普通の人たちよりも少しリッチな人たちを指す「アッパーマス層」は、その上にある富裕層には届かないけれど、これからの頑張りによっては普通のサラリーマンでもたどり着ける可能性がある資産階層です。そこで、「アッパーマス層」とはどんな階層なのか、保有資産や割合、多い年代などを解説し、さらに「アッパーマス層」に入るための方法についてもお伝えします。

  • サラリーマンでも「アッパーマス層」になれる!?

    サラリーマンでも「アッパーマス層」になれる!?

アッパーマス層とは

アッパーマス層とは、保有する資産に応じて5段階に階層分けした下から2番目の階層です。株式会社野村総合研究所が「純金融資産保有額」を基に推計した調査結果から、同社が定義づけしたものです。

<純金融資産保有額をもとにした5つの階層>

●超富裕層・・・5億円以上
●富裕層・・・1億円以上、5億円未満
●準富裕層・・・5,000万円以上、1億円未満
●アッパーマス層・・・3,000万円以上、5,000万円未満
●マス層・・・3,000万円未満

「純金融資産保有額」とは、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入(住宅ローン)などの負債を差し引いた金額です。土地や建物などの不動産は純金融資産には含みません。

アッパーマス層は、純金融資産を3,000万円以上、5,000万円未満保有している世帯となります。

アッパーマス層の割合

5段階に分けた階層の下から2番目がアッパーマス層ですが、アッパーマス層に該当する世帯はどのくらいあるのでしょうか。世帯数と割合をみてみましょう。

<5階層の世帯数と割合>

●超富裕層・・・9.0万世帯 (0.17%)
●富裕層・・・139.5万世帯 (2.58%)
●準富裕層・・・325.4万世帯 (6.01%)
●アッパーマス層・・・726.3万世帯 (13.4%)
●マス層・・・4213.2万世帯 (77.8%)

  • 5階層の世帯数と割合 出所: 野村総合研究所「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」をもとに筆者作成

マス層が全体の約8割を占め、アッパーマス層は13.4%となっています。この2つの階層で9割以上を占め、5,000万円以上金融資産を保有している準富裕層以上は1割に満たないことがわかります。

アッパーマス層は、平均的な収入の世帯が次に目指す資産階層であり、割合からも実現できる可能性がある階層といえるでしょう。

アッパーマス層が多い年代は?

アッパーマス層になるには、純金融資産を3,000万円以上保有していることが条件となります。そこで、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」から、金融資産を3,000万円以上保有してる世帯の年代別の割合をみてみましょう。

<金融資産を3,000万円以上保有する世帯の年代別割合>

●20歳代・・・0.2%
●30歳代・・・5.8%
●40歳代・・・8.5%
●50歳代・・・15.4%
●60歳代・・・25.2%
●70歳代・・・24.1%

  • 金融資産を3,000万円以上保有する世帯の年代別割合 出所: 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」をもとに筆者作成

年齢が高くなるにつれて金融資産が増えていることが顕著に表れています。一般的に年齢が高くなるにつれて給料が上がっていくことと、長年の貯蓄の積み重ねが、年齢が高くなるに従って金融資産が増えている要因でしょう。60代が最も多いのは退職金が入ることが影響しているようです。若い年代で3,000万円以上を達成しているのは、年収が高いケースが考えられるでしょう。

アッパーマス層を目指すには

金融資産3,000万円以上を達成できれば、マス層からアッパーマス層にランクアップすることができます。そこで貯蓄目標として3,000万円を設定しましょう。いきなり3,000万円は無謀のように思われますが、年月をかければ平均的な年収であっても達成することは可能です。

たとえば、NISAで毎月5万円を積み立てるとすると、年利3%なら30年、年利5%なら25年で約3,000万円になります。30歳から積み立てを開始すれば、55歳から60歳くらいでアッパーマス層の仲間入りを果たすことができます。40歳から始める人は、積立額を増やせば、定年までに達成できるでしょう。

運用資産額3,000万円達成までの年数

  • 運用資産額3,000万円達成までの年数 金融庁「つみたてシミュレーター」を使用して筆者試算

副業はアッパーマス層への近道

金融資産を増やすには、収入を増やす、支出を減らす、資産運用で増やすなどの方法がありますが、最も効果的なのは収入を増やすことでしょう。しかし、会社員の場合、昇給によって年収を上げる、あるいは転職をして年収を上げるなどの方法は、今の時代なかなか難しいのではないでしょうか。そこでおすすめなのが副業で収入を増やすことです。昨今は副業を認めている企業が多くなっていることから、会社員の傍ら副業で収入を得るケースが増えてきています。インターネットを活用して、隙間時間に収入を得たり、サイドビジネスを始めたりすることも可能です。

<会社員におすすめの副業>

●情報発信(動画配信、ブログなど)
●講師業
●スキル販売
●不動産投資

誰でもできる仕事や時間を切り売りするような仕事は単価が安いため、効率よく稼ぐことができません。生活費の足しにするための副業であれば構いませんが、アッパーマス層を目指すなら高収入につながる副業をすべきでしょう。そのためには、できる人が限られる仕事の方が多くの報酬を得られます。趣味や特技を持っている人はそれを生かして稼ぐといいでしょう。特にない人は本業で得た知識や経験を活かせる副業が最も効率よく稼げるはずです。長い時間を費やして身に着けたスキルにはそれだけの価値があります。

不動産投資は初心者にはハードルが高く、リスクもあるため、気軽には始められない副業でしょう。しかし、成功するとアッパーマス層からさらに準富裕層まで階層を上げられる可能性もあります。難易度が高い分、得られる成果も大きいのが不動産投資です。不動産投資はノウハウと経験、運にも左右されるので、ある程度のリスクが許容できる資産を築いてから始めた方がいいでしょう。

まとめ

純金融資産保有額で階層分けすると、多くの世帯が該当するのがマス層(3,000万円未満)ですが、アッパーマス層(3,000万円~5,000万円)はその次の階層として、マス層が目標にできる階層です。アッパーマス層は「小金持ち」や「プチリッチ」と例えることもでき、一般的な世帯よりも余裕のある生活ができますが、1億円以上を保有する富裕層とは違い、働かずに生活できるほどではありません。

しかしその分、「普通の人」でも到達できる可能性が高いので、現在マス層に属している人は、支出を管理し、収入を増やす工夫や努力を重ねて、アッパーマス層への道筋を立ててみるといいでしょう。