コンビニやチェーン店のラーメンは、今や"手軽"だけでは語れない。老舗店も次々と新たなトレンドを取り入れる中、ラーメン業界は大きく変化している。今回、山田うどんが手掛けるタンメン専門店「埼玉タンメン 山田太郎 清瀬北口店」を紹介する。ラーメンライター・井手隊長が、そのメニューの完成度と狙いを読み解く。
山田うどんの新たな挑戦、タンメン専門店「埼玉タンメン 山田太郎 清瀬北口店」
埼玉を代表するローカルチェーンとして知られる「山田うどん」。黄色い看板に"かかし"のロゴでおなじみの存在だ。地元の常連客たちの胃袋を支え続けてきた「山田うどん」は、近年「ファミリー食堂 山田うどん食堂」への転換など新たな挑戦を続けている。その山田うどんが次に仕掛けたのが、タンメン専門店「埼玉タンメン 山田太郎 清瀬北口店」だ。
「タンメン専門店」と聞くと、野菜たっぷりのラーメンを専門に提供する店をイメージするが、実際に足を運んでみると、その印象は良い意味で裏切られる。店内はラーメン店というより「ラーメン居酒屋」。タンメンを軸にしながらも、お酒と一品料理を充実させ、居酒屋需要まで取り込もうとしているのがよく分かる。かなり綿密にマーケティングを研究した上で作られた業態なのだろう。
チューハイ290円、メガハイ490円……仕事帰りの一杯にぴったりの居酒屋メニュー
まず驚くのが、アルコールメニューの安さだ。チューハイ290円、メガハイボール490円という価格設定は、昨今の外食事情を考えるとかなり攻めている。仕事帰りにちょっと一杯という使い方を強く意識しているのが伝わってくる。しかも、単に安いだけではなく、酒のアテがちゃんと美味しい。
注文したのは「ギョウカラ」(690円)をはじめ、「お酒のすすむ野菜炒め」、「ピリ辛ネギメンマ」(290円)、「ごぼうの唐揚げ」(390円)、「ポテト&チョリソー」(290円)、「やみつき唐揚げ」(490円)など。名前からして居酒屋色全開だが、これがどれもきちんと酒場メニューとして成立している。
特に印象的だったのが「お酒のすすむ野菜炒め」(490円)。タンメン専門店らしく野菜のシャキッとした炒め加減が実にいい。その上に卵がふわりとのり、ソースとマヨネーズが豪快にかかっている。
濃いめの味付けで、ハイボールとの相性も抜群だ。ごぼうの唐揚げも香ばしく、ついつい箸が止まらなくなる。こういうあと一品頼みたくなるメニューが豊富なのは強い。
タンメンなのにちゃんぽんっぽい? 山田太郎の看板メニュー「濃厚タンメン」
そして締めに注文したのが、店名を背負う看板メニュー「濃厚タンメン」(850円)。野菜増しが無料で、通常280gのところを380gにできるという太っ腹仕様だ。麺は細ちぢれ麺と中太ストレート麺から選べるとのことで、今回は中太麺をチョイスした。
運ばれてきた一杯を見てまず感じたのは、かなりちゃんぽんに近いということ。豚骨と鶏ガラを合わせた白湯スープはまろやかでコクがあり、たっぷりの炒め野菜と合わさることで、ちゃんぽん感のある仕上がりになっている。
特に中太ストレート麺を合わせると、ちゃんぽん的なニュアンスがかなり強くなる。これが実に面白い。もし細ちぢれ麺を選んでいたら、もっと昔ながらのタンメン寄りの表情になっていたのかもしれない。麺選択によって印象が変わる設計は、リピート性を高める工夫としてもよくできている。
さらに野菜と豚肉を国産にこだわっている点も評価できる。昨今、原材料高騰の影響で外食チェーンがコストダウンに苦しむ中、こうした部分をしっかり打ち出しているのは安心感がある。野菜はたっぷり入っているが、重すぎず、スープにも自然な甘みが溶け込んでいて食べやすい。
そして何より、この店の魅力は使い方の幅広さだろう。サクッとタンメンを食べるだけでもいいし、軽く飲んで締めにラーメンという流れもできる。ファミリー利用もできそうだし、一人飲みにも向いている。ロードサイドで培ってきた「山田うどん」ならではの大衆性をうまく現代的にアップデートしている印象を受けた。
「山田うどん」が長年積み重ねてきた気軽さと、今の外食ニーズを掛け合わせた実験的な新業態。「埼玉タンメン 山田太郎」は、飲めるタンメン食堂として今後さらに存在感を増していきそうだ。











