リアリティを追求した結果、局内からもさまざまな反応が寄せられた。
「報道の一部からは、“我々を悪く描きすぎではないか”という声もありました。ただ、自分もその現場にいた人間だからこそ、良い部分だけでなく、間違いや弱さも含めて描かないとリアルにはならないと思ったんです」
一方で、警察側からは好意的な反応が多かったという。
「警視庁の方、OBの方からは“面白い”、“よくやってくれた”という連絡をたくさん頂きました。“俺はあそこまで悪くないよ”なんて冗談も言われて(笑)。特定のモデルがいるわけではなく、複数の人物像を掛け合わせてキャラクターを作っていったのですが、それでも最後に“ありがとう”と言っていただけたのはうれしかったですね」と笑顔を見せた。
テーマは“それぞれの正義” ぶつかり合いの先にある奇跡
本作を貫くテーマは、警視庁広報だけでなく、捜査一課や公安、テレビ報道も含めた“それぞれの正義”だ。
「これは中村プロデューサーともずっと話していたんですが、その正義は必ずどこかでぶつかるんですね。だから前半ではその“ぶつかり合い”を描きました。ただ、ぶつからない瞬間も確かに存在していて、その“奇跡のような瞬間”を描きたいと思って、それが地上波の最終話のエピソードへとつながる構造にしました」
その集大成ともいえるのが、最終話で描かれた“立てこもり事件”だ。縦軸となっていた爆殺事件の“真犯人”が現れたことで、真犯人にしたくない公安と、逮捕すべきだとする捜査一課が対立。その果てに犯人が逃走し、“立てこもり”を起こすというセンセーショナルなストーリーが描かれた。
「立てこもりのアイデアは、脚本の阿部沙耶佳さんが最初に提案してくれました。自分自身もやりたかった題材でしたし、これまで何度も取材をしてきたので、絶対に入れるべきだと思いました。あの立てこもりのオペレーションなども含めて細かく描きたかったですし、何よりあれをラストに持ってくるのは山場として面白いし、盛り上がると思いました」(安永氏)
また中村氏は「エキストラは全編を通して多いのですが、最終回のあの場面は、あのくらいの人数を入れないとリアリティーが出ません。その分予算もすごいんですが…(笑)。だけどその分、画の力も強くなりますので、実際あれぐらいの記者が集まるんだという話も聞くと、“じゃあやるしかない!”という気持ちでやりました」と振り返る。
この地上波最終回で象徴的だったのが、“CMによる中継遮断”というあのトリックだ。
「あのケースでは報道協定が結べないんです。では、どうやってメディアと連携するのか?と考えたときに、“CMで一斉に中継を止める”という発想にたどり着きました。NHKはどうするのか、天気予報に切り替えるのか、といった細部まで徹底的に詰めていきました」
