日本テレビ系大型特番『24時間テレビ47 愛は地球を救うのか?』(8月31日~9月1日)の制作発表会見が16日、東京・汐留の同局本社で行われ、今年のチャリティーマラソンランナーをお笑い芸人・やす子が務めることが発表された。

  • (左から)総合司会の羽鳥慎一、チャリティーマラソンランナーのやす子、総合司会の上田晋也、水卜麻美アナ

    (左から)総合司会の羽鳥慎一、チャリティーマラソンランナーのやす子、総合司会の上田晋也、水卜麻美アナ

「こんな幸せな生活があるのか」と感動

33回目を迎える恒例のチャリティーマラソンは、「全国の児童養護施設に募金マラソン」と題して開催。様々な事情で保護者と暮らすことができなくなってしまった子どもたちを支援する児童養護施設に、高校時代お世話になっていた時期があるというやす子の発案で、『24時間テレビ』全体の募金と切り分け、その全額が全国600カ所以上の児童養護施設のために役立てられる“目的別募金”となる。

やす子は2歳の時に両親が離婚し、母子家庭に。学校の水道水をペットボトルに汲んで家の食器を洗ったり、洗濯機がないためシャンプーで体操服を洗ったり、パンの耳で夏休みを過ごすなど、経済的に苦しい生活を送っていたが、児童養護施設に入ると、「こんな幸せな世界があるのか、こんなに3食食べられる世界が食べられる世界があるんだと思って感動した」という。

施設に入っても、少額のお小遣いの中でやり繰りするため、流行のシャーペンが買えず、スポーツ用具もボロボロだったというが、匿名でランドセルや鉛筆などが贈られることがあったといい、「それがすっごくうれしかったんです。誰かが自分たちのことを気にかけてくれるんだなということが、すごくうれしいんですよ。周りの人は壮絶な家庭環境の子が多かったので、本当に愛が足りないという感じだったんです。愛情に飢えてる子ばっかりだったので」と振り返る。

その喜びを今施設に入っている子どもたちに感じてもらうための“恩返し”として、今回の企画に挑戦。募金は、番組ホームページに加え、やす子が走っている間、画面上に表示されるQRコードから行うことができる。

積極的に話さなかった過去「偽りで明るくやってると思われるのでは」

走行距離は現時点で未定。この企画の募金額は、マラソン挑戦中に随時発表していく予定で、後日、やす子が児童養護施設を訪問する特番も放送予定だ。

「自分が少しでも長く走ることで、長くQRコードがテレビに映るので、少しでも多くの人に発信できたらいいなと思います」というやす子。自身も募金するといい、「好きなだけ偽善って言ってもらって大丈夫ですね。むしろ批判されることも注目されることなので、そこすらも活用させていただいて、自分の思いと養護施設のことをしっかり伝えていきたいと思っています」と決意を語った。

これまで、児童養護施設にいたことをほとんど話したことがなかったというやす子。その理由を「友達とかに自分が“養護施設にいて…”という話をすると、ちょっと引かれたり、タブーな存在になってきて、言わなくなっちゃったんです。芸人になってからも、養護施設にいたっていうことで、“かわいそう”って思われて、偽りで明るくやってると思われるんじゃないかと思ったんです」と明かす。

それでも、「今回走るということで、現状の児童養護施設に行ってきたんです。そしたらみんなすごく明るくていろんな支援もあったので、今の現状を知っていただきたいのと同時に、養護施設にいる人たちをもっと知っていただいて、注目していただいて、もっとそこにいる子どもたちが豊かになればいいなと思ったんです」と、打ち明ける気持ちになったそうだ。

ドッキリのストレス発散に「『ダマされた大賞』は最悪(笑)」

売れっ子のやす子だけに、総合司会の上田晋也は「今のスケジュールで大丈夫か?」と心配。これに対して、すでに練習を開始しているやす子は「走ってるときがストレス発散にもなるので、それがいい機会なんです」といい、上田に「そんなにストレス溜まってんのか。変なディレクターにこんなことやれとか言われて」と聞かれると、「はい~。ドッキリとかですね。こないだ打ち上げ花火したら打ち上げ花火が落ちてきたり、よく分かんないことばっかりさせられて(笑)」「『ダマされた大賞』は本当最悪な番組です(笑)」と笑顔で答えた。

さらに今回は、やす子の思いに賛同する市民ランナーを約1,200人募集。スタートから3~5km程度を一緒に走る予定で、やす子は「ちょっとした思いでいいんです。その思いだけで救われる人がいるので、気軽に参加してください。思い出を作りたいっていう動機だけでもいいんです」と呼びかけた。

吉無田剛総合プロデューサーは、『マツコ会議』や『行列のできる相談所』などでやす子がゲストに来た際の打ち合わせなどで、去年の段階から「『24時間テレビ』で走りたい」「将来、子ども食堂を作るという夢がある」という話を聞いていたのだそう。そこに、「今年のマラソンを変えたいという制作側の思いと合致するところがありました」と、今回の経緯を説明している。

  • (左から)総合司会の羽鳥慎一、チャリティーマラソンランナーのやす子、総合司会の上田晋也、水卜麻美アナ