テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、9日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ ほか)の第43話「裏切りの恋歌」の視聴分析をまとめた。
決意を込めたまなざしで定信を見据える
最も注目されたのは20時41~42分で、注目度76.1%。失脚した松平定信(井上祐貴)を高岳(冨永愛)が訪ねるシーンだ。
「そなたが私に何の用だ?」定信の前に座るのはかつて大崎(映美くらら)に恫喝され大奥を去った高岳だ。高岳は一言も発せず、意味ありげににやりとほほ笑むと、静かに一つの箱を取り出した。いぶかしむ定信の前で高岳はその箱の蓋をゆっくりと開ける。その中に収められていたのは何と十代将軍・徳川家治(眞島秀和)の実子である徳川家基(奥智哉)が亡くなった際に身につけていた手袋だった。
その手袋は家基のみならず、松平武元(石坂浩二)や平賀源内(安田顕)など、関わった者たちの命を次々に奪ったいわくつきの代物であることを定信は知らない。高岳は決意を込めたまなざしで定信を見据え、手袋を差し出した。
「最後まで重要なキーアイテムだったんだな」
注目された理由は、呪いのアイテム・死の手袋の3度目の登場に、視聴者の注目が集まったと考えられる。
高岳が持ち込んだ手袋は、かつて高岳が田沼意次(渡辺謙)に頼んであつらえ、定信の実妹である種姫(小田愛結)の名前で家基に贈ったものだった。家基が謎の死を遂げたあと、証拠品として武元が押さえていたが、武元の死後は所在不明となっている。その後、一橋治済(生田斗真)から大崎に渡され、第33話「打壊演太女功徳」では、定信の老中就任を認めない高岳を脅すネタとして使われ、その脅しに屈した高岳は江戸城から姿を消した。この一件は1787(天明7)年のことなので、すでに6年の月日が流れている。この期間、高岳はずっと復讐の機会をうかがっていたのだろうか。物語も終盤に向かって大きく動きそうだ。
SNSでは「この手袋、最後まで重要なキーアイテムだったんだな」「死の手袋が絡んでくるなんて、また誰か死ぬんじゃないだろうな」「まだ確証はないけど、治済が家基を殺すのに使った手袋が定信の切り札になるなら因果を感じるな」「一度は大崎に屈した高岳だけど逆襲の機会をうかがっていたんだな」と、死を呼ぶ手袋が話題となった。
定信が切望した大老は、必要に応じて設置された江戸幕府の最高職。普段、幕府の政務を担うのは複数の老中だが、特に重要な政務や幕府の危機的状況などの際に、老中の上に位置して将軍の補佐・大政を司る役割として任命された。幕末に任命された井伊直弼が特に有名。直弼は、開国・条約外交・反対派粛清などに関わった。幕府政治を主導する最中、1860(安政7)年に江戸城桜田門外で刺殺された「桜田門外の変」は、幕府末期の動揺を象徴する出来事として知られている。
定信が失脚したあとは、松平信明(福山翔大)が老中首座となり、本多忠籌(矢島健一)らとともに幕政を担った。定信によって登用された信明たちは「寛政の遺老」と呼ばれている。多少、穏健な政策へ転換したものの、その方針は定信の寛政の改革を引き継いだものだった。

