3位は日本テレビ『若草物語ー恋する姉妹と恋せぬ私ー』。オルコットの自伝的小説『若草物語』を原案に、令和に生きる四姉妹と恋のあれこれを描いた作品だ。女性目線の強いメッセージ性とテンポの良いストーリー展開で視聴者をくぎづけにし、見事3位にランクインした。
四姉妹の物語なだけあって、キャストの華やかさにも注目が集まっている。主人公の次女・町田涼を演じるのは、1年で13作品もの映画やドラマに出演し話題となっている堀田真由。長女の恵役には仁村紗和、三女の衿役には長濱ねる、四女の芽役には畑芽育と、今注目の若手女優たちがズラリと顔をそろえている。
このドラマの見どころは、四姉妹の恋愛模様をコミカルに描きながら「女性の生き方」に焦点を当てているところ。次女の涼は「恋愛しなきゃもったいない」「女の幸せは結婚」という価値観の押し付けに生きづらさを感じている。初回では、ドラマ制作会社で働く涼が「恋愛至上主義」の風潮に異議を唱え、大御所脚本家(生瀬勝久)に盾ついて会社を辞める……というストーリーが描かれた。そんな自分らしさを貫く涼の姿に、共感した女性は多かったのではないだろうか。
一方で、長女の恵は結婚願望が強く、四女の芽は「結婚するならお金持ち限定」と割り切って恋愛するなど、姉妹で価値観が全く違っている点も面白いポイントだ。視聴者が、自分の価値観に近いキャラクターに感情移入できる点も、注目度が上がった理由の一つといえそうだ。
また、視聴質の観点から注目したいのは、男女の注目度がほぼ同じであったという点。女性の視点から描かれたドラマのため、女性注目度が高くなるのでは?と予想されたが、男性も同じくドラマを楽しんだことがうかがえる。女性はストーリーを自分ごと化して楽しみ、男性は若手人気女優が四姉妹として共演するというキャスティングに惹かれて楽しんだ人が多かったのかもしれない。
注目度の伸びに期待『海に眠るダイヤモンド』
毎クール、スケールの大きな作品を生み出しているTBS日曜劇場。10月クールは神木隆之介が主演を務める『海に眠るダイヤモンド』が放送されている。長崎県の端島を舞台に、現代の東京と1950年代の端島を行き来しながら物語が進んでいくという圧倒的なスケール感で、初回世帯視聴率が今期唯一の10%超えを記録。SNSでも「スケールのデカさに圧倒された」「セットが豪華で映画みたい」との声が上がっている。
視聴率の高さには、キャストの豪華さも関係していると考えられる。主演の神木は現代と1950年代で二役を演じるほか、杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、斎藤工といった主役級の俳優陣が脇を固めている。
さらに脚本は、『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』といった数々の話題作を手掛け、映画『ラストマイル』も大ヒットした野木亜紀子氏が担当。今もっとも勢いのある人気脚本家のオリジナル作品ということで、放送開始前から注目していた人も多かったのではないだろうか。野木氏は、この作品のために約1年かけて取材を行ってきたそうで、現地のリアルな空気感もこの作品の魅力を底上げしている。
個人全体注目度は64.9%で6位と思ったより伸びなかったが、巻き返しの可能性は十分にありそうだ。スケールの大きな作品や史実を基にした作品は、初回はどうしても「説明」のパートが多くなり、視聴者が飽きてしまいがち。しかし、物語が展開するにつれてどんどん目が離せなくなり、最終回に向けて順位が上がっていくことも期待できるだろう。