「テレビ離れ」が叫ばれる世代の2人だが、村岡氏は「テレビが好きでよく見ていて、番組を作っている人はきっと楽しいんだろうなという思いから、テレビ局を目指しました」といい、実際に入ってみて「楽しいです!」と充実の表情。

一方の三浦氏は、理系の大学院に進み、順当にいけばメーカーの研究職に就職する道を歩んでいたが、「学園祭でコント企画みたいなのをやって、映像のネタを作ったんですけど、すごく楽しくて。それを見た尊敬する先輩に“テレビとか向いてるんじゃない?”と言われたので、その言葉を大事にして、視野を広く持って楽しいことをやろうとテレビ局を受けました」といい、こちらも入社して「めちゃくちゃ面白いです!」と声を弾ませる。

こうして2023年に日本テレビに入社し、村岡氏は情報番組『DayDay.』、三浦氏は技術統括局でCG業務を担当してきたが、それぞれ1年目からバラエティの企画書を積極的に提出。なかなか採用されることはなかったが、同期の2人で初めて共同提出した今回の企画が、初めて番組化されることになった。

ただ、バラエティ制作において初心者の2人。そこで、『脱出ゲームDERO!』『謎解きバトルTORE!』というゲームバラエティ番組のチームが全面協力してくれた。

「ゲームの構成の仕方や、“なぜそこを歩かなければいけないのか”という部分をツッコんでいただいて、設定のロジックがすごく勉強になりました」(三浦氏)、「レーザートラップをやろうとした時、避ける姿勢が面白いと話したら、その姿勢は他のやり方でも生み出せるとアドバイスしてもらい、そういう発想があるのかと、すごく学びになりました」(村岡氏)と、ゲームバラエティのノウハウを惜しげもなく投入することができたのだ。

異例の座組・技術部門が演出に入るメリット

技術部門の社員がバラエティの演出を務めるのは、他局を見渡しても極めて異例だが、この座組が従来になかったメリットをもたらした。

三浦氏は「技術の僕が企画段階から入ることによって、コミュニケーションがワンストップでできるのが、すごく良かったです」と手応え。また、自身が所属するCGの部署と密にコミュニケーションが取れたことで、「単発の特番にしては、かなり力の入ったオープニングCGになっています(笑)」と予告する。

今回の番組を通し、村岡氏も「技術目線の仕事の仕方がすごく理解できたので、これまでなら“ちょっと言いづらいな”と思っていたことも、“言っていいんだ”と塩梅が分かるようになりました」といい、今後のレギュラー業務に生かすことができそうだ。

改めて、部署の垣根を越えた座組による番組制作が実現したことについて、三浦氏は「企画書を出したのはまだ入社1年目だったのですが、そんなペーペーの若手の企画にいろんな方が乗ってくれて、最終的な意思決定も全部僕らに任せてもらえたので、意見を尊重してくれるところはすごくいいなと思いました」と感謝。

村岡氏は「先輩たちが答えをすぐ教えずに、自分たちで考えさせようとすることが何回もあって、僕たちのことを成長させようとしてくれているんだなというのが伝わってきました」と受け止めていた。

●村岡隼斗
2000年生まれ、東京都出身。成城大学文芸学部卒業後、23年に日本テレビ放送網入社。コンテンツ制作局に配属され、情報番組『DayDay.』を担当する。

●三浦祐樹
1998年生まれ、宮城県出身。東北大学工学部材料科学総合学科、同大学院工学研究科卒業後、23年に日本テレビ放送網入社。技術統括局デジタルコンテンツ制作部に配属され、番組のCG運用・サポートを担当する。