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今回の取材では、サワさんとのやり取りだけでなく、真面目に働く従業員が犯罪行為に加担した疑いをかけられるなど、放送されることによって店のマイナスプロモーションになりかねない場面もさらけ出してくれた。

「阿部さんは僕に電話して“今こういう問題が起こってて”とわざわざ知らせてくれるので、そこに関しては本当に感謝しかないです。サワさんも、自分が弱っている姿を見せてくれて、僕の取材に全力で向き合ってくれたんだと、改めて感じます」

阿部さんのルーツを探るため、故郷の両親も取材した小川D。実家には、7店舗の従業員のために毎日欠かさず手作りする“まかない”が、ずらりと並んでおり、「えっ、本当に!?」と衝撃を受けた。23年間、毎朝3時に起きて料理を作り続ける阿部さんの母に、“この親にしてこの子あり”を実感したという。

常にポジティブな阿部さんだが、今回の取材で唯一弱音を見せたのが、サワさんから「実家に戻りたい」と連絡を受けた後、居酒屋で小川Dのインタビューを受ける前編ラストの場面だ。

「それまでは、僕が“あんまりサワさんに接し続けたら、逆に辞めちゃいませんか?”と聞くと“俺とサワの13年間があるから大丈夫”と言っていたのですが、あのインタビューでは、自分が正しいと思ってやってきたことが、サワさんにとって大きなおせっかいだったのではないかと受け止めて、相当ショックを受けているのが分かりました」

そこからも、サワさんのことを心の底から思っていることを感じ取ったという。

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「姿勢を貫かねば」今後の番組制作へ決意新たに

番組の取材を通して阿部さんから学んだのは、「人と向き合う覚悟」。「自分が正しいと思ったら、そこに向かって突き進んでいく。従業員の方が、犯罪行為に加担している疑いをかけられても、“ここまで店のために頑張って働いてくれている。であれば、真実が分かるまでは、彼を見捨てるわけにはいかない”とおっしゃっていて、その覚悟は学びたいと思いました」といい、今後の番組制作にあたっても、「チームの仲間を信頼し、取材に応えてくださる方に対しても、そういう姿勢をちゃんと貫かなければ」と決意を新たにした。

衆議院議員・小川淳也氏の初出馬から17年におよぶ奮闘を追った映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(20年)を見てドキュメンタリー制作に憧れ、同作の大島新監督が立ち上げた制作会社・ネツゲンに入社した小川D。「いろんな人と出会える仕事なので、すごく楽しいです」とやりがいを感じながら、これまではサブディレクターとして『ザ・ノンフィクション』や『カンブリア宮殿』(テレビ東京)などの番組制作に携わってきた。

そして、いよいよディレクターデビューを迎えた今回の制作に臨む中で、「立場が変わると、見える景色が全然変わるので、やらなければいけないことも全然違いました」と痛感。また、「それに伴って責任も感じたのですが、編集する映像素材を見ながら、阿部さんはどれだけの責任を背負っているんだろうと改めて感じ、そこにグッときている自分がいました。阿部さんのすごさは言葉だけでは伝わらないので、映像で伝わってくれと思いながら作っています」と、込めた思いを明かした。

後編では、前述の通り犯罪行為に加担した疑いをかけられた従業員のために奔走する阿部さん以外にも、サワさんの選択、そして阿部さん自身の選択も描かれており、「今回は『人生を変える寿司』というタイトルを付けさせてもらいましたが、皆さんの人生が変わる瞬間を撮らせていただいたので、ぜひ見ていただければと思います」と呼びかける。

そして、「今回の放送では紹介できていないのですが、他にも取材させていただいた方がいっぱいいます。皆さんそれぞれが人生を変えようと日々生きているので、今後も追っていきたいです」と意欲を示した。

  • 小川将也ディレクター