JR東日本は、次期東北新幹線車両「E10系」の導入計画を3月4日に発表。英国を拠点とするデザインファーム「tangerine(タンジェリン)社」がデザインを手がけることも明らかにした。JR東日本の車両デザインを海外のデザインファームが担当するのは初めての試みだという。

  • 次期東北新幹線車両「E10系」外観イメージ

tangerine社は、アップル、LG、JAL、ニコン、トヨタなど日本企業を含む世界的なブランドとタッグを組み、デザインによるイノベーション創出を支援してきた。鉄道車両や航空機などのデザインも手がけ、交通・モビリティ業界のデザインの第一人者として世界的な知名度を持つ。

次期東北新幹線車両E10系の開発に設計については、新幹線車両におけるエクステリア・インテリア双方のデザインをtangerine社が担当。エクステリアは緑濃い内陸の森や海岸線の翡翠色の澄んだ水など、東北新幹線沿線地域の景観と自然の躍動からインスピレーションを得たカラーリングとしている。日本の文化を代表する象徴的なシンボルとして、桜の花びらの形状を模した曲線が車両間でつながるデザインを車両の側面に施す。

インテリアは「すべての利用者にとって洗練された心地よい空間を作り出す」ことを重視し、日本の心や伝統的美意識、職人技から得たインスピレーションをもとに、柔らかく落ち着いた雰囲気を客室内に演出する。すべてのクラスで座席のシートデザインに工夫を加え、オペレーション効率を確保しながらも、多様な乗客にとっての快適な空間を生みだすことをめざすとしている。

  • 次期東北新幹線車両「E10系」客室内イメージ

tangerine社のチーフクリエイティブオフィサーを務めるマット・ラウンド氏は、今回のプロジェクトについて、「次期東北新幹線のデザインプロジェクトは、鉄道分野における日英の協力関係における画期的なマイルストンとなった。ユーザー中心のデザインに日本の心とホスピタリティ、そして革新性を取り入れた次期東北新幹線は、持続可能な交通手段として、これからの高速鉄道による旅の概念を再定義することだろう」とコメントしている。