――お互いの印象を教えてください。まずは和久田さんから。
和久田:森さんは、画面を通して皆さんが抱くイメージそのままの方だと思っています。非常に温かく、明るく、視野が広い方です。抜群のコミュニケーション能力もお持ちで、特に伝え手として感じるのは、ニュースを視聴者の皆さんと同じ目線に立って捉えようとされていることです。どんな場面でも、ご自身の言葉で語ることをプロフェッショナルなレベルで徹底していらっしゃる方だと思います……なんで笑うんですか(笑)
森:こんなに褒め言葉って出ますか?(笑)
和久田:本当に心から思っています。アナウンサーにとって、自分の言葉で語るというのは意外と難しいことなんです。ですので、森さんの姿は本当に伝え手として憧れです。そういう姿勢があるからこそ、視聴者の皆さんは森さんに信頼感や親しみを覚えるのだと思います。私も森さんの隣であれば、いつもより肩の力を抜いて、素直な言葉でニュースに向き合えるんじゃないかなと思っていて、先輩の存在が心強いです。
――では、森さんから和久田さんの印象をお願いします。
森:和久田さんの後にしゃべるの、きついなと思うんですけど、実はこの番組の話を聞く前から、お仕事以外の場所で何度かご一緒する機会がありました。傾聴力、深い思考、瞬発力、その場をパッと明るくする力がある方で、同業者の目線で言わせていただくと、本当にアナウンサーとして至高の存在です。
和久田:一瞬、「至高」の漢字が浮かびませんでした(笑)
森:王道にして至高だと思っています。最近は、今っぽくないことや、らしくないことに価値が見いだされる部分もあると思いますが、和久田さんはそこから逃げず、ぶれずにど真ん中を突き進んでいらっしゃる方です。そういう意味で、『news LOG』で王道の和久田さんが王道のままどんなことを言ってくれるのか、あるいはこれまで見たことのない和久田さんがどんなコメントをするのか、個人的にも楽しみにしています。
――小江プロデューサーは、この2人のやり取りをどう感じましたか?
小江P:もう安心しかないですね。これだけ何もない状態でこんなにしゃべれるのかと思いましたし、実際にニュースを扱う中での2人の会話をどんどん聞いてみたいですし、視聴者の皆さんにも届けていきたいと思っています。
加藤浩次の金言「台本や原稿にとらわれていたらダメだ」
――これまでのキャリアの中で、『news LOG』に生かせそうな経験を教えてください。
和久田:NHKでは長らく報道番組に携わってきました。その中で、日々取り上げるニュースについて、取材した記者やディレクターと数多くの打ち合わせを重ねてきました。放送には盛り込まれないけれど、実は取材者の問題意識はここにあったとか、取材の出発点はこういうところだったとか、VTRには入らなかったけれど別の立場の方はこう捉えていたとか、取材の途中でこんな壁にぶつかったとか、まさに取材の途中経過、プロセスそのものについて聞く機会がすごく多かったんです。
成果物としてVTRがあるとすれば、スタジオにいる伝え手として、そのこぼれ落ちたプロセスまで踏まえて、一体どうすれば最も適切な言葉でニュースをまとめることができるだろうかということに毎日心を砕いてきました。ですので、この結論だけではなくニュースの取材過程まで大切に届けていくというコンセプトに非常に共感していますし、この新しい形を届けるためにこれまでの経験を注いでいければと思っています。
森:私は『箱根駅伝』ですね。順位や結果だけでも感動する部分はありますが、多くの人の胸を打つのは、その結果だけではなく、選手がどういう思いでスタートラインに立ったのか、襷を受け取ったのか、渡したのか、その背景に何があったのか、指導者がどういう気持ちで1年間を過ごしてきたのか、ご家族がどんな思いで支えてきたのか、そうした背景やストーリーです。そこまで紹介することでレースに深みが出て、人の心を打つ。それが箱根駅伝の魅力だと思っています。
それは『news LOG』にも通じると思っています。ニュース原稿は一つの結果、一つの真実かもしれませんが、そこに至るまでにどういう物語や背景があったのかを知ることで、ニュースはまた違った角度で見えてくるのではないか。箱根駅伝で伝えてきたプロセスを、この番組にも還元できればと思っています。
――キャリアの転機となった仕事は何でしょうか。
森圭介 私は『スッキリ』です。加藤浩次さんとご一緒したことが大きかったですね。アナウンサーは台本や原稿通りに進めるのが本分だと新人時代から教わってきましたが、加藤さんから「台本や原稿にとらわれていたらダメだ。その場で起きていることに目を向けて、耳を傾けて対応しなさい」と言われまして、それが今の仕事の礎になっています。
もちろん原稿や台本も大切ですが、一番大事なのはその場で起きていることを見て、自分がどう感じたかということだと思っています。現場にいた記者の皆さんが何を感じてどう思ったのかということともつながってくると思うので、『スッキリ』で得たことを、記者の皆さんも、和久田さんも、私も、視聴者の皆さんとともにニュースの見方をひも解いていくことに生かせればと思っています。え? 合ってました?
和久田:私にとっては、特定の番組や仕事が転機になったというより、これまで取材を通してお目にかかった方々、一緒に番組を作ってきた仲間との出会いと対話のすべてが転機であり、今の自分を作っていると感じています。取材に応じてくださる方々は、言葉にならない思いをこぼれるほど抱えていて、それを取材者たちはどれだけ正しくまっすぐ世の中に届けられるかと心を砕き、葛藤しながら、地道に取材を積み重ねてきています。その両者の姿を目の当たりにしてきた身にとって、取材のプロセスそのものに価値があるというこの番組の姿勢はすごく響くものがありました。
そうした姿に触れてきたことで、常に今、誰のために、何のためにこの番組を届けるのかを考えるようになりました。ですので、これまでのすべてが私にとって欠かすことのできない瞬間だったと感じています。
森:私もすべてです(笑)
和久田:違うんです! そういう意味じゃなくて……すみません(笑)
