見た目から作り、やなせさんが『アンパンマン』を生み出すことにつながっていく大切な存在である弟をモデルにした千尋役を任された中沢。『あんぱん』出演は今後の俳優人生において「とても大きな影響を与えると思います」と述べ、「初めての朝ドラでしたし、いろんな挑戦もできて。そうそうたる大先輩方の中で、どんな球を投げても受け取ってくれるという安心感があったので、自分の思ったことができた現場でした」と振り返る。
先輩俳優たちとの共演によって中沢に新たな目標も芽生えた。
「受け止めてくださる皆さんの大きな器をすごく感じ、今後、受け止める側にも立っていかなきゃいけないなと。そういう役者になっていきたいなという目標もできましたし、今後の役者人生の中で『あんぱん』の現場を超える作品をたくさん踏んでいきたいという思いもあります」
2023年放送のTBS系日曜劇場『下剋上球児』に出演した際に、主演の鈴木亮平からもらった「この現場を超えていく作品にたくさん出逢ってください」という言葉が心に残っているという中沢。
「超えるという意味では、『あんぱん』は僕の中では超えた部分があるなと思いました。順位をつけるわけではなく、吸収できた部分の大きさでは、『あんぱん』は期間も長いですし、たくさん吸収させていただいて、ボリューミーな現場でした」
現場では、“釜じい”こと釜次役の吉田鋼太郎や“ヤムおんちゃん”こと屋村草吉役の阿部サダヲをはじめとする先輩俳優の居方や芝居をずっと見ていたそうで、その経験も役者としての糧になったという。
「いろんな方のお芝居を見ながら、選択肢は本当に無限なんだなと感じました。自分のスタイルを今はそんなに固めるつもりはないですが、役者としての力をどんどんつけていきたいなと改めて思う現場でした」
やなせさんの人生哲学が詰まったセリフも散りばめられている本作。中沢は、寛(竹野内豊)の「何のために生まれて何をしながら生きるがか、見つかるまでもがけ」という言葉が特に印象に残っていると言い、「千尋としても僕自身としても、すごく心に響くものがありました。それを問い続けながら生きていきたいなと。その答えは変わっていくものだと思いますし、その都度思い出して、自分の中で再確認しながら歩んでいきたいです」と語っていた。
2000年2月20日生まれ、茨城県出身。2022年、WEB CMドラマ『メゾンハーゲンダッツ ~8つのしあわせストーリー~」で俳優デビュー。2023年10月期のTBS系日曜劇場『下剋上球児』でエースピッチャー・犬塚翔を演じ注目を集めた。そのほかの主な出演作は、ドラマ『ナンバMG5』(22/フジテレビ)、『埼玉のホスト』(23/TBS)、『ひだまりが聴こえる』(24/テレビ東京)、映画『沈黙の艦隊』(23)、『さよならモノトーン』(23)、『ファストブレイク』(24)など。
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