映画『スオミの話をしよう』(公開中)の公開初日舞台挨拶が都内で行われ、長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎、戸塚純貴、宮澤エマ、三谷幸喜監督が登場した。
同作は、三谷監督が脚本・演出を務める、長澤主演のオリジナル作。大富豪の妻・スオミ(長澤)が失踪し、彼女の前の夫たち4人が集合する。大富豪も含めた5人の男たちは、それぞれが接していたスオミの姿を語り、どれだけ彼女を愛していたかマウントを取り合っていく。
映画『スオミの話をしよう』公開初日舞台挨拶で三谷幸喜監督が熱い言葉
三谷監督は同作について「谷原章介さんも『すごい面白かった』と言ってくれたし、軽部(真一)さんも面白かったって言ってくれたし。バナナマンの設楽(統)さんは多分観てないと思うんですけど……」と笑いを誘う。「前に中居正広さんが観てくださって、感想の中で印象に残った言葉が、『監督、この作品ってとっても手に汗握らないですね』。やなこと言うなと思ったんですけども、確かにそうなんですよね。一応ミステリーということにはなってますけども、僕の作品だから、スオミは行方不明にはなるんだけど、悲惨な結末をたどるわけがないんですよね」と納得。「楽しくて、ワクワクして、手に汗を握らないんだけども、握りそうになりながら2時間楽しい時間を過ごしていただけるような、そんな作品になったと思います」とアピールした。
今までと違った手法にも挑戦。三谷監督は「僕は演劇出身の人間なので、1回、演劇のような映画が作ってみたいとずっと思ってまして。舞台って大体1カ月稽古して、1カ月本番をやるんですよね。本番の終わりぐらいには俳優さんと役が一体化して、すごい境地まで行くんですよ。そういうお芝居を、映画館で観てみたいなと思って」と明かす。
監督はさらに「どうしてもスケジュールとかもあるし、それが悪いとは思わないんですけども、撮影の日に初めて読み合わせをして、『よし、やりましょう!』と言ってリハーサルをやって勢いで撮っちゃうみたいな。そういう瞬発力が求められる現場ではあるんだけど、 あえて演劇みたいに、ずっといっぱい稽古して、たくさんみんなで試行錯誤しながら固めていって。そこで生まれるものもきっとあると思うんで、そんな映画は1回作りたいなと思って。で、今回やってみたんですけども、とても効果はあったと思う」と自信を見せる。
現在、興行収入30億円を狙えるヒットスタートを切っており、三谷監督は「これって本当にすごいことで、なんですごいかっていうと、オリジナル作品なんですね。原作もないし、ベストセラーになったものを映画化したわけでもないし、ドラマのスピンオフでもないし、多分皆さんお分かりだと思うんですけど、アニメでもないんですよね」とジョークも。「なのにすごくいいところまで来てるって本当に大変なことだと僕は思ってるし、 スタッフはみんな思ってると思います。できればもっともっとたくさんの人に見てもらいたいと思います。オリジナルの映画が力を持つことが、多分日本映画を底上げしてきたと思いますので、皆さんもぜひ何度も観ていただきたいですし、お友達もご家族も誘って、おじいちゃんおばあちゃんも誘って、ファミリーで観ても楽しめる映画になっております」と呼びかけていた。