第24話「げにつれなきは日本橋」では、前回に引き続き1783(天明3)年の様子が描かれた。
あの手この手で丸屋を買い取ろうと奮闘する蔦重の吉原グループだが、ていと鶴屋喜右衛門(風間俊介)コンビには通用しなかった。ていが本心では本屋を続けたいと見抜いた蔦重だが、下手くそすぎる色恋営業が見事ていの地雷を踏んでしまう。一方、誰袖の松前廣年に対するハニートラップは紆余曲折の末、廣年の兄・松前道廣を引きこむ結果となり、新たな段階へと進んだ。
注目度トップ3以外の見どころとしては、蔦重たちがそばを粋に食べるシーンが挙げられる。江戸時代のそばつゆは塩辛く濃厚だったため、そばをすべてつゆに浸さず、そばの先を三分の一ほどをつゆにつけて食べるのが粋とされ、そうすることでそば本来の風味を楽しむという文化があった。また、そばをすする音も、そばの香りを楽しむ上で重要とされていた。勢いよくすすることで、そばの香りが鼻に抜け、より美味しく感じられると言われている。音を立てずに食べるのは、かえって美味しくないと感じる人もいたようだ。そんな風習をさりげなく再現するあたりがさすがは大河ドラマといったところだろうか。
次に色仕掛けは不適任と断定された蔦重も注目を集めている。蔦重を演じる横浜流星は文句なしのイケメンだが、りつ(安達祐実)からは見掛け倒しと評されてしまった。りつの見立てどおり女心に鈍感な蔦重は、見事な爆死を果たす。そんな蔦重に群がるマツ(伊藤かずえ)・タケ(ベッキー)・ウメ(福田麻貴)の3人も話題になっている。今回の出番はわずかだったが、今後も定期的に登場するのだろうか。
また、ていと覚圓(マキタスポーツ)の会話も物語の上で重要なシーンだった。2人の会話を盗み聞きした蔦重は、ていの本に対する思いを知り丸屋と共存する道を思いつく。日本橋へ乗り込む蔦重と忘八アベンジャーズにもネットは沸き立った。吉原者の立ち入りを禁じる立札を蔦重が引き抜き、市民の陰口をものともせず歩き続ける姿は迫力満点だった。
きょう29日に放送される第25話「灰の雨降る日本橋」では、浅間山が噴火し、江戸が灰に覆われる中、蔦重とていは心を通わせるようになる。一方、幕府では十代将軍徳川家治(眞島秀和)が田沼意次に不穏な一言を放つ。