• 風俗店で働く女性たち (C)フジテレビ

    風俗店で働く女性たち (C)フジテレビ

「借金地獄物語」でもう一つ追っていたのが、風俗店で働く女性たちの姿。父の借金を背負う19歳や、男に騙され500万円の借金を背負った元看護師らを、店の中までカメラが入って取材していた。

今回の番組は、現在では放送を控える映像をカットしているが、未公開部分も含めて視聴した八木Dは「今ではカメラが入ることが不可能な場所まで撮って、取材も受けてくれていて、そんなことが許されていた時代だったのだなと、驚きました」と受け止めながら、「ディレクターが知りたいことを、ガンガン撮っていく。世間の批判を恐れずに“これを伝えるんだ!”という思いが伝わってきました」と、圧倒されたという。

「借金地獄物語」は日曜午後という時間帯ながら、『ザ・ノンフィクション』歴代最高世帯視聴率15.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)をマーク。その理由を、「テレビの基本である“自分では絶対見られないものを見せてくれる”という情報性が評価されたのだと思います。熱を持って取材した当時のディレクターの手腕もあったのではないでしょうか」と解釈した。

●八木里美
1977年生まれ、東京都出身。学習院大学卒業後、青森朝日放送でニュースキャスター・記者・ディレクターとして取材現場に従事し、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』を経て、04年にバンエイト入社。フジテレビ報道局で『スーパーニュース』を担当し、11年からは制作部でドキュメンタリー番組などを制作。『ザ・ノンフィクション』では、「愛はみえる~全盲夫婦の“たからもの”~」「わ・す・れ・な・い 明日に向かって~運命の少年~」「私、生きてもいいですか ~心臓移植を待つ夫婦の1000日~」「わすれない 僕らが歩んだ震災の10年」「泣かないでアコーディオン ~シングルマザーの大道芸人~」、そして「婚活漂流記」シリーズなどを担当し、12年にわたって取材した「熱血和尚」シリーズでは、「第36回ATP賞」グランプリ、「2020年日本民間放送連盟賞」テレビ教養番組部門・最優秀賞、「第57回ギャラクシー賞」奨励賞、「ニューヨークフェスティバル2020」ドキュメンタリー宗教/哲学部門・銀賞&国連グローバルコミュニケーション賞・銅賞と、国内外で数々の賞を受賞した。