数多く制作されてきた“警察ドラマ”の中でも、知られざる「警視庁広報課」を舞台にした異色作『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジテレビ系)。先日、地上波で最終回を迎えた本作だが、その直後からseason2がFODで独占配信されている。
本作のプロデュースに加え、原案も務める安永英樹氏は、他局の報道局社会部で警視庁を担当し、フジテレビ移籍後はその経験を生かして実録ドラマ『30年目の真実~東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯・宮崎勤の肉声~』をはじめ、バラエティ『小泉孝太郎&ムロツヨシ 自由気ままに2人旅』や2024年版『大奥』など、ジャンルを問わずヒット作を世に送り出してきた。
そんな安永氏と共にプロデューサーを務めるのが、病院内の事件解決部署の活躍をハードに描いた『院内警察』(24年) や『世にも奇妙な物語』などを手掛ける中村亮太氏。今回はその両名に、本作の制作背景や作品にかけた思い、そしてseason2の見どころについて聞いた――。
“新しい事件”として…報道・法務も一言一句台本チェック
本作の出発点は、意外にも欧米では主流となっている“トゥルークライム”だったという。
「北米や欧米では、実際にあった事件を完全にドラマ化して、登場人物も実名で描く手法があるんですね。ただ、それを日本の地上波でやろうとすると、どうしても大きなハードルが立ちはだかるんです」(安永氏、以下表記なければ同)と当初の構想を明かす。
「だからシンプルにストップがかかりました。やはり日本では、被害者がいる事件をそのままエンターテインメントとしてのドラマにするのは難しいと。なので、どうすれば地上波の表現の中で成立させられるのか?そのギリギリのラインを探り続けました」と振り返る。
その末にたどり着いたのが、複数の事件の要素を組み合わせた現在のスタイルだった。
「結果的に様々な事件の要素を混ぜ込みながら構築していく今回の形に落ち着きました。ただ、自分としてはやりたかった表現の65%くらいしかできていない感覚があります。それでも削ぎ落とした35%の分を、見やすさや配慮に振り切ることで、誰かが傷つくような作品にならないように、と思いました」と、そのバランスを語る。
とはいえ、「警視庁広報」を舞台にし、実在の事件を想起させる可能性がある以上、制作過程では「社内の各部署に細かく確認していただきました」と、徹底したチェックが入った。
中村氏も「台本はみなさん全部読まれていて、一言一句のレベルでチェックされていきました。他にも報道や法務にもすべて目を通してもらっています」と、その厳しさを補足する。
しかし、そのプロセスを単なる制約とは捉えていない。「もちろん大変ではあったのですが、そこをクリアにしなければ放送はできないですし、実際の事件を想像する方もいらっしゃるとは思うのですが、“新しいものとして、新しい事件として物語を立ち上げることはできたのかな”とは思っています」と前向きだ。
特に難しかったのは、第3話から第4話にかけて描かれた、連続殺人事件をきっかけにした“実名報道”のエピソード。「とにかく動きがないんです。アクションもなければ、事件もすでに終わっている。正直、“誰がこんな地味で暗い話を見るんだ”と思うくらい。だからこそ、その中でどうスリリングさやヒリヒリ感を出すかは、本当に悩みました」
猪俣周杜を犯人役に起用した理由「アイドルがこの役をやったら…」
このエピソードではキャスティング面でも挑戦的な試みがあった。キーマンとなる連続殺人事件の犯人役として、まだ演技経験が浅いtimeleszの猪俣周杜を起用し、大きな話題を呼んだ。
「犯人は“ベビーフェイス”がいいなと思っていたんです。そんな中で、timeleszさんのコンサートを観に行ったときに、“アイドルがこの役をやったら面白いことになるんじゃないか”と思って、オファーしました。よく引き受けてくださったなと思うのですが、本当にありがたかったです」
その起用が決まると、「監督と一緒にかなりワークショップやトレーニングを重ねていく中で、どんどん芝居になっていったんです。それで“筋がいいな”と思いましたね」と、その成長を振り返る。
劇中の“謝罪”シーンには、安永氏自身の実体験も色濃く反映されている。
「あそこまで大きな事件ではないのですが、実際に謝罪したことがあります。報道も間違えることはあるし、自分の中に後悔も残っている。だからこそ、“ここは絶対に描かなければ意味がない”と思って入れたシーンでした」

