また、「初めて劇場に入ったときの感動が忘れられない」と目を輝かせる榊原。
「舞台稽古を始めるときに、海外スタッフの粋な計らいで、お客さんと同じ経路で劇場に入ったのですが、『名前がここに書いてある!』『ダンブルドアやマクゴナガルがいる!』って、もう鳥肌ですよ。そして、客席に入ったら『少しだけ魔法をお見せしましょう』と、舞台で繰り出される魔法を体験させてもらって本当に感動しました。『今度はあなた方がお客さんに素晴らしい感動を与えてください』と、そんな風に演者を迎え入れてくれたことは初めてでした」
そのときに観客に感動を届けるという役者のやりがいや使命を改めて感じ、その思いを胸に一つ一つの公演に挑んでいる。
「3年目にして初めて観るという方もいらっしゃいますし、その方にとって『本当に今日来てよかった』と思えるような舞台にできますようにと、いつも思って舞台に立っています」
マクゴナガル校長役については、オーディションで勝ち取った後もなかなか自分が思う人物像までたどり着けず苦労するも、試行錯誤を重ねて役を成長させていったという。
「マクゴナガル校長はいろいろな傷や過去を抱えながらも、みんなに対して広い愛情、慈愛を持っていて、その寛大さを表現するのがとても難しかったです。最初はなかなかたどり着くことができず苦労しましたが、長く演じさせていただくことによっていろいろなチャレンジができて、役を深めることができました」
改めて、本作への参加が自身にとってどんな経験になったか尋ねると「芸能界はどんどん若返りしていますし、私もそろそろ潮時かなと思うこともありましたが、自分の中にまだ向上心ややりたいという思いがあるならば、まだまだ頑張りたいなと。オーディションも初めて、ダブルキャストもロングランも初めてで、まだまだ知らないことがいっぱいあるということにも気づかせてもらい、自分の中ですごく宝になりました」としみじみ。
先日、イギリスのロンドンで舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観劇し、さらに物語のゆかりの地を訪れたという榊原。そこでインドから遊びに来ていた熱烈なハリポタファンと出会い、改めて世界中で愛されている作品だと実感したそうで、「自分はその舞台版のマクゴナガル校長を演じていると思うと、すごく誇らしいことだなと思いました」と語る。
そして、「この舞台は、ハリー・ポッターのその後を描いていて、魔法も素晴らしいですが、親子関係や友情といった世界中の皆さんに共通するようなメッセージもたくさんあるので、ぜひ見に来ていただけたらと思います」と作品の魅力をアピールした。
1959年5月8日生まれ、神奈川県出身。1976年、高校2年生のときに「第1回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で優勝し、芸能界入り。1977年に歌手デビュー。1978年から6回連続で『NHK紅白歌合戦』に出場。1981年から1987年までの7年間、ミュージカル『ピーター・パン』で初代ピーター・パンを務める。1987年に俳優・渡辺徹さんと結婚し、1989年に長男・裕太、1996年に次男・拓弥を出産した。
衣装:ジャケット、スカート=ベルマリエ玉川店 珊瑚イヤリング=アジュテ ア ケイ リング=NINA RICCI/エスジェイ ジュエリー