メディアの多様化や、少子高齢化に伴う地方経済の衰退に伴い、ローカル局を取り巻く環境は厳しさを増している。UMKの場合は、一連のフジテレビ問題による広告出稿の減少でも「大きな影響を受けました」という。

また総務省では、マスター設備(番組送出設備)を同エリアの局で集約化する将来像を示しているが、UMKは3系列クロスネットの独自仕様で、そこに簡単に乗ることができないことから、「これから3系列の皆さんとどうやって共に歩んでいけるのか、設備投資の部分も含めてしっかり考えていかなければいけません」と、特有の課題を抱えている。

そうした状況において活路として考えるのは、「地域と共創できるテレビ局」であること。「エリアにとって有益な企業でなければ、どの業界でもそうですがやはり選ばれないと思います。これから淘汰されていく時代の中で、しっかりと選ばれる企業になりたいと思います」と意欲を示す。

従来は番組で地域の情報を発信することに注力してきたが、「商品を持って直接皆さんのところにお伺いして届けに行く」という意識に転換。そこで2023年に立ち上げたのが、コロナ禍で様々な体験ができなかった10代をメインターゲットにした、UMKとしても初めての大規模なイベント「OMOFES」(オモフェス)だ。

宮崎市中心部の各所で音楽ライブ、ダンス、ファッションショー、クイズ選手権など、様々な企画を展開するもので、スポンサーをはじめ、行政とも連携して街を、若者を盛り上げるイベントとして取り組み、第1回はメインMCにチョコレートプラネットを迎えて成功。昨年行われた2回目は、県内外から18,000人もの来場者数を記録した。

  • 「&Labo by UMK」でのイベントでバーカウンターに立つ榎木田氏

地域のコミュニケーションスペースに「スナックカウンター」

このイベントをきっかけに今年4月、地域のコミュニケーションスペース「&Labo by UMK」を、宮崎駅から続く大通り沿いの複合商業施設にオープン。「配信設備を整えて、番組にひも付けてもいいですし、地域のイベントでもセミナーでもいいですし、皆さんとの化学反応で新しいことをどんどんやろうと思っています。今一番顕著な動きとしては、宮崎大学さんの授業に私たちが出向いたり、学生さんが&Laboに来て地域の課題解決を学んでもらったりといういろんなコラボをさせていただいています」と動き出している。

&Laboには、お酒が並んだスナックカウンターを併設。日本有数のスナック県として知られる宮崎において、スナックはコミュニケーションを象徴する場であるだけに、「絶対に作りたいと思いました(笑)」という熱の入りようだ。

ちなみに榎木田氏は、自社制作ドラマ『ひまわりっ~宮崎レジェンド~』で自身が演じたスナックのママ「あけみママ」が独り歩きし、冠番組が放送されたこともあるが、このキャラクターは&Laboのスナックカウンターにも「時々現れますよ。皆さん、油断しないでくださいね(笑)」と予告している。