俳優の寺田心(16)が、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で田安賢丸役を好演中だ。『おんな城主 直虎』(2017)で井伊直政こと虎松(菅田将暉)の幼少期を演じて以来、8年ぶり2度目の大河ドラマで、大人の俳優へと成長した姿を見せ、視聴者から「凛々しい」「大きくなったな」などと反響を呼んでいる。第4回、第6回、第7回の演出を手掛けた深川貴志氏も成長ぶりに感嘆。『直虎』、連続テレビ小説『らんまん』(2023)を経て、再び寺田と仕事を共にして感じた魅力を深川氏に聞いた。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』田安賢丸役の寺田心

身体的な成長も実感「『直虎』の頃は心くんを抱っこしていたので」

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。寺田が演じている田安賢丸は、「御三卿」のひとつ田安徳川家の七男で、のちに「寛政の改革」を行う松平定信となる人物。寛政の改革では、風紀の取り締まりから蔦屋重三郎に厳しい処分を科すこととなる。

第4回では、田安家当主・治察(入江甚儀)が急逝し、弟の賢丸は白河松平家への養子入りを断ることを決意。だが、田沼意次(渡辺謙)は田安家を潰すことをもくろみ、平賀源内(安田顕)に命じて8代将軍・徳川吉宗の文書を偽造し、そこには田安・一橋両家は後継ぎがいない場合、お家断絶にすると記されていた。賢丸は崇拝する祖父・吉宗の言葉を受け入れざるを得ず。そして、意次への怒りをたぎらせた。

深川氏は「『直虎』の頃は心くんを抱っこしていたので、身体的な成長をもちろん感じますし、当時はかわいいという印象でしたが、こんなに繊細さを表現する役者さんになったんだなと感じています」と寺田の成長に目を細める。

偽文書を見せられたときの心の揺れを見事に表現「素晴らしかった」

そして、「賢丸は幼少期病弱で、お兄ちゃんもいたので、みんなお兄ちゃんのほうに気がいっている。そんな中でも、彼はきちんと爪を研いでいて、文武ともに立派な青年だったと言われている。それを本当に体現してくれているなと思っています」と賢丸としての演技を絶賛。

「田安家の中でもトップではなく、白河家に送られる。そういう身の上の不安定さが、寺田さんが演じることで深く表現できているなと思いますし、幹ではない枝のようなしなやかさ、どんと構えるではなく、風でしなりしなりとなってしまうような、今の若い賢丸をすごくうまく演じてくれているなと思いました」と語った。

さらに、「田沼のことが憎いんでしょうけど、今はすごくか弱くて、兄が亡くなり心細い中で、でも立ち向かいたいという、葛藤が見えるなぁと感じ、田沼さんに偽文書を見せられたときの揺れ動き方は素晴らしかった」と田沼との対峙シーンを振り返り、「すごく繊細さを表現できる俳優さんだなと、貴重な存在だと思います」と称えていた。

■『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』NHK総合で一挙再放送
2月15日(土)[金曜深夜]
0:45~1:45 第1回「ありがた山の寒がらす」
1:45~2:30 第2回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」
2:30~3:15 第3回「千客万来『一目千本』」
2月16日(日)[土曜深夜]
0:10~0:55 第4回「『雛(ひな)形若菜』の甘い罠(わな)」
0:55~1:40 第5回「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
1:40~2:25 第6回「鱗(うろこ)剥(は)がれた『節用集』」
※NHKプラスの配信でイッキ見も可能

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