JR東日本は、信号通信設備の復旧支援システムに生成AIを導入すると発表した。信号通信設備の故障発生から復旧までの過程で指令員を支援するシステムに生成AIを導入。生成AIの活用により、復旧までの時間を従来より最大で50%削減をめざすとしている。

  • 信号通信設備復旧支援システムへの生成AI導入イメージ

同社は2023年3月から、首都圏において一部の在来線信号設備で故障発生時に指令員の判断を支援するAIを活用したシステムを導入していた。今回、これをさらに改良。無線通話にもとづく作業経過の自動記録、解析手法の変更、情報入力の簡素化を行い、社員による最適な手順での復旧作業を支援するという。

9月には、首都圏の運行管理システム「ATOS」において、生成AIを活用した故障箇所の早期特定を目的とした実証実験を日立製作所と共同で開始する。ATOSは多くの機器が複雑に連携するシステムで、従来は専門知識を持つ社員やメーカー技術者と連携が必要だった。生成AIの導入により、トラブル発生時の原因解析と対応策の提案を自動化し、復旧時間の短縮を図る。

  • 信号通信設備の故障発生から復旧するまで指令員を支援するシステムに生成AIを導入する

  • ATOSのトラブル発生時に原因を解析し、対応策を提案できる生成AIの実証実験を行う

JR東日本は、ATOSへの生成AI活用により、信号通信設備故障時の復旧時間を最大50%短縮できるほか、運転再開の見込み時刻を早期に利用者へ提供できるようになるとしている。経験の浅い社員でも熟練者と同等の復旧対応が可能になることを見込んでいる。

なお、JR東日本グループは2027年度末までに、社員業務を支援する「鉄道版生成AI」の完成をめざしており、今後も他分野への展開を検討している。