ミシュランはこのほど、ミシュランアーキテクチャ&デザインアワードのノミネートホテル5軒を発表した。
同アワードは、印象的な建築とインテリアで、滞在を豊かなものにする宿泊施設に授与される。第1回目のノミネートホテルは、「ベネッセハウス」(日本)、「アトランティス・ザ・ロイヤル」(ドバイ)、「シェバラ・リゾート」(サウジアラビア)、「ローズウッド サンパウロ」(ブラジル)、「ヴィラ・ナイ 3.3」(クロアチア)の5軒。
10月8日、この5軒の中から「第1回ミシュランアーキテクチャ&デザインアワード」1軒をパリの装飾美術館で発表する。また、同時に2025年のミシュランキーホテルも発表される。
ベネッセハウス(日本)
1992年、世界的に著名な建築家・安藤忠雄氏による革新的な設計が、瀬戸内海の直島に美術館と客室を融合した世界初のミュージアム・ホテルを誕生させた。海沿いの地形と一体化した「ミュージアム棟」、水盤と日差しあふれる回廊が特徴の「オーバル棟」、内外の境を曖昧にする木造の「パーク棟」、海面と目線を合わせて浮遊感を生む「ビーチ棟」など、4つの異なる建築とゲストルームから構成されている。65室の客室はいずれも広々としており、控えめな家具と床から天井までの大きな窓からは、瀬戸内海や四国山地、庭園の景色が一望できる。
アトランティス・ザ・ロイヤル(ドバイ)
2023年に誕生したアトランティス・ザ・ロイヤルは、進化を続けるドバイの都市景観に新たなシルエットを描き出した。そのデザインは、外観の美しさだけを目的としたものではなく、従来のホテル建築や超高層建築の概念に新たな解釈をもたらしている。建物の前衛的な外観は、6棟のタワーがテラス状に張り出したブロック構造で連なり、それぞれが独自の空間や施設を備えている。互いに噛み合うように配置された構造は未来的でありながら、自然換気と日陰を生み出す無数の屋外空間をゲストに提供している。
館内は水をテーマにした優美なインテリアで統一されている。これは、水の確保が日々の暮らしを左右したこの地域の歴史を想起させるものとなっている。ホテル内の様々な棟には、合計795部屋の客室とスイート、15軒のレストラン、そして建物上部をつなぐ壮大なスカイブリッジが備わっている。
シェバラ・リゾート(サウジアラビア)
サウジアラビア西海岸で進行中の大規模開発「レッドシー・プロジェクト」の一環として誕生したシェバラ・リゾートは、同国における"モルディブの水上ヴィラ"とも言える存在。旅行者は色鮮やかなサンゴ礁でのダイビングやシュノーケリングを目当てに訪れ、このリゾートの革新的な建築は、繊細な海洋環境を守りながら、その魅力を称えるという理念を体現している。73棟のヴィラは、輝く真珠を思わせるデザインで、環境への影響を最小限に抑えるため現地外でほぼ完成させたうえで輸送された。そのうち38棟は海上に直接建てられ、細い柱で支えることで海底への干渉を最小限に抑えている。ステンレス鋼の外壁は太陽の光を反射し、水面の映り込みを纏うことで自然に溶け込む。
ヴィラは完全に独立した構造で、最適なプライバシーを確保するよう間隔を取って配置されている。先進的な設備として、大規模な自家用太陽光発電施設、淡水化および逆浸透プラント、オール電化の移動手段を備えている。これらの取り組みにより、LEEDプラチナ認証を取得しました。各"真珠"の内部は、外観同様に軽やかで洗練された空間。磨き上げられたスチールと特注家具が調和し、現代的な優雅さを演出している。
ローズウッド サンパウロ(ブラジル)
20世紀初頭の歴史的建造物群であった「シダージ・マタラッツォ」開発地区は、現在では活気あふれる複合ライフスタイルセンターに変貌。その敷地から高さ93メートル、22階建ての大胆な垂直庭園タワーがそびえ立つ。
木製ルーバーに包まれたローズウッド・タワーの外観には、マタ・アトランティカ熱帯雨林原産の樹木1万本以上が植えられている。革新的な設計によって都市の環境課題に応えながら、自生植物を都会の景観に再び呼び戻している。客室やパブリックスペースには、ブランドの哲学である「Sense of Place(その土地らしさ)」が息づき、ブラジルの豊かな歴史と持続可能な未来を同時に称えている。木材や大理石、特注家具、そして57人のブラジル人アーティストによる450点のオリジナル作品など、使用される素材はすべて国内産となっている。
ヴィラ・ナイ3.3(クロアチア)
ヴィラ・ナイ3.3は、アドリア海ダルマチア地方ドゥギ・オトク島の斜面を直接掘り込んで造られたエコラグジュアリーな宿泊施設。掘削で得られた石は建物の主要素材として再利用され、排出量削減のための革新的な設計上の工夫となった。広さ4万平方メートルのオリーブ畑に囲まれ、その畑では受賞歴のあるオリーブオイルが生産されている。ホテルの起伏あるデザインは、伝統的なダルマチア地方の建築技法から着想を得たもので、特にモルタルを使わず石を積み上げる「ドライストーンウォーリング」が特徴。この技法により、地形に沿って形作られたテラスや壁が生まれ、建物と環境がほぼ一体化。島の荒々しい地形に溶け込み、ゲストが自然の中に身を委ねられるような空間を作り出している。建物の内部も外観に劣らず優美で、8室の客室はすべて天然素材で仕上げられている。イタリア産の大理石や木の落ち着いた色調が、ホテルのサステナブルなコンセプトを引き立てている。





