番組の制作にあたり、2人は自ら変顔のシミュレーションを重ねた。その回数は約20回で80~90時間にもおよび、「表情筋をかなり酷使しました」(三浦氏)、「誰よりも変顔に詳しくなったので、論文を出そうと話しています(笑)」(村岡氏)と自信をのぞかせる。

ほかのスタッフも参加して、1人が作れる変顔のパターン数を検証してみたところ、5パターンという平均値が導き出された。ただ個人差があり、村岡氏は8パターン、そして三浦氏は21パターンも作り出せることが判明した。

三浦氏は「今回のシミュレーションで気づいたのですが、目を軸にするか、鼻を軸にするかで決まって、そこから分岐して場合分けすることができれば、掛け算になってパターンを増やせるんです」と解説するが、村岡氏は「簡単に言いますけど、普通の人はやれないんです」と、変顔技術の高さを補足。

表情筋の中で動かしやすいパーツには個人差があることから、どこを軸にして変顔を作るかの違いを「変顔流派」と命名したが、三浦氏はその流派を複数使いこなせることから、驚異のパターン数を持っているのだ。

システムが相手だけに、絶対に顔認証をあざむける攻略顔を見つけられてしまうことへの懸念もあったが、シミュレーションを通して、「ずっと変顔をしていると、表情筋が無意識のうちにだんだん緩んでいくんです」(村岡氏)と判明。激しい変顔をキープするのは至難の業だそうで、この現象は、「顔面疲労」と命名した。

シミュレーションで最も苦労したのが、脱落を決める一致度のボーダーライン「65%」の設定だ。画像認識の技術を使っており、照明の明るさなど現場の環境でも数値が変わってしまうため、最終的にはスタジオで挑戦者本人の変顔数値を見た上で、「本番の1時間前にやっと決まりました」(三浦氏)と、ギリギリまで調整を行った。

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体を張って検証もプロデューサーNGに

用意したステージは、顔のぞき・ほふく前進・カニ歩きで進むコースや、音を立てると顔認証カメラが発動するコースといった体力を駆使するものから、2人1組が言葉とジェスチャーで記号を伝えて爆弾解除を目指す知力を必要とするもの。そしてラストには、「電流イライラ棒」(※)の要領で、触れたら体に電流が流れるパネルの間に変顔を通してゴールへ向かう「ビリビリスライダー」が待っている。

(※)…『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー これができたら100万円!!』(テレビ朝日)の名物コーナー。電流の通った棒をフレームや障害物に触れずにゴールを目指すが、触れてしまうと激しくスパークしてしまう。

  • 仕掛けられたAI顔認証カメラ

  • 変顔でカニ歩きする松本明子

  • (C)日テレ

スパイからの発想で、レーザートラップを組み合わせたステージも考えたものの、「実際に体験できる施設に2人で行ってシミュレーションしてみたのですが、カメラ画で見るとレーザーに当たったか当たってないかが分かりづらくて、ボツになりました」といい、ほかにも様々なバージョンを検討したという。

ちなみに、「ビリビリスライダー」は当初、パネルに触れると顔に巻いた銅テープに電流が流れる仕組みを想定し、2人で体を張って入念にシミュレーションまでしたが、「当然プロデューサー判断でアウトでした(笑)」(村岡氏)とのことだ。