日本テレビは、生成AIを活用した新たな映像表現に挑戦するプロジェクト『The Unseen Beauty』を始動。視覚障害者4人が映像監督を務めたミュージックビデオを8日に公開した。ヒューマンビートボックスクルー・SARUKANIの楽曲「CROWN」を題材に、“視覚に頼らない感性”から立ち上げた映像表現が、新たなクリエイティブの可能性を映し出している。
同プロジェクトは日本テレビのスマホコンテンツブティック「VIRAL POCKET」が、生成AIクリエイター・宮城明弘氏(KANA-L HOLDINGS所属)と共創し、視覚に依存しない知覚や感性から生まれるクリエイティブの可能性を探るもの。障害当事者の個性発掘と社会参加の機会創出に取り組むePARA所属の4人が参加し、それぞれが音から広がるイメージを言語化。宮城氏が手がける生成AIを通じて映像として立ち上げた。
題材に選ばれたのは、ヒューマンビートボックスクルー・SARUKANIの楽曲「CROWN」。参加者の解釈をもとにストーリーを構築し、映像の世界観に合わせて楽曲も再構成した「CROWN(Water Remix)」として完成させた。音と映像が相互に影響し合う表現を試みた形だ。
作品のコンセプトは「水」。形を持たず、壊れ、混ざり、循環しながら存在し続ける水の性質を通して、人の感情や存在のあり方を描いている。「人は止まることなく、形を変えながら生き続けている」というメッセージを込めたという。
監督を務めたのは、eスポーツプレイヤー、声優、エンジニア、ピアノ、声楽、演劇など、それぞれ異なる分野で活動する北村直也、関場理生、西脇有希、真しろの4人。生成AIクリエイティブを宮城氏、脚本・映像構成を廣田純平氏(GOKKO)、クリエイティブディレクターを南俊輔氏(SHIKI.inc)が担当し、制作協力としてAOI.Proが参加した。
宮城氏は今回の取り組みについて、「見えていない世界だからこそ生み出せるものがあると感じています」とコメント。「水の一滴一滴を、彼らの触覚の感覚や、流れや時間を方向性に見立て、彼らが本当に頭で思い描いているものに近づけたいと思って制作しました」と明かした。
さらに、「今まで実現できなかったことを再現するのはAIの力があるからこそ」とした上で、「障害という言葉が一人歩きせず、同じ人間として、感じた世界観を世界中の方に受容してもらえると一番いいかなと思います」と期待を寄せている。
日本テレビ「VIRAL POCKET」のプロデューサーも「本作は、多様なクリエイターの感性が掛け合わさることで生まれた作品です」と説明。視覚に依存しない知覚や感性をもとに監督を務めたePARAの4人を起点に、構想を描いた廣田氏、生成AIでそのクリエイティブを引き出した宮城氏、さらに世界観をもとに楽曲を再構築したSARUKANIという異なる領域のクリエイターが交差した“掛け算”によって生まれた表現であることを強調し、「多くの方に、この作品を通して新しい感覚を感じてもらいたいです」と呼びかけた。
ミュージックビデオは8日から、SARUKANIの公式YouTubeと「The Unseen Beauty」特設サイトで全世界に公開。あわせて、制作過程を追ったプロジェクトムービーも特設サイトで公開されている。









