――本作では、年齢を重ねてきた登場人物たちが、結婚や妊娠、病気などに直面していきます。比嘉さん自身、年齢やキャリアを重ねたことで感じるようになった変化はありますか?

変化はあります。20代後半のときは焦りがありました。10年ほど前です。自分よりも他人、世間にどう見られているかといったことが気になって、「そろそろ結婚しないといけないのかな」と思った時期も正直ありました。でもやっぱり仕事が楽しいと感じて進んできました。ライフステージでの変化でいうと、性別関係なく、今の私は人としての自分を見つめ直している段階です。

――というと?

今年の頭に事務所を移籍したことも転機ですが、すべて自分が選択してきたことです。状況も変わって、いままた違った景色が見えています。そこで、私はやはり純粋に「この仕事をしたい」と思っている。20代後半のころの自分と今の自分を比較すると、いまは自分軸になっていて、迷いがないと感じます。

肉体的な変化に関しては、病気をしない人はいないのだから、メンテナンスに気を付ける意識は以前より高くなっています。それと無茶をしないこと。自分をいたわる時間もきちんと設けるなど、自分の体も心も見て見ぬふりをしないようにと思っています。

――自分軸になれたのは、純粋に年月と経験によるものですか?

カッコつけるとそうですけどね。今の環境を10年前には想像できませんでした。でもこれまでも何かを妥協したことはありません。その都度、向き合って自分が選択してきた結果、自分の心の声を大切にして、いまここにいます。なので、結婚しなかったから、子どもを産まなかったからといって、後悔しないように向き合っています。これから結婚する世界線もしない世界線もあると思いますが、自分の仕事とプライベートに向き合いながら、ちゃんと自分で選択していきたいです。

「なくるないさ」が持つ本当の意味

――最後に、これからこうなっていきたいといった憧れの像はありますか? また、心に響いた人生の先輩の言葉などがありましたら教えてください。

自由な人に憧れます。無邪気さや自由さを持っている人。固定概念に縛られない人。それとこの夏に故郷に帰ったときに、98歳のおばあに言われた言葉が浮かびます。沖縄というと、「なんくるないさ」というフレーズをみなさんも知っていると思いますが、あれは単に「どうにかなる」「どうでもいい」という意味ではなく、とことんやった人の言葉なのだと教わりました。「真面目に自分に向き合って、人にも迷惑をかけずに生きてきたらなんとかなるよ」という意味なんだと。

――そうなんですね。

私もちゃんと知らなかったんです。本来、「なんくるないさ」だけではなくて、「まくとぅそーけー、なんくるないさぁ」で1フレーズ。「真面目に過ごして、真面目に生きてさえいれば、なんとかなるよ」という意味なんだと。

――真意が全く違います。

そうなんです。真面目にというのも、硬くなれということじゃなくて、「自分自身にちゃんと誠実に生きていれば、なんとかなるということなんだね」と聞いたら、「そうだよ」と教えてもらいました。おばあだったり、そうした大好きな先輩たち、後輩も含めて、気づきになるワードや、『にこたま』のような作品と、ターニングポイントに出会っていると思います。それをキャッチして、自分で納得して選択して、アップグレードしていく。それが私のこれからも目指すところです。

●比嘉愛未
1986年6月14日生まれ、沖縄県出身。2005年映画『ニライカナイからの手紙』でデビュー。07年NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』でヒロインを演じる。09年には『天地人』でNHK大河ドラマに出演。ドラマ、映画、舞台と活躍している。近年の主な出演作にドラマ『作りたい女と食べたい女』『フォレスト』『放送局占拠』、映画『劇場版「緊急取調室 THE FINAL」』など。