころだと思います。
――再び郷原や神木を演じる中で、新たに発見した一面や気づきはありましたか?
ムロ:郷原という人間は「手段を選ばない男」なんですが、一見球団ファーストに見えて、実は選手ファーストなんですよ。「戦力外の男」編では、郷原がかつて担当した選手・佐藤翔太(武田航平)のトライアウト前に1対1でしっかり話を伝えるシーンがあって。前作ではそこまで選手と向き合うシーンはなかった。長く見てきた選手だからこそ言える言葉がある。郷原の新たな、そして深い一面をお見せできたと思います。
宮沢:神木もある意味ボーダーラインに立っているんですよ。スカウトとして成果を上げられない日々が続いて、彼も崖っぷち。でも今作では、崖っぷちにいるからこそより一層燃えるというか、担当選手をなんとしても成功させたいという思いにつながっていく。前作とは違うスカウトマンとしてのプロ意識が芽生えていて、特に後半はそれが強く出ています。
