マンション価格が高騰しています。特に東京23区のマンション価格は平均価格が1億円超えという記録的高値となっています。1億円超えのマンションのことを俗に「億ション」と言いますが、億ションに住んでいる人はどのくらいの年収があるのか気になります。そこで、億ションを買っていい世帯年収はいくらなのか、生活費や維持費などを考慮して試算してみたいと思います。

  • 高騰するマンション価格……「億ション」を買える年収はいくらから?

    高騰するマンション価格……「億ション」を買える年収はいくらから?

マンション価格は7年連続で最高値更新

不動産経済研究所の調査によると、2023 年の新築分譲マンションの平均価格は7年連続で最高値を更新しています。

全国平均: 5,911万円
首都圏: 8,101万円
近畿圏: 4,666万円

特に首都圏の上昇率が大きく、前年比28.8%の上昇となっています。

東京23区: 1億1,483万円
東京都下: 5,427万円
神奈川県: 6,069万円
埼玉県: 4,870万円
千葉県: 4,786万円

東京23区内の新築分譲マンションの平均価格は、2022年の8,236 万円から大きく上昇し、2024年はついに1億円を超えました。もはや、庶民は23区内の新築マンションには住めない状況となっています。

「億ション」を買える世帯年収はいくら?

億ションを買える人たちは、どのくらいの年収があるのでしょうか。住宅ローンを組んで1億円の物件を購入し、さらに無理なく生活できる年収を導き出してみましょう。

一般的に、住宅ローンを組んで物件を購入する際に、望ましいとされる条件は次の二つです。

  • 物件価格の20%の頭金を用意する
  • 月々の返済額を手取り収入の25%以内にする

この25%という数字は返済負担率といって、収入に占める返済額の割合を表しています。返済負担率は、年収や家族構成などによって変わってきます。25%は一般的な借入額(5,000万円以下)を想定しているので、物件価格が1億円となると、割合をもう少し上げてもいいでしょう。そこで、ここでは30%で計算してみたいと思います。

<1億円の物件を購入>
頭金(20%): 2,000万円
借入金: 8,000万円
※金利2%(固定金利・元利均等返済)、借入期間35年で計算
月々の返済額は手取り収入の30%とする

この条件で1億円の物件を無理なく買える年収を導き出してみましょう。

月々の返済額
26万6,000円

この金額を手取りの30%にすると、手取り収入(額面の70%)は以下になります。
88万6,667円(額面126万6,667円)

年収に換算すると、約1,520万円となります。

以上のことから、およそ年収1,500万円が1億円の物件が無理なく買える年収の最低ラインといっていいでしょう。

なお、借入額8,000万円はフラット35の借入額の上限であるため、これ以上の物件を購入する場合は、頭金を増やす必要があります。

夫婦でローン組んで買う方法

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者で年収1,500万円以上もらっている人は1.4%しかいません。しかし、夫婦共働きなど、世帯年収1,500万円で考えれば、1人分の年収は下げることができ、1億円の物件を購入できる割合は増えます。そこで、夫婦の収入を合わせてローンを組む方法を紹介したいと思います。

夫婦2人の収入を合わせて住宅ローンを組む方法には、「収入合算」と「ペアローン」があります。

*収入合算

住宅ローンの契約者(主債務者)の収入に、一定収入がある配偶者などの収入を合算する方法です。合算した金額をもとに住宅ローンの審査を受けることができるので、借入額を増やすことができます。ただし、収入合算者は連帯保証人になる必要があります。団体信用生命保険(団信)の加入および住宅ローン控除は契約者しか適用されません。

*ペアローン

一定収入がある夫婦がそれぞれ契約者(主債務者)になって住宅ローンを組む方法です。それぞれが相手の連帯保証人になる必要があります。団体信用生命保険(団信)の加入および住宅ローン控除はそれぞれに(夫婦共に)適用されます。

どちらを選べばいいか

収入合算は、世帯年収は1,500万円あるけれど、夫婦の年収差がある場合に有効な手段となります。たとえば、1人では年収1,500万円に届かないケース(夫年収1,200万円、妻年収300万円など)でも、合算することで借入額を増やすことが可能です。ただし、収入合算者の年収が200万円以上(金融機関によって異なる)などの条件が設定されているため、パートやアルバイトなど、扶養内で働いている者の収入は合算できません。

一方、ペアローンは、夫婦の年収差があまりない、あるいは夫婦ともに一定以上の収入がある場合に有効な方法です。たとえば、夫婦共に年収750万円あれば、住宅ローンの契約をそれぞれの名義で2本契約することで、年収1,500万円と同等の借入額のローンを組むことができます。ただし、契約が2本になるので、ローンを組む際の諸費用が多くかかります。

