お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの上田晋也が企画・監督・出演を手がける縦型ショートコント『うえだしんや界隈』。累計4億再生というヒットになり、3月23日に開催されたリアルイベント『うえだしんや界隈ファン界隈』にも多くのファンが駆けつけた。
テレビの第一線で活躍を続ける上田が、なぜショート動画に乗り出したのか。その背景には、若い世代に自分の出演するコンテンツが届いていないという危機感もあったという。プロデューサーを務めるQREATION代表の米永圭佑氏とともに、これまでの手応え、そして“次”への展望を語った――。
「映像だからこそできるコントを」募っていた思い
かつては『ロバートホール』『リチャードホール』(いずれもフジテレビ)など、テレビのコント番組に出演していた上田だが、近年はそうした番組がなかなか実現しにくい環境に。舞台という手法もあるが、「映像だからこそできるコントがやりたい」という思いが募っていた。
そんな中、ショート動画という潮流を目の当たりにし、この形式なら映像で念願のコントができる可能性を感じたという。
そこでタッグを組んだのが、ショートコント動画『本日も絶体絶命。』のSNS総再生数が20億回を超えるなど、この分野で実績を誇るQREATION。『うえだしんや界隈』というタイトルの狙いについて、米永氏は「僕自身、テレビからデジタルの世界に来て、テレビとSNSでは見えている世界が全く違うと感じました。テレビは、マスに向けて面白いものを届けるメディアですが、SNSは、それぞれの“好き”を起点にコミュニティが無数に広がっていくメディアです。だからこそ、上田さんがデジタルに挑戦する中で、上田さんを中心に、若い世代も含めてみんなが仲間としてコントを楽しめるコミュニティ(=“界隈”)にしたいと思い、名付けました」と明かす。
柔らかさを出すために、「上田晋也」を「うえだしんや」の平仮名表記にしたところ、今回のイベントの客席には「しんや」と書いたうちわを振る若い女性の姿もあり、「こんな55(歳)のおっさんに対してありがたいですね」と、上田もうれしそうだ。
子ども、街中、新大阪、マイアミで…反響を実感
若い世代と接点を持つことは、上田にとってショート動画に挑戦する大きな動機だった。
きっかけの一つになったのは、地元・熊本ロケでの出来事。中学生に話しかけた際、共演の女性アナウンサーが「この人のこと、知ってるよね」と聞くと、返ってきたのは曖昧な反応。さらに別の場所で会った小学生たちも、「上田だ!」ではなく「なんか見たことある」程度のリアクションで、上田は「この子たちには、テレビ届いてねえなっていうのは正直ありましたね」と、ショックを受けたという。
そうした危機感も踏まえてスタートした『うえだしんや界隈』は、開始3週間で1.3億再生、累計4億再生と大ヒット。TikTokで若い世代からコメントが寄せられるのを見て、上田は「この笑いは届くんだとか、今日も若い子たちが楽しんでくれてるんだという実感を持てたので、Z世代の子たちとの接点ができた感じはしますね」と手応えをつかんだ。
また、街を歩いていると「『うえだしんや界隈』見てます」というリアルでの反響も。身近なところでも、「うちの娘や息子の友達が見てくれて、“あんたのお父さん、こういうのやるんだね”って言われたそうなんです。コントをやる人と思われていなかったんですよね」という。
さらに、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の取材で米マイアミを訪れた際、日本から来ていた観客や現地在住の人から「『界隈』見てます」と声をかけられたといい、「すごいところまで届いてるなと思いました」と驚かされた。
新大阪駅でタクシーを待っていた際、前に並んでいた若い女性がスマホで『うえだしんや界隈』を見ているのを見かけたこともあったが、「“すいません、上田です。見ていただいてありがとうございます”って言おうかなと思ったんですけど、真顔で笑ってなかったから、声かけるのはやめました(笑)。ただ、ずっと見てくれてるっていうのはうれしかったですね」と、“4億再生”という数字を実感したようだ。

