大事に貯めていたお金を母親に使い込まれ、貧困の連鎖から抜け出せずにいる女性。映画『マジカル・シークレット・ツアー』で南沙良が演じる麻由は、妊娠発覚をきっかけに“金密輸”へと足を踏み入れていく。公開された新場面写真では、キャバ嬢として笑顔を見せる姿と、不安を抱えた表情のギャップも映し出された。
有村架純は本格的な母親役に初挑戦
映画『マジカル・シークレット・ツアー』(6月19日全国公開)は、2017年に中部国際空港で主婦たちが【金の密輸】で逮捕されたという実際の事件に着想を得たオリジナルストーリー。二児の母、大学の研究者、そして妊婦。一見、犯罪とは無縁そうに見えるものの、実はそれぞれに事情を抱えた3人が偶然出会い、金の密輸という秘密によって絆を深めていく。
夫の横領と解雇を知り、突然借金を背負った二児の母・和歌子を演じるのは、本格的な母親役に挑戦するのは初めてとなる有村架純。ともに金の密輸をする共犯者として、奨学金の返済に追われる借金600万の研究員・清恵を黒木華、貯金ゼロの未婚の妊婦・麻由を南沙良が演じる。さらに塩野瑛久、青木柚、斎藤工ら実力派キャストも集結。『ミセス・ノイズィ』で日本映画批評家大賞にて脚本賞を受賞した天野千尋がメガホンをとった。
オタク全開、ラフな部屋着姿、舞台上の後輩を見つめる
黒木が今回演じる清恵は600万円という多額の借金をかかえながら、任期付きのポストで大学の研究室にしがみつく、中堅の研究員。成果を出さなければ切り捨てられる世界で、教授とも反りが合わず、うだつの上がらない日々を過ごしていた。そんな中、後輩の椎名(青木柚)が、若手研究者として表彰される姿を目の当たりにし、研究者としての自分に限界を感じ始める。
そんな清恵の心を支えるのは、韓流グループ「NEON」への“推し活”。研究室では理知的で落ち着いた雰囲気を漂わせる彼女だが、ひとたび私生活に戻れば、スマホ片手に推しの動画を見漁り、時には感情を爆発させ、ダンスも完コピして踊ってしまうという愛すべき“限界オタク”の一面も持つ。
清恵という人物は、天野監督自身が大学の研究室でバイトをしていた見聞から生まれたという。「研究者は非正規雇用で任期付きのポストが多く、皆さん“成果を出さないと解雇される”という焦燥感を抱えながら研究していて、研究者の世界がとてもシビアだと知りました。社会の中で地位があってエリートに見えても、生きづらさを抱えているキャラクターを描きたいと思い、清恵が生まれました」と、天野監督は清恵誕生のエピソードを明かす。
さらに、黒木の起用については、「これまで様々な役柄を器用に、かつリアリティをもって演じてこられたので、観客が自然と共感できる形に成立させてくれるはず、と考えました。黒木さんご自身がとても観察力が鋭い方なので、その要素を清恵にも盛り込みたいと相談したら、すぐに採り入れて下さいました」と演技力を絶賛。大阪出身の黒木が関西弁のセリフをよりナチュラルにアレンジするなど、細部までこだわった役作りも見どころだ。
新場面写真は、推し活のうちわを手にシンガポールの街をタクシーで麻由と移動するカット。手に持つ鞄にも推し活グッズがたくさんついており、オタク全開の清恵が映し出されている。日本に戻り、ラフな部屋着姿でコンビニ弁当を頬張りながらスマホで推しの動画を見つめる姿も切り取られている。一方、華やかな表彰式会場で舞台上の後輩をグラス片手に見つめる清恵の姿も映し出され、その胸中はいかに――。和歌子、麻由と出会った清恵の運命はどのように動き出すのか。
どこか暗い表情、キャバ嬢として完璧な笑顔で接客
南が演じる麻由はキャバ嬢として働き、男を家に連れ込むだらしない母(篠原ゆき子)に代わって妹(早瀬憩)の面倒を見ているが、大事に貯めていたへそくりも母親に使い込まれ、貧困の連鎖から抜け出せない。そんな中、自身の妊娠が発覚、妹の修学旅行代も払えない状況から、追い込まれるように【金密輸】の闇バイトへと足を踏み入れる。
天野監督は南について、「麻由は思ったことをすぐ口に出すような人物で、彼女に抱いていたイメージとは異なりましたが、ご本人にお会いしたら南さんの思い切りのよさが伝わってきて、“この人が演じる麻由を見てみたい”と思ったんです」と語り、リハーサルでは、「『もうちょっとヘラヘラしてみてもらえませんか』とわかりにくいお願いをしたにもかかわらず、一瞬で反映してくださって、さすがだなと思いました」と、南の瞬発力に信頼を寄せた。
新場面写真で、シンガポールの橋の上に立っている麻由は、大きいおなかを抱え、その表情はどこか暗いようにも見える。一方、ネオンきらめく店内でキャバ嬢として完璧な笑顔で接客する姿も。その笑顔の奥に隠された思いとは。全く違う表情を見せる彼女が最後に選ぶ未来とは――。
(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会
【編集部MEMO】
罪という秘密が3人を仲間にした、魔法のような半年間。あの旅が、私たちを変えた――。生きることに夢中になった。平穏な日常を送る二児の母が、突然知らされた夫の借金と、解雇。返済のため行きついたのは、シンガポールでの闇バイト【金の密輸】だった。そこで偶然出会った、非正規雇用の研究員と、未婚で妊婦のキャバ嬢。密輸の成功に味をしめた3人は、自分たちで密輸を始めることに。初めて手に入れた、お金と自由、そして“自分らしく生きる喜び”。それは魔法のような時間だったが……。岐路に立たされた3人の、それぞれの人生の行方は――。