また、収入合算、ペアローンのどちらの場合でも、単独では借りられない額のローンを組んでしまった場合には、どちらか一方の収入が途絶えてしまえば、そこで返済が滞ってしまいます。そのため、夫婦ともに返済期間が終了するまで安定した収入があることが前提となります。

夫婦でローンを組んだ場合の注意点

この他にも、夫婦でローンを組む場合には注意点があります。

*収入合算の注意点

収入を合算して住宅ローンを組んだ場合は、契約者1人の単独ローンと同じ扱いになります。そのため、収入合算者に万が一のことがあっても、団信の加入は契約者のみであるため、ローンの返済はそのまま続きます(契約者に万が一のことがあった場合は、返済義務が完全になくなります)。また、住宅ローン控除も夫婦の一方(契約者)だけが適用されます。

*ペアローンの注意点

団信は夫婦両方が加入するため、夫婦どちらかに万が一のことがあっても、残された方のローンの返済義務はそのまま残ります。また、返済期間中に離婚することになった場合には、共有名義となっているため、揉める可能性が高くなります。家を売却してローンを完済するか、ペアローンを一本化してどちらかが住み続ける方法がありますが、当事者のみで解決することが困難な事態になることもあります。

夫婦でローン組んで購入する場合、夫婦2人の収入が安定している必要がありますが、住宅ローン審査における年収の基準を下げることができます。1人で年収1,500万円は無理でも、夫婦合わせて、世帯年収1,500万円になれば、億ションにも手が届く可能性があります。

「億ション」は維持費も高い

1億円の物件を購入するには、世帯年収1,500万円以上必要という試算結果となりましたが、購入後の維持費も頭に入れておく必要があるでしょう。マンションを購入し、住み続けている間かかってくる主な費用は、以下となります。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険
  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 駐車場代

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額にそれぞれの税率をかけた額となるため、不動産の評価額が高ければ税金が多くかかります。固定資産税は固定資産税評価額に1.4%(標準税率)かけた額、都市計画税は固定資産税評価額に0.3%(上限※市町村の条例によって異なる)をかけた額となります。固定資産税評価額は一般に公開されておらず、また条件に当てはまれば軽減措置などもあるため、明確に金額を出すことは難しくなっています。実際の相場から判断すると、1億円のマンションの場合、立地や物件にもよりますが、おおまかな目安として年間30万円~40万円程度の税金がかかってくるようです。

火災保険・地震保険

火災保険は保険金額によって保険料が変わります。保険金額は建物の価値であり、支払われる保険金の上限額となります。建物の価値は再調達価額で評価を行うのが主流です。再調達価額は土地代を除いた新築時の建物代金をベースに算出します。目安として、東京都の新築マンションで建物の保険金額5000万円、家財の保険金額1000万円、地震保険も付けた場合の保険料は1年間でおよそ10万円になります。

管理費

管理費はマンションごとに管理規約で定められており、専有面積が広くなるほど、共用施設が充実しているマンションほど管理費が高くなります。国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」によると、戸当たりの管理費の平均は月 15,956 円となっています。億ションの場合は、月5万円以上かかることも珍しくありません。

修繕積立金

修繕積立金は、通常10年~15年に一度のサイクルで行われるマンション全体の大規模修繕のために積み立てておくお金です。地価が高いエリアに建つマンションや高層マンションほど高くなる傾向があります。また、将来の修繕費用が不足すると予測される場合には、値上がりする可能性があります。前出の調査によると、戸当たりの修繕積立金の平均は月 12,268 円となっています。マンションごとに異なりますが、億ションの場合は倍以上みておくといいでしょう。

駐車場代

車の所有者は駐車場代も毎月かかります。駐車場代は、主に駐車場の保守点検やメンテナンスの費用に充てられ、管理会社に支払います。金額はマンションによって変わりますが、周辺の駐車料金に近い価格で設定されることが多く、地価が高いエリアほど高くなります。相場は月額5,000円~3万円ほどになりますが、東京の都心部では5万円以上かかるエリアもあります。

以上をまとめると、年間150万円~200万円ほどの維持費がかかってきます。月額にすると12万円~16万円ほどなので、住宅ローンの返済額約27万円とあわせると、39万円~43万円が住宅関連の支出となります。

まとめ

1億円のマンションを買うには、世帯年収1,500万円以上必要という試算結果となりましたが、住宅ローンの返済以外にもマンションに住み続けるための維持費も考慮しなければなりません。ローンの返済額と維持費を合わせて月39万円~43万円かかるとすると、シミュレーションで算出した手取り額約89万円から差し引くと、生活費として残るのは46万円~50万円となります。総務省の「家計調査・家計収支編」から、二人以上の世帯の夫婦共働き世帯の消費支出をみてみると約36万円となっているので、住宅関連の支出を引いても月10万円~14万円は残る計算になります。それほど余裕はありませんが、世帯年収1,500万円あれば、1億円のマンションを購入しても無理のない生活を送ることができるといえるでしょう。