読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『私の知らない私』(毎週木曜23:59〜)で主演を務める小野花梨にインタビュー。主人公・羽田芽衣を演じる上で意識していることや、主演としての在り方に影響を受けた俳優について教えてもらった。

  • 小野花梨

    小野花梨 撮影:杉山慶五

ある事柄が起こる前後で別の芽衣がいる

取材場所として用意された会議室にやってきた彼女は、とても自然体。動画撮影のため、『マイナビニュース』という滑舌に挑戦的な媒体名で恐縮なのですが……と断りを入れながら、挨拶コメントをお願いすると、「今日は取材でいっぱい話してきて、あたたまってるので(笑)! 」と返してくれる気遣いも。彼女の人柄を映したような和やかな空気で、インタビューは始まった。

『私の知らない私』の主人公・芽衣は、誕生日の翌日に目覚めると、なぜか病院のベッドの上にいて、山の中で崖から落ちて1カ月間眠ったままだったと医師から伝えられる。しかも、初対面であるはずのその医師は自分の彼氏で、結婚の約束もしていると言うのだ。

何かおかしい。前日のことを思い出しながら、ベッドサイドにあったカレンダーを確認してみる。2025年? これ、間違ってますよね……?

にわかには信じがたいけれど、1年間の記憶を失っているみたいだ。知らぬ間に婚約者ができていて、さらに、亡くなったと思っていた高校時代の親友と再会を果たし、転職まで成功させていた。演じるのは、芽衣という一人の人物だが、彼女を取り巻く環境が変われば、性格に多少なりとも変化が生まれるだろうし、周りからの見え方も違ってくる。

「高校時代、記憶を失う前、記憶を失った後。微妙に歴史が違いますから、一本の人物像は変わらないにしても、さじ加減で見え方を変えています。どこまでの記憶があるか、ある事柄が起こる前か後かで、また別の芽衣がいて」

「見せている顔が一つじゃないので、ドラマをご覧になる皆さんに、芽衣という人をどんなふうに受け取っていただけるか、ドキドキします。どんな役づくりかをしたかと言われると、ちょっと難しいんですけど、一つ言える点としては、台本を読んで、芽衣が今どういう状態なのかを明確にした上で、ワンシーン、ワンシーンに臨んでいます」

  • 小野花梨

いろんな楽しいがぎゅっと詰まった撮影の日々

婚約者はとにかく優しい。新しい仕事もやりがいがある。幸せを実感しつつある芽衣だったが、身に覚えのない理不尽な敵意に直面していく。他人にここまでさせるなんて、芽衣はいったい何をしたのか。明らかになる真実によっては、彼女の印象をガラリと変えてしまうかもしれない。

「クランクイン前に最終話までの台本をすべていただいたのですが、物語の後半に、あるキーワードが出てくるんです。私はそれを見たときに、この言葉を見てから、1話を撮影できて、本当に良かったと思いました。今、キーワードが何かを言えないのが心苦しいんですけど(笑)、これが核になるんだっていう言葉があって。私はそれを決して忘れないように演じています」