総務省は23日、日本のドラマやバラエティ番組などの海外展開を後押しする「実写コンテンツ展開力強化アクションプラン」を公表した。国内放送中心だった従来の展開モデルを見直し、配信や海外輸出を当初から見据えた形へ転換。2033年に海外輸出額2500億円以上、海外売上比率20%の実現を目指す。

  • 林芳正総務相=25年10月「東京ドラマアウォード2025」授賞式にて

    林芳正総務相=25年10月「東京ドラマアウォード2025」授賞式にて

背景にあるのは、世界的な視聴環境の変化だ。配信コンテンツ市場が国内外で拡大する一方、放送コンテンツ市場は縮小傾向にあり、日本の実写コンテンツも依然として国内消費に偏っていると指摘。総務省は、日本の知的財産(IP)が海外で高く評価されていることや、アジア発コンテンツが世界で視聴されやすい環境が整いつつあることを踏まえ、「大きな成長可能性がある」と位置付けた。

アクションプランでは、強化策の柱としてまず「製作・資金調達の見直し」を掲げた。海外展開や配信を前提とした作品では、製作費の増大や製作期間の長期化が見込まれるため、広告収入や自己資金だけに頼らない体制づくりが必要と整理。先進設備を活用したコンテンツ製作支援の拡充に加え、デットファイナンスや完成保証制度など、外部資金調達手法の活用可能性を調査研究するとしている。

また、「国際共同制作の拡大」も打ち出した。企画・開発段階で日本事業者と海外事業者のマッチング支援を広げるほか、日本企業が参画する配信プラットフォームの海外展開も後押し。東南アジアなど現地プラットフォームの活用も視野に入れ、日本の実写コンテンツを継続的に海外へ届ける足場づくりを進める。

もう一つの大きな柱が「人材育成」。2027年度から5年間を集中取組期間と位置付け、若手・中堅を中心に専門人材を年間1000人程度育成すると明記した。対象には、プロデューサー、VFXやAIを駆使する映像技術者、海外展開や配信に必要な権利処理・製作経理人材、視聴データ分析人材などが含まれる。海外派遣や実習を伴う実践的な研修に加え、スタジオ機能を備えた「実写コンテンツ人材育成トレーニングセンター(仮称)」の構築も盛り込んだ。

技術面では、NHKと民放が連携し、クラウド上での番組製作環境の効率化・高度化、生成AIによる自動翻訳、アーカイブを簡易に利活用できる技術の実証などを進める方針。製作現場の省力化や高度化を通じて、国際競争力の底上げを狙う。

さらに、「地域コンテンツの強化」にも踏み込んだ。地域では人材不足や製作環境の制約が課題となる中、地域情報を含む多様なコンテンツを国内外へ展開することが望ましいと整理。配信を起点にイベントや商品化など周辺ビジネスへ広げることで、安定的・継続的な収益確保を目指す考えを示した。総務省は、地域の放送事業者や製作会社による海外展開・配信を見据えた製作支援に取り組むほか、地方創生につながるロケ誘致支援でも関係省庁と連携する。

資金面では、NHK還元目的積立金を活用して「実写コンテンツ製作力強化基金(仮称)」を組成する構想も盛り込まれた。人材育成や技術開発、調査研究などを支える中核的な枠組みとして位置付けられている。