JR西日本、JR西日本イノベーションズ、セレンディクスは11日、建設用3Dプリンターを活用し、紀勢本線(きのくに線)初島駅の駅舎建替えを実施すると発表した。3Dプリンティング技術を用いた駅舎建設は世界初の事例になるとのこと。
老朽化した木造等の駅舎建替えにともない、新たな試みとして建設用3Dプリンターを活用した駅舎建設の実現に向けて、JR西日本、JR西日本イノベーションズ、セレンディクスの3社で検討を進めてきたという。第1弾となる初島駅の新駅舎は10平方メートル弱の建物を計画しており、建物の基礎部分を含めた外形を最新の3Dプリンター技術で出力。その後、出力したパーツに必要な処理(鉄筋・コンクリート充填)を行い、現地でクレーンによりパーツを組み上げ、接合して完成させる。
当日の施工時間(組上げから躯体完成まで)は、終電から始発までの約6時間を想定。これにより、現場での作業が大幅に効率化され、在来工法(鉄骨造や鉄筋コンクリート造)と比較して工期の短縮効果が期待されている。鉄筋コンクリート製で耐久性・耐食性に優れ、従来のプレキャスト工法と比較すると型枠を使用しないため造形の自由度が高く、デザイン面でも工夫が可能。初島駅の外装デザインに関して、地域住民に愛される駅舎をめざし、壁面に有田市の名産「みかん」「たちうお」をイメージした装飾を施すことで、地域共生に貢献するとしている。
今回建設する駅舎を基本モデルとして、建設や維持管理にかかるコスト効果を詳細に検証し、他駅への展開可能性を検討する。この技術の導入により、顕在化する労働力不足に対応することで、鉄道施設の計画的な更新を促進するという。